風紀委員長、小長井匠。
こんにちは。
今は昼。生徒達は昼休みに突入して、のんびりとしている時間帯。
そんな時間に、俺は第一会議室に居る。
呼び出しくらっちゃったんだよね。毛玉君と篠塚君殴った次の日に。
てか、第一会議室入った途端、風紀委員何人かから睨まれてるんだけど…。
毛玉君に落ちちゃった人達かな? と思うと何とも言えない気持ちになる。てか、趣味悪いなとしか言いようがない。
「お前の処罰は委員長に決めてもらう」
黒髪の、平野昌士君が俺を思いっきり睨み付けながら言った。
わお、平野君と設点持ったの始めてなのに、俺すげえ睨まれてんだけど!
それにしても、委員長さんと話し合いかあ…。
やっぱり毛玉君が理事長の親戚って事になってるからかな?
ふふ、毛玉君は理事長の浮気相手の子供なだけなのにね?
ま、毛玉君は母親の性名乗ってるみたいだけど原口さんも金持ちだしね。
つか俺は隠した方が楽しいから龍宮の名字隠してるけど、毛玉君は何で隠してんのかな。
とりあえず俺は第一会議室の奥の部屋――風紀委員長だけの部屋に入る。
中には、茶髪の男が居た。
背が高くて、顔の整ったその男と目が合う。
彼が風紀委員長なのだろう。
俺、風紀委員長と接触するの始めてだ。
平野君が俺を睨み付けたまま、その部屋から出ていく。
パタンっ、と扉がしまる音がしてその部屋には俺と風紀委員長だけになる…。
「座れ」
風紀委員長の声を聞いて、俺は委員長の迎いにある白いソファに腰を下ろした
「1-S佐原理人だな」
「そうですよ。
委員長さん。委員長さんって先輩ですか? 俺集会とかにもあんまり出ないんで、委員長の事知らないんですよね」
とりあえず聞いてみる。
そうすれば風紀委員長は答えてくれた。
「……3-A小長井匠だ」
ふふ、風紀委員って強姦とか止めなきゃだから、力のある奴しかならないんだよね、確か。
委員長―――小長井先輩の名前は知らなかったけど、渉兄が推薦して風紀委員長やってるのは知ってる。
「小長井先輩ですね。
それで俺を呼び出して何ですか?
昨日の事、何て聞いてますか?」
俺は小長井先輩をじっと見つめる。
おそらく、毛玉君は俺を悪く言っているはずだ。
―――さて、風紀委員長は有能かな、無能かな?
生徒会みたいに毛玉君に落ちてたらと思うと苦笑してしまいそうだ。
「香川は、しきりに佐原が悪いと喚き散らし、風紀委員に泣きついていた。
篠塚と松崎はそんな香川に泣きつかれてる風紀委員に嫉妬してるのか睨み付けていたな…。
まさに喧嘩状態だ。
話にならないから、まともそうな柏木に聞こうとすれば、篠塚と松崎が柏木に圧力でもかけているのか泣きそうな顔でちらちら二人の顔色を疑っていた。
……実際の所昨日の事を俺はあまり把握していない
だから本人に聞こうと思ってな」
小長井先輩が言った。
毛玉君………喚いて泣きつくなんてなんて面倒な奴なんだ、としか言い様がないよね。
「実際の所って、まあ俺が親衛隊入ってるからって香川君がいちゃもんつけてきて、殴りかかってきたから殴られる前に殴っただけです。
そしたら篠塚君が切れて殴りかかってきたから、殴りました。
まあ……殴った俺も悪いかもしれませんけど、一応正当防衛です」
うん、何もしなきゃ俺、殴られてたしね。
俺の言葉に小長井先輩は俺をじっと見つめた。
そして口を開く。
「佐原……お前は生徒会の親衛隊らしいな?」
「そうですね、それが何か?」
「あんな無能どもの何処がいいんだ?」
わー、小長井先輩って本当生徒会嫌いなんだね!
