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毛玉君と初対面です。

視点はころころ変わります。

 「理人っ

 昨日会長フラグたててたね!」

 毛玉君を生でみるために、教室に行く事にした俺の目の前に真希は現れていった。

 …こいつ、また監視カメラで見てやがったのか、と息を吐く。

 それにしても今4月後半だけど教室まともに行くの始めてかもしれない。特権使いまくって俺は全然教室に顔を出していなかった。

 「フラグたつって何だよ」

 「いや、だって監視カメラでさ見てたんだけど、理人が愛斗先輩と去っていくの見ながら笑ってたもん、会長」

 「うえっ……」

 思わずそんな声が漏れる。あれだけ言われて笑っているって会長ってMなのだろうか。気持ち悪い。

 「それにしても理人かっこよかったね。

 会長にガツンといってて」

 「ふふ、もっとかっこいいって言ってよ。

 俺はかっこいい男児を目指してるんだ」

 「理人……昨日はかっこよかったけど、その台詞とその笑顔は可愛いに分類されるぞ」

 「えー……」

 かっこいい男児への道のりは遠いなあ…。翔兄みたいにかっこよくなりたい。

 そう思うけれど中々かっこいいといわれる男にはなれない。

 「おはようございます」

 「こんな朝からいるって珍しいですね」

 真希と教室に向かいながら廊下を歩いてれば、親衛隊のわんこたちが声をかけてくる。

 確かに、俺基本的にこんな朝はやくはまだ寮の部屋いるからなあ…

 さてさて歩いてれば教室につきました。

 ガラッと扉を開ければ、俺と真希にクラスメートの視線が突き刺さる。

 え、アイツ誰、みたいな目を向けられる俺。

 うわ、あの佐原が教室に来た、なんて囁かれる俺。

 ……始業式とかしか教室まともに来てなかったからな、俺。

 「さて、真希」

 「ん?」

 「久しぶりすぎて自分の席忘れた」

 「あー理人俺の隣だろ。

 あそこだぞ」

 そういって、真希に席を教えてもらって席につく。

 俺が真希と一緒にいると、周りがあの淫乱と真希様が何でっみたいな目向けてくるけど、まあ他人の目何てどうでもいいよね。

 真希も全く気にしてないし。

 「ところで毛玉君は?」

 「ぶっ毛玉とかいってやるなよ、理人。

 まあ昨日食堂で見た限り確かに毛玉だったけど

 篠塚達と来るんじゃね?」

 「あー、お前がいってた総受けって奴になってんだよな」

 「そうそう」

 てか、一昨日転入してきて、既に生徒会全員と一匹狼の篠塚君と爽やかスポーツマンの松崎君に好かれてるってどんなミラクルだ。

 見事にイケメンばっかだし、イケメンを引き寄せる魅力でもあんのかね、毛玉君に。

 つかもしイケメンを引き寄せる魅力があるなら目の前にいる真希も危ないな。

 真希はイケメンに分類されるからな。

 そんな会話をしていたら、教室の扉が開いた。

 毛玉君が、来たようである。

 「松崎様と篠塚様にあのオタクと平凡っ」

 うちのクラスは家柄と容姿いい奴か特待生しか居ないから、余計風当たりが激しいっぽい。

 つか毛玉君はともかくとして平凡って言われる柏木君は昔からの松崎君の親友なんだし、文句いっても仕方ないよね。

 そういえば、無口会計と双子書記って同じクラス何だよね。

 生徒会役員権限で教室全然来ないけど。

 そんな事考えてたら毛玉君が俺を見ると俺に近づいてきた。

 「あれ、おま……あんた昨日はいなかったよ……ですよね」

 ……いやいや、敬語苦手なら使うのやめようよ!

 不自然だよ、毛玉君! と思いっきり突っ込みたくなった。

 「あー普段教室来ないから」

 とりあえず無視は駄目かなと、答える。

 ちゃんとこの毛玉君がウザイ奴かいい奴か見極めないと。

 親衛隊メンバーの口から聞く愚痴や、他人の噂だけで人を判断するわけには行かないしね。

 「………操。

 こいつに近づくな」

 あらら、なんか篠塚君が毛玉の後ろから抱きつくようにぴったりとくっついてるんだけど。

 てゆーか、篠塚君…一匹狼君が何故に毛玉君になついてるんだ?

