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風紀委員を潰しましょう

二話連続投稿です。

 突然ですが、問題です。

 俺は今何をしているでしょうか。

 ①毛玉君信者in風紀撲滅計画。

 ②脅しというなの話し合い。

 ③毛玉君信者in風紀委員に囲まれてる。

 ④風紀委員に殴られそう。

 「てめえ操を苛めてんだってな」

 正解は全部。

 風紀委員を撲滅しようと考えてる最中、囲まれ脅迫され殴られそうという。

 学校いってのんびりしてたらいきなり囲まれて風紀委員室直行!

 小長井先輩も蕪木先輩もいない。

 というより毛玉君信者しかいない!

 つか風紀委員に毛玉君信者が10人もいるってなんていう……認めたくない現実。

 うん。

 何でトップに小長井先輩が居ながらこいつら馬鹿なの?

 ちなみに俺をこれでもかってぐらい平野君が睨んでるんだけどさ。

 平野君アホなのかな。この前小長井先輩に私情を持ち込むなって注意されてたのにね。

 「てめえ、操を苛めるな」

 「操ちゃんを苛めるなんて」

 「操はかわいいんだぞ」

 ちょっとまて、今操ちゃんって言ったの誰だ。

 あんな気持ち悪い毛玉をちゃん付けとかうわあって思うの俺だけ?

 てゆーか毛玉君の何処が可愛いんだ?何か恋は盲目というか、あきれちゃう。

 「苛めてなんてないんだけど」

 俺がそう言っても、

 「操がいってたんだ」

 「操は嘘つかない!」

 そう言われた。

 うん、とりあえず毛玉君信者って何で同じ事しか言わないのかな。

 そして10人の中には先輩もいるんだけどさ、後輩10人で囲んで情けなさすぎだよねえ。

 俺こういう弱い奴嫌い。

 てか囲まれてる中で10人相手にするの俺でもきついと思う。

 身動き取れないし、絶体絶命って奴?

 ま、俺はただでやられるような大人しい奴じゃないけどね。

 そういうわけで俺は風紀委員達の目の前でスマホを取り出すと愛ちゃんへと電話をかけた。

 「てめえ、誰に連絡してんだよっ」

 スマホを奪おうとしてくるがそれを阻止する。

 そうしているうちに電話はつながった。

 『理人君なーに?』

 「愛ちゃん、ヘルプミーだよ。俺今。

 第一会議室いるから」

 それだけ言って俺は電話を切った。

 「てめえ」

 「はやくこんな奴やっちまおうぜ」

 まわりの風紀委員がそんな事を言って俺に向かってくる。

 俺はそんな奴らににっこりと笑っていった。

 「さあて、時間稼ぎをしますか」

 そうして俺は動き出した。

 拳が振るわれる。

 俺はその手をつかんで、こちら側に引っ張る。

 引っ張られて俺に向かって放たれた拳はその男にぶつかった。

 そして殴られてフラフラしている男を、俺は囲んでいる数名の方へと押す。

 二人が倒れてきた男を支える。

 そちらにまわりの視線が向けられる中で、俺は足をひっかけて一人を転ばせる。

 そして態勢を崩して男が倒れていく。

 俺は、そこに開いた隙間を見つけて、素早く駆け出した。

 第一会議室から出る事――――それが一番の対処方法だと俺は考えた。

 いくら俺が親衛隊だろうと、風紀委員が寄ってたかって一人の生徒を囲ってる場面はこの毛玉君信者達にとって周りに見られたくない事のはずだ。

 「なっ、待て!」

 後ろで風紀委員達がそんな事を言っているが待つはずもない。

 俺は素早く駆けて、第一会議室からでた。

 もちろん後ろからは平野君達が追いかけてくる。

 逃げようとしたのだが、

 「逃げるな!」

 第一会議室の前で見張りをしていた男に捕まってしまった。

 うわ、ヤバいかも。

 てゆーか見張りも含めたら風紀委員11人毛玉君信者なわけ?