一応親衛隊の俺の前で生徒会を無能っていっちゃうあたりなんかすがすがしいね。
ふふ、小長井先輩の事気に入っちゃったかも。
お友達になったら楽しいかもしれない、そう思って俺は口を開く。
「そうですねー。
俺もあんな無能な生徒会の何処が良いかわかりませんよ」
俺の言葉に小長井先輩は驚いたように眉をひそめる。
何だか小長井先輩の驚いた顔が面白くて思わず頬が緩む。
「……生徒会が嫌いなのに親衛隊入ってもいいのか?」
「ま、入隊は全部生徒会総隊長がきめますからね、全然大丈夫です」
俺はちゃんと理由があるなら入隊許可するし…。
前の隊長もいい人で、俺みたいな生徒会嫌いも入れてくれたんだよね。
前の隊長はもう卒業して、女の人と結婚して働いてるんだ。
俺の仲良しの先輩! あー、久しぶりに会いたいなぁ。
「生徒会が嫌いで入ってるなら、抜けたらどうだ…?
香川が突っかかって来たのは親衛隊だからだろ?
いっちゃなんだが、話した限り香川は相当しつこいと思うが……」
なるほどね、小長井先輩、俺の事心配してくれてるわけか。
生徒思いなんだな、小長井先輩は。
毛玉君はしつこいから、これ以上問題起こしたくないなら親衛隊を止めたらどうだってわざわざ言ってくるなんて、小長井先輩とますますお友達になりたいなあ。
「ふふっ、心配ありがとうございます
でも、俺は親衛隊辞める気は全くありませんので」
「…そうか
だが、香川は理事長の親戚だ。
正当防衛であろうと殴るのは懸命ではない」
「ぷはっ……」
何か真面目に小長井先輩が言ってくるから笑っちゃった。
小長井先輩は俺の名字で、俺に権力がないって思ってて、龍宮家は世界有数の金持ちで、だからその親戚の毛玉君に手を出さない方がいいって言ってくれてるんだろうけど……。
理事長はあの渉兄だし?
毛玉君は渉兄の浮気相手の息子であって親戚じゃないし?
原口さんも金持ちだったけど家柄じゃ龍宮家の方が断然上だし?
心配無用だよね!
小長井先輩はいきなり吹き出した俺に変な顔してる。
俺はそんな小長井先輩に言った。
「そのへんは全然大丈夫ですよ。
理事長と俺知り合いですし、理事長脅すネタなんて幾らでもありますから」
笑って言葉を放てば、小長井先輩は驚いたように俺を見る。
まあ、当たり前だよね。
理事長ってこの学園一の権力者だしねー。
ふふ、でも渉兄って隙有りすぎだし、ヘタレだし脅すネタどんどん出てきて困らないんだよね。
てゆーか、小長井先輩の顔がほんのり赤くなってんだけど。
…え、何。俺の笑顔に赤くなってんの?
自惚れ野郎とか言わないでね。
なんか思ってる事ナルシストぽいなって自分でも思うけど…。
笑顔浮かべて赤くなるって経験たまにあるから普通に気づくよ!
自分の笑顔で、見た人顔赤くする人がいるんだってさ。
しかも元カレ(もちろんヤる時は断然俺上だった)にも言われたし、俺の笑顔可愛いらしいから赤くなるんだって。
「……理事長を脅すネタ?」
わー、小長井先輩自分の顔が赤くなってんの気づいてるっぽい。
恥ずかしそうに手で口元隠してる。
身長は俺より高いし、かっこいい感じなのに恥ずかしがってる姿はなんか小井先輩可愛い。だけど気づかないふりをしてあげて、会話を続ける。
「そうですよ。
理事長とは昔からの知り合いで、理事長は俺に絶対服従ですからっ」
うん、間違った事は言ってないよね。
俺が龍宮家の三男だって事まで、気に入ったとは言え小長井先輩にいうつもりないし。
「……そうか」
「そうなんです。
で、俺って篠塚君と香川君殴ったし何か処分あるんですか?」
「……どっちも非があるから両方数日の停学にしたいんだが、風紀の何人かが香川と篠塚には非がないと言い張ってな。
香川に何故か惚れたみたいで」
本当はっきり言うよね、小長井先輩って。
それにしても毛玉君どんだけ人に愛されちゃってんだろう。
俺も小長井先輩と同感で、何で毛玉君に皆落ちていくのかわからん。
「ですよね。
俺あの毛玉君嫌いです」
「毛玉……あいつはそれでいいな、確かにぴったりだ」
ふふっ、いいねー。
俺はっきりしてる奴好きなんだよね!