 謎だ。そして、篠塚君が抱きつくから周りがうっさいんだけど。

 「篠塚様が汚れるっ」、「オタクがっ」ってそんな風に。

 可愛い顔が台無しになってるし。

 「なんだよ、響!

 俺はこいつと話してるんだよ」

 ちょっ…。

 毛玉君俺に敬語使おうと必死だったのに、俺の前で篠塚君にタメ口って…

 毛玉君、馬鹿なの?

 「…操、こいつは生徒会の親衛隊だ」

 「お前っ親衛隊なのか!?」

 オイ、毛玉君。

 先ほど必死に使おうとしてた敬語はどうした。

 面倒な事になりそうだから口には出さないけど、馬鹿なのか、こいつ…。

 そんな事を思ってたら、

 「お前ら、最低だぞ!」

 何故か、親衛隊という言葉にいきなりそんな言葉をいい始めた。

 「は…?」

 最低、だと?

 しかもお前らって、俺の可愛いわんこ達にまで最低っていってんの…?

 心が、さーっと冷たくなっていくのがわかる。

 可愛いわんこたちになんてことを言うんだ、こいつは。

 「お前らは、生徒会が好きかもしれないけどな! だからって近づいた奴に暴力震ったり嫌がらせしたりしてんだろっ

 それにお前らが、生徒会を様付けして、違う存在見たいにしてるからっ、皆は友達出来ないんだぞっ」

 ……何で俺説教されてんの?

 篠塚君や松崎君は、優しいねと毛玉君に優しい目を向けてるし…。

 「……み、操。

 そんなに言っちゃ駄目だよ、親衛隊だからって」

 あ、柏木君、いい子かも。

 柏木君と接触したの始めてなんだけどさ、柏木君は毛玉に惚れてるわけでもないっぽいし。

 「大体暁達が好きなら、親衛隊何かに入らずに告白すればいいだけだろ!」

 いやいや、わんこ達はそんな勇気ないからまとまってんだけど。

 しかも生徒会に恋愛感情じゃなくて尊敬の気持ちを持って親衛隊に入ってる子もいるし。

 腐男子でBL見たさに入った子とか、ただ単にイケメンが好きなだけで一番人数の多い生徒会親衛隊に入った子とか…。

 大体わんこ達が可愛くて仕方がないし、強姦とか嫌いだしって入ってる俺が生徒会親衛隊隊長だしなあ……。

 「み、操…そんな怒鳴ったら佐原君が可哀想だよっ」

 「千春!

 お前も親衛隊に嫌がらせされたんだろ!?

 こいつらが今まで千春に嫌がらせしてきたんだろっ」

 「………あのさ、香川君。

 俺は一応生徒会親衛隊だから。

 柏木君に嫌がらせしたのは、そこにいる松崎君の親衛隊でしょ?」

 ……何で俺が他の親衛隊の事まで文句言われてんの?

 しかも俺、柏木君が松崎君の親衛隊に強姦とかされるって噂聞いた時嫌いだからって、しっかり犯行前にヤろうとしてた奴対処したし。

 度の過ぎた嫌がらせは嫌いだから、そういう度の過ぎた嫌がらせみたら、やりすぎって事で他の親衛隊がやった事でもやりすぎな下段箱の嫌がらせとかは片付けたし…、度の過ぎた嫌がらせやろうとしてる人たちは脅したり調教してやめさせてるし…。

 可愛いわんこ達に罪を被せようとした親衛隊メンバーじゃない奴らしっかりぶちのめすし…。

 うん、俺がこんな毛玉君に説教される理由なくね…?

 大体、そういうのは松崎君が松崎君の親衛隊に対してどうにか対処すればいいのに。

 まあ、小さな嫌がらせは流石に止めたらキリがないから止めないけどさ…。

 俺親衛隊隊長になってから、親衛隊メンバーの管理して、他の親衛隊の動向にも注意して、親衛隊じゃない一般生徒が強姦とかしないように見回りして……うん、柏木君には悪いけど小さな嫌がらせまで止めるとね、俺が大変なんだよね。

 「お前っ総矢のせいにするのか!