 俺は第一会議室の中に戻されながらも呆れていた。

 ……結局また囲まれてしまった。

 「操に手を出さないって約束しろ!」

 俺は腕を後ろでつかまれた状態で平野君にそう言われた。

 うん…、生徒を守るはずの風紀委員がコレって何か色々だめだと思う。

 「無理だよ」

 俺は平野君に向かってにっこり笑って告げた。

 「なっ――――」

 目を見開く平野君。

 そんな平野君に向かって、俺は笑って言った。

 「だって俺香川君のこと気に入らないんだよね。

 君達は香川君が大好きみたいだけど俺は大嫌い。

 香川君のせいで俺の大事なわんこ達や友人が傷ついて、そしてこの学園を香川君は乱すんだ。

 そんな存在俺はほうっておけない」

 せっかく、渉兄を脅してこの学園の支配権みたいなのは俺にあるんだ。

 俺からすればこの学園は俺の、なんだ。

 その学園で好き勝手されるなんて気にくわないのも当たり前だろう。

 第一毛玉君は悪影響すぎるし、性格がアレすぎる。

 「ふふ、君達の中で香川君と一緒に潰されたくないっていう子いる?」

 俺は風紀委員達に囲まれた中でにっこり笑ってそう問いかけた。

 俺の言葉にぴくりと反応したのが三人いた。

 俺はそれを確認して笑っていった。

 「潰されたくない奴今すぐ失せな―」

 「なっ、お前何を」

 平野君が何かいってる中でばたばたと部屋から出て行こうとするのが三人いた。

 ……毛玉君と同じように潰されたくないのが三人。毛玉君と一緒につぶされてもいいのが八人か。

 平野君は第一会議室から出て行こうとする三人に信じられないものを見るような瞳を向けた。

 「うわっ」

 そんな中で外に出ようとした三人は第一会議室の外を見てそんな声を上げた。

 ……来たかな。それを思って俺は口元を上げる。

 「理人君大丈夫!?」

 「理人さんっ」

 「理人様っ」

 愛ちゃんを筆頭とする生徒会親衛隊――――二十数名が入ってくる。

 平野君達が驚いたように目を見開く中で俺はいった。

 「全員、捕まえて」

 俺+親衛隊の子たちによって風紀委員の皆さんは縄で縛られていく。

 幾ら風紀委員が強い人ばかりとはいっても、敵の数が多ければこちらに暴力で勝つ事はできない。

 生徒会親衛隊は数だけなら人一倍いるからね。

 「平野君達、今の気分どんな感じ?」

 目の前に居る平野君達は俺たちに囲まれながら悔しそうに顔を歪めている。

 まあ、そりゃそうだよね!

 今までバカにしてた生徒会親衛隊に捕らえられてんだから。

 「そんなに睨んでも平野君達の状況は変わらないよ?」

 笑って俺は続ける。

 「さて、とりあえず小長井先輩に来てもらいまーす!」

 俺は目の前でそう宣言すると、スマホを取り出して、小長井先輩へと電話をかける。

 風紀委員の連中は俺が小長井先輩の携帯を知ってる事に驚いたような顔をしている。 

 なんだか、間抜けな顔で面白い。

 『もしもし』

 「あ、小長井先輩。俺佐原理人です。

 今俺、毛玉信者の風紀委員に襲われちゃって、親衛隊の子たちと協力して捕まえたんですけどきてもらえますか?