「というか、生徒会も松崎君も篠塚君も、はっきり言って馬鹿ですよね」
「まあな…。
香川は自分に都合が悪いとすぐ泣くしな
俺はそういう面倒な奴好きじゃない」
「同感です。
俺も面倒な事大嫌いです
それなのにあの毛玉が来てからというもの、愛ちゃんとかが悲しむと会長なんかと初対面しちゃうし、昨日は昨日でウザイし…」
本当、都合が悪いからって泣いて、誰かにすがりつくなんて面倒
愛ちゃんみたいにさ、誰かを一途に思って泣いてるとかなら可愛いって思うけど…。
相手が正論いってても自分を否定したら泣くタイプだろ、毛玉君は。
「愛ちゃんとは、あの光永愛斗の事か?」
「そうですよ
愛ちゃんとはお友達なんです、俺。
生徒会親衛隊の子って皆可愛い子ばっかで、もう頭撫でたくなるような可愛さなんですけど…
生徒会ってそんな可愛い愛ちゃん達に暴言吐くし殴るし本当よく殺意がわきます
毛玉が来たせいで愛ちゃん達悲しんでるし、本当毛玉は邪魔です」
何か話してたら本当苛ついて来た。
愛ちゃん達本当可愛いのに!
「……光永愛斗は生徒会親衛隊の隊長だろう、そんなにフレンドリーでいいものなのか」
あー確かに親衛隊の中にも上下関係厳しいのあるもんね。
てか本当この学園の人たちって、生徒会親衛隊メンバー以外俺が総隊長って認識してないよね
ふふ、面白いからいいけどね?
「そこらへんも問題ないです。
あ、小長井先輩。
処分の件ですけど、毛玉達が煩いなら俺だけ停学でいいですよ?」
そう告げて、続ける。
「俺ってほとんど授業いきませんし、停学でも支障ないですしね」
にっこりと笑って俺はそう言った。
毛玉君達の思うように俺だけ停学になってあげようじゃないか…。
それで優越感に浸ればいい。
……そして有頂天になった毛玉君を俺が潰してあげる。
でもまあ、もう少し観察期間を作ってあげる。
人を潰すって事は大変な事だから、見極めてあげる。
毛玉君が潰すに値するクズなのか、
それとも調教次第でどうにかなる子なのか。
そんな事を考えて、頬が緩む。
「まあ、そういう事で小長井先輩。
俺だけ停学にしてください。
あと俺生徒会嫌いですし、小長井先輩と話あいそうなんで、見かけたら声かけてもいいですか?」
「……構わない」
「ふふ、ありがとうございます
じゃ、俺寮にでも戻りますね」
俺はそういって立ち上がると、後ろから小長井先輩の視線を感じながらも、その部屋を後にするのであった。
*小長井匠 side
佐原理人が出ていったドアを見つめる。
佐原理人………予想以上の変な奴だった。
生徒会親衛隊の一員のくせに生徒会が嫌いというのも驚いた。
それに、理事長と知り合いで理事長を脅すネタは幾らでもあるとか、なんて奴なんだろうか。
理事長は、あの龍宮家の長男だ。
龍宮の家は次男の龍宮翔が継ぐとはいえ、龍宮家と言えば名家である。
その長男を脅すだなんて、面白い奴だ。
淫乱で、遊んでいるために教室に来ないとされているみたいだが、話した感じそれは嘘だろうと思う。
さて、とりあえず香川に佐原の停学の事を言うとするか……。
それにしても、佐原だけ停学になるなら、香川は調子に乗りそうだが、どうする気だろうか。
…考えれば考えるほど、佐原は謎だ。
ふっ、久しぶりに人に興味を持ったな。
そう思って、口元が緩んだ。