 親衛隊が全部悪いんだろーが!」

 「いや、操……。佐原君のいう事にも一理あるからね…。

 生徒会親衛隊には俺嫌がらせされた事ないから」

 「千春!

 こんな奴庇わなくていいんだぞっ

 まさか、こいつに脅されてんのか! 親衛隊を庇うなんてっ」

 ……うわ、何こいつ。

 柏木君正論いってるだけなのに、思い込み激しくね…?

 しかも篠塚君俺を睨み付けてるし、松崎君も爽やかな笑顔どこいった!ってぐらいの冷たい顔してる。

 ……しかも篠塚君も松崎君も俺だけじゃなくて柏木君まで睨んでるし。

 毛玉君に反対意見いってるからか?

 松崎君と柏木君って昔からの親友なのに、毛玉への恋心が友情に勝ったって事かな。

 とりあえず、面倒。そして柏木君可愛そう。

 「よくも千春を脅しやがって!」

 毛玉君はいきおいよく俺に近づいて、胸ぐらを掴んだ。

 って、えー、何この子。

 いきなり思い込みで胸ぐら掴んでくるとか……死・ね☆

 「脅してないし、離してくれる?」

 せっかく怒りを我慢してそういったのに、

 「嘘つくなっ」

 とかいいながら毛玉君が拳を振りかざしてきた。

 とりあえず、流石にイラッと来たので、左手で毛玉君の拳を止めて、右手で毛玉君殴ってみた。

 「――っ」

 勢いよく吹き飛んで毛玉君は、並べられた机へと激突する。

 アハッ、やっちゃった。

 まあいいよね。

 先に殴りかかってきたのあっちだし。

 俺、殴られる趣味ないし。

 Mじゃないしねー。立派な正当防衛だよね!







*真希side




 ガッシャーン、という大きな音を立てて、転入生の香川が並べられた机へと激突する。

 あーあ、理人ってば、怒ってる。

 そもそも、理人は香川のせいで愛斗先輩が泣いたりしてるから苛々してたっぽいし、殴りかかられて我慢の限界だったんだろう。

 というか、香川大丈夫だろうか……。

 思いっきり、激突したが。理人って基本的に敵に対する手加減しないからなぁ。

 そう思って倒れた香川を見る。

 松崎が心配そうに香川にかけよる。

 篠塚は怒ったように理人を睨み付けている。

 柏木はおろおろとして困っている。

 これで、理人が篠塚とフラグ立っちゃえば萌えるのに…。

 こんな事言ったら理人に怒られるだろうけど。

 つか篠塚の奴、理人を思いっきりにらみつけてる。

 「操に何しやがんだよっ」

 そんな風に感情的な篠塚。 

 ……周りはあいつ篠塚に目をつけられたとか、理人が殴られるの想像してるみたい。

 でもま、俺は何にも心配してない。

 つか生徒会親衛隊の同じクラスの子が、理人様が殴られちゃう、どうしようどうしようってなってるのが滅茶苦茶可愛い。

 理人、親衛隊メンバーとフラグ立てねえかな

 なんて暢気に考えながら理人と篠塚を見る。

 「何って正当防衛?

 先に殴りかかってきたの香川君だしね~」

 にっこり笑う理人が別の意味で怖い。

 あの笑顔は絶対、怒ってる。長い付き合いだからよくわかる。

 「ふざけんなっ、てめえら親衛隊が最低なのが悪いんだろーが」

 篠塚はそういって理人に殴りかかる。

 切れっぽいなあ、一匹狼君は。

 つか、篠塚って確か、香川が自分を怖がらずにいてくれたから香川に惚れたんだよな

 ……何て単純なんだ。

 それにしても、理人、強し。

 篠塚の蹴りとか普通に避けて、カウンター食らわせてるっていう。

 理人は生徒会親衛隊メンバーが悲しむからって生徒会には殴りかかったりした事なかったけど、篠塚の親衛隊に仲良い奴居ないし思いっきりカウンターいれてるっぽい。

 ……殴りながら笑顔ってこわっ!