 第一会議室に」

 簡潔に要件を小長井先輩に告げる。

 ちなみに愛ちゃん達親衛隊の子は平野君達が暴れないように見張ってる。

 『……行く』

 小長井先輩はそれだけいうと電話を切った。

 何か色々思う事あるんだろうなあ、ってただ思う。

 風紀委員って小長井先輩の身内みたいなもんだし、そんな奴らが毛玉信者に成り下がればそりゃあ、ショックだよね。

 俺は電話を切ると平野君たちに向かい合った。

 「さっき香川君と一緒に潰されたくないって言った子達は小長井先輩にしっかり罰を与えてもらうからね」

 俺のそんな言葉に逃げようとした三人は驚いたような顔をするけど、そんなの無視して俺は言った。

 「もちろん、香川君と一緒につぶされてもいいって奴らはしっかり俺がつぶしてあげるから安心してね?」

 その言葉に何人かは青ざめ、平野君を含む数名はこちらをきつく睨みつける。

 「だって俺潰されたくないなら逃げていいって逃げ道作ってあげたよね?

 そこで逃げようとしなかったんだから、つぶされるの当然でしょ?」

 にっこりと笑ってそう言ってやる。

 ま、学園を退学にするのは当然として、平野君達が毛玉君信者として俺の邪魔をしないようにしっかり潰してあげなきゃね!

 「さあて、どうされたい?

 大人しく学園をやめてこの学園に二度と近づかないで、香川君と関わらずに生きていくか……。

 俺からきつーい仕打ちを受けて、俺に絶対服従になるかさ」

 にっこり笑ってそう言えば平野君は俺に馬鹿にしたような表情を向けた。

 うん、生意気だね。捕まってるっていうのに俺に服従なんて絶対しないって瞳みると逆に従わせたくなるよね!

 「生ぬるい潰し方とか俺嫌いだしなぁ…。

 精神的に絶望でも、してもらおうかなぁ」

 俺はそう言って、平野君達をどうするかを考える。

 ……精神的なダメージねえ?

 やっぱり毛玉君に二度と関わりませんって平野君に言わせるぐらいのきつい仕打ちがいいよねえ。

 あ、いい事考えちゃった!

 うん。楽しそうな事思いついたわけだし、小長井先輩とこの風紀委員の罰こっちで引き受けるように 交渉しなきゃな。

 「佐原……」

 平野君達に話しかけていたら、小長井先輩がやってきた。

 小長井先輩の瞳は鋭く細められ、その瞳は平野君達に向けられている。

 そんな瞳に、平野君達はさすがに少し体をびくつかせた。

 「委員長……」

 「平野……お前には俺は言ったはずだが。

 風紀委員は公正の立場でいるべきだと……、そして私情を持ち込むなと」

 そう言った、小長井先輩はそりゃあもう殺気に満ちた瞳を浮かべていた。

 流石風紀委員長、小長井先輩強いんだろうな、なんて思う。

 本当に風紀委員長である小長井先輩がまともな人で良かった。

 「そ、それは……」

 「言い訳は無用だ。佐原は一生徒だ。俺たち風紀は生徒を守り、風紀を取り締まるために存在する」

 小長井先輩はそう言って、一回言葉を切って言う。

 「俺は何度もそれをお前たちに言ってきたつもりだった。

 だが、お前達はそれを理解できなかったようだ。

 俺は、それが残念でならない」

 怒りと悲しみに染まった小長井先輩の瞳……。

 誰もが小長井先輩を見ながら口を開けない中、俺は言った。

 「ね、小長井先輩。

 香川君と一緒に潰されたくないって子達は小長井先輩の方で罰を与えて風紀委員としておいててくれませんか?

 そしてそれ以外は俺に引き渡してくれないですか?」

 にっこりと俺が笑えば、小長井先輩は一瞬目を細めて言う。

 「こいつらは風紀委員だから俺が責任をもって罰するといいたい所だが、今回の被害者は佐原だ。

 こいつらの処分はお前が決めるといい」

 「意外とあっさり引き渡すんだね。小長井先輩」

 「いや、お前の性格からして多分何か理由こじつけてこいつら連れていくだろう。

 それに俺はお前を敵になど回したくないのでな」

 わー、小長井先輩俺の性格よくわかってらっしゃる。

 やっぱり小長井先輩って面白い。

 俺は笑って、小長井先輩に言う。

 「ありがとうございます。ではさっそく連行しますね!

 愛ちゃん達こいつら連れてくよ!」

 俺は黙って平野君達を見張っていた愛ちゃん達に呼びかける。

 すると愛ちゃん達は、

 「うん、わかったよ。理人君」

 「理人さん! 俺頑張ります」

 なんてかわいく答えてくれた。






 *小長井匠 side




 佐原は、三人をおいて残りの八人を親衛隊の子に運ばせさって行った。

 本当に何というか、不思議な奴である。

 さて、三人の処罰をどうしようかと三人は俺をみる。

 とりあえず逃げないように言い聞かせて縄を解いた。

 「ごめんなさい!」

 一気に頭を下げてくる三人。

 ……話を聞くと確かに香川に惹かれていたようだが、皆がいるなら大丈夫と行動にでてあとから佐原が恐ろしくなったらしい。

 要するに香川信者になる一歩手前とも言える状況だったのだろう。

 そんな思考を巡らせていれば、

 「あれー風紀委員長と風紀委員だあ」

 「縄が落ちてるって何かしたのー」

 ……生徒会会計の渕上家の双子が顔を出していた。

 渕上塊と渕上蛍。

 生徒会役員の中では比較的まともな双子だ。

 「……少し厄介事があってな。お前らは何をしてるんだ?」

 「「暇潰しだよー」」

 本当にこの二人は同じセリフをよくもまあこんな風に被せていえるものだと感心する。

 そんな中で、―――♪と音楽が鳴った。

 どうやら渕上兄のスマホが鳴ったらしい、渕上兄はスマホを取る。

 「もしもーし、なにー?」

 『……』

 相手の声が渕上兄のスマホからかすかに聞こえてくる。

 ―――これはもしかしてだが、佐原の声か?

 「りょーかい、じゃあ行くよ!」

 『……』

 微かに聞こえてくる声が、佐原の声かと思うと何故か心がざわついた。

 ピッと渕上兄は電話を切ると俺の方を向いて言う。

 「風紀委員長さー何で僕の事そんなに見てるの?」

 そんな渕上兄の声に対し、俺は佐原と知り合いなのかという言葉を発せなかった。

 佐原と渕上兄が仲良いのかもしれないってのが、何だか嫌だと思ってしまう中で渕上兄は、

 「じゃあ僕たち行くから」

 と、渕上弟を連れて去っていった。









 *渕上隗side




 何であの風紀委員、俺をじっと見つめてたのか謎だ。

 噂から察するにあいつはホモじゃないはずだし、何なんだろうと、俺は思う。

 小長井匠―――理人が面白いと言っていたその存在の居た第一会議室からでた後、生徒会室に向かう蛍をおいて俺は理人がいつもいる空き教室へと向かっていた。

 理人に呼び出しを受けたのだ。

 『毛玉君信者に絶望をーって事で手伝わない?』と楽しそうに聞かれて俺は行く事にした。

 あのキモ害虫信者は適当に人気がない場所に放置してるらしく、精神的につぶす方法考えたから手伝ってといわれたのだ。

 ―――本当、容赦のない理人は面白くて興味深い。

 理人との共同での行動は一人で遊ぶより楽しくて好きだ

 ガラッと空き教室の扉を開ければ、そこには一人の女性と理人が居た。

 この学園で女性って事は新しく来た担任―――あの龍宮翔の嫁、龍宮麻理だよな。理人の交流関係色々謎すぎるよな……。

 「あ、隗、これ麻理ちゃん!