 「ふふっ、篠塚君って結構強いんだね」

 そう言いながら、笑っている理人。

 「でも、俺機嫌悪いから意識飛ばさせてあげるね」

 笑顔でいう台詞違う! でも理人らしいと言えば理人らしいけど。

 ボコッ、と理人は篠塚の腹に拳を入れる。

 「うっ………」

 うめき声とともに崩れ落ちる篠塚。

 周りがそれを見て唖然となる。

 そんな唖然としているクラスメート達に目も向けずに理人は俺の方へやってきた。

 「まーき☆」

 うわー、機嫌悪そう。

 「俺、帰るね。

 せっかく今日は授業出る気分だったのに、最悪な気分になっちゃったから!」

 そう言うと、理人は周りから突き刺さる視線なんて気にもしない様子で教室から出ていくのであった。

 ……なんというかマイペースだよな、理人って。

 というかこんなに暴れといて普通に帰っちゃうなんて、本当理人らしいというか。

 「佐原……篠塚様を殴りやがった!」

 「うわ、只の淫乱じゃなかったのかっ」

 「理人様かっこいい……」

 残されたクラスメート達は次々に言葉を発していた。

 てか生徒会親衛隊の子ぽーっとしてるんだけど!

 いいね、理人ん所の生徒会親衛隊メンバーは結構可愛い子多いから萌える!

 隊長受けじゃなくていいから、親衛隊メンバー受けにでもなってくんないかな!









 *理人side

 「あームカつく」

 寮室に戻った俺は、キッチンで今ケーキ作りにはげんでいる。

 苛々した時は好きな事をするのが、一番だしね!

 それにさっき携帯見たら愛ちゃんから、生徒会親衛隊会議の日程決まったってメールあったし。

 明後日するんだって!

 今作ってるケーキはね、今月誕生日の親衛隊の子に誕生日プレゼントとしてあげるの。

 ふふ、親衛隊メンバーの子皆可愛いから、毎月その月の誕生日の子のために、 ケーキ作ってるんだよね!

 生徒会親衛隊って、四宮学園の中等部と高等部合わせて700人以上いるから、毎月たくさんの誕生日の子いるんだけど、俺お菓子作り好きだし、生徒会からひどい扱いうけてる可愛いわんこ達に元気になってもらいたいんだよね!

 とはいっても、流石に一人一人には渡しに行けないから親衛隊会議の時に高等部生徒会会長親衛隊代表とかの代表さん達に人数分渡して配ってもらうんだけどね。

 あーそれにしてもあの毛玉と篠塚君ムカつくなあ…。

 俺正当防衛しただけなのに!

 あ、やべっ。

 苛々してたら、ホイップが変な風になっちゃった!

 うぅ、失敗した…。まあ、いいか!

 とりあえずわんこ達の誕生日祝いなんだし、心をこめて人数分作ろう!

 そうやってたら、

 ~~♪

 スマホが鳴った。

 「はーい、もしもし誰ですか。

 俺今ケーキ作ってて忙しいんだけど!」

 誰か確認せずに電話に出る。

 『俺だよ、俺!』

 「俺って名前の知人はいないんで切るぞ?」

 『待て待て待て!

 俺だ、真希だ、真希だから!』

 「ふふ、わかってるよ」

 『なら最初から切るとか言うなよ!』

 真希で遊んでたら怒られた。

 「まあいいじゃん、で、用件は?」

 『理人が教室から去った後さ、風紀員と担任来たんだよな』

 「へえ……で?」

 ケーキのデコレーションしながら、携帯電話を耳に当てて問いかける。

 『担任の宮先生は香川に惚れてるみたいで喚いて、やって来た風紀員も何故か香川に落ちた

 しかも両方イケメン。何この素晴らしい総受けっ! 見てて顔がニヤけた』

 てか、風紀って、生徒会がヤりまくったりして風紀乱すから嫌いなんじゃなかったっけ……生徒会の事。

 『でさー香川と篠塚と柏木と松崎で風紀の奴らの溜まり場のさ、第一会議室にいったみたいなんだけど

 なんかさ、香川、ずっと風紀員の奴と宮先生に『あの親衛隊の奴が悪いんだ』とか喚き続けてたんだけど』

 うわーなんかリアルに想像できるかも。

 風紀員と担任は喚く毛玉君の言う事を信じきるわけだな。

 しかも風紀も親衛隊は淫乱って思ってるから、俺の事悪く思ってるらしいし。

 てゆーか、担任もイケメンだった気がする。ホストみたいな。

 毛玉君やっぱイケメンを惑わす何かがあんのかね?