 今の俺たちのクラスの担任ね」

 「あたしが、龍宮麻理だ。渕上の事は理人に聞いている!」

 「そうなんだー麻理先生だねえ?」

 演技をしながら俺はちらりと理人を見る。

 理人が此処に担任を呼んでるってことは信用に値する人物だとはわかる。

 だけど素を見せていいのか、それを考えていたら、

 「渕上隗と言ったか。理人が面白い奴だと言っていたから楽しみにしていたが喋り方が気持ち悪いな」

 担任はそういって俺に冷めた目を向けてきた。

 「それに何だ、その胡散臭い笑顔は。何ともまぁ、その顔と口調は気持ち悪くてならない。あたしにとっては不快だ」

 ばっさりと担任はそう言った。

 それに、俺は面白くてならなかった。

 だから、

 「くくっ、やべぇ、麻理先生ってさいこーに面白いな」

 思わず、そんな風に素を出してしまった。

 面白い奴は大好きだ。

 そういう奴となら、幾らでも絡んでいい、俺はそう思ってるからこそ、素をさらけ出した。

 第一、理人はこの担任の事を信用してるから、それなら信用できると俺は思う。

 「やっぱり、隗なら麻理ちゃんを気にいると思ってた」

 「そりゃあ、いきなりばっさり言ってくる奴って面白いからな。

 あ、理人ももちろん十分面白いけどな」

 「ほう、そっちが素か」

 担任は面白そうに笑って、俺を見た。

 何処までも楽しそうな瞳に、面白い事が大好きな同志な気がしてならない。

 「そうですよ。で、理人何で俺を呼んだわけ? そして潰す対象ってどんな奴ら?」

 「ふふ、風紀委員総勢8名だよ! 小長井先輩に許可済み! 俺が対処してオッケーなんだ!

 あの毛玉君信者の風紀達さー、情けない事に10人で俺を囲んできたんだよ?」

 そう言いながら楽しそうに笑う理人は、がさごそと、近くにある袋の中を漁っている。

 風紀か……、あそこに風紀委員長と数名の風紀と縄が落ちてたのって理人の仕業か、と納得する。

 「思いっきり潰していいとなると面白そうだな」

 「だよねー、それ同感。

 毛玉君信者って本当むかつくからとことん潰してやりたいんだよね」

 笑顔で言う理人は、本当にいい性格してる、と思う。

 ついでに言えば、理人と俺の少し黒い発言に対し、楽しそうに笑ってる担任もいい性格してると思う。

 「ジャジャーンッ!」

 そう言って、理人は袋から次々とモノを取り出す。

 本当に楽しそうな理人を見てるとこっちまで笑顔になってくる。

 それぐらい、楽しそうで人を笑顔にさせる笑みを黒い事を考えながら理人は浮かべているのだ。

 本当に、面白いと思ってならない。

 理人が取り出したのは、何かの機械に、録音機に……。

 何をしでかすか、想像できないからこそ、わくわくしてならない。

 「ね、隗、これ使ってヤられる男の子のふり、俺と一緒にしよー!」

 ………理人はんな爆弾宣言を俺の前で言いやがった。

 いや、ちょっと待て。

 説明なしにそんな事言われたらどう反応すればいいんだよ!

 「……よし、理人俺は説明を求めるぞ」

 「あのね、隗、これさ、声変える機械なんだ!」

 「んなもん何処で手に入れたんだ?」

 「色々伝手があるもん、俺」

 にっこりと理人は笑うと、説明を再開する。

 「要するに、違う男の声に変えてさ、俺と隗がヤられてる男のふりして、声を録音するわけ。

 それでさ、そんなあえぎ声っぽいのあげながら、平野君とか風紀委員の名前呼ぶの」

 …理解した。

 要するに理人は俺と理人のその声変えた演技を録音して、風紀達がやった風にして、それでたたみかけるわけだな。

 俺はそれを理解して、問いかける。

 「もちろん、それはあのクサレ害虫に送るんだよな?」

 「当たり前じゃん! 毛玉君って単純だし、これ聞いたら絶対平野君達の事嫌うしね、退学に追い込んで、毛玉君達に嫌わせる。

ってのを、とりあえず筋書きとして考えたんだけど、隗はなにか意見ある?」

 「…そうだな。理人を囲んできたような馬鹿なんだろ、