 「面倒な事になりそうだね。

 昨日は会長と対面しちゃうし、今日は毛玉君にむかつくし……

 毛玉君来てからろくな事ないんだけど」

 『ドンマイ、理人。

 ま、柏木も行ったから全て悪い事にはならねえだろうな

 柏木は篠塚達と違ってまともだし香川に惚れてないし』

 「さっきも毛玉君の事止めてたしねー

 俺柏木君と接触始めてだったけど極めて好印象」

 『てか、理人の嫌いな面倒な事に突入してるけど、どうすんの?』

 真希の楽しそうな声が耳に届く。

 真希の奴、この状況楽しんでやがるな…。

 「ふふっ、俺は俺らしくいるだけだよ

 どうなろうとね」

 俺はそういって笑った。








*柏木千春side



 「昌士ーグスッ

 あの親衛隊の奴がぁ」

 今俺らがいるのは、第一会議室。

 ……目の前で、操が風紀員でファンクラブもある平野昌士ヒラノマサシに抱きついている。

 会長達にキスされて平然として、すぐに泣いて風紀員に泣きつく……。

 操って、言っちゃなんだが面倒な人間じゃないか、と先ほどの件があって思ってしまった。

 篠塚君と総矢は嫉妬に狂ったみたいに平野君を睨み付けている。

 というか、俺仲が良い人以外呼び捨てする気なんてないのに、香川君って操に呼んだら泣かれて、そうしたら総矢や篠塚君に睨まれて……渋々名前で呼んでいる。

 だって、総矢は親友だし、篠塚君は怒らせると怖いし。

 「そうか…、その親衛隊は許せないな……」

 平野君がそういって、操を撫でている。

 って……、

 「平野君……。確かに佐原君は操と篠塚君の事殴ったけど、それは……、操達が先に殴りかかったからだよ」

 うん、そうだよな。

 操と篠塚君が先に殴りかかったから、佐原君は殴ったんだよな。

 人を殴るのは悪い事だけど、操や篠塚君も悪いと思うし、一方的に佐原君を悪いっていうのはどうかと思っていったんだけど…、

 「ひどいっ……千春は友達なのに俺の味方してくれないのっ」

 何か、操が泣き出した

 「え、と、操そういう問題じゃなくて、操にも非が……」

 あるから、って最後までは言えなかった。

 平野君、篠塚君、総矢が俺を思いっきり睨み付けるから、怖くて言えなかった。

 総矢にまでにらまれるのが、何だか悲しくなる。

 総矢が、操に恋愛感情持ってるのは知ってるけど、今まで一緒に居た親友が、自分を憎悪にも似た瞳で睨み付けてくるのが悲しくないはずがない。

 「平凡が…、操をなかせるな」

 平野君が、言う。

 権力と容姿が全ての学園――…そこに幼稚園からいる平野君は平凡な俺に操を泣かせる権利はないといいたいらしい。

 「柏木……操を泣かす奴は許さないぞ」

 篠塚君がキツく俺を睨み付ける。

 ……俺は一般の生徒だし、喧嘩なんか出来ないし、睨まれると怖くて仕方がない。

 「千春……操をいじめないで」

 ……総矢までそういうもんだから、操に何かいう事は出来ない。

 操に非があるってあったら平野君に罵られ、篠塚君に殴られ、総矢に嫌われるんだろうと思う。

 それがわかってて、言えるほど俺は強くはない。

 「……ごめん」

 弱い俺は操に謝る。

 ごめん、佐原君。

 佐原君だけが悪いわけじゃないってわかってるけど、こんな状態じゃ言えない…。

 風紀の人達は、佐原君に接触してくるだろう…。

 ……それにしても、操が来てから総矢の性格がきつくなってる気がする。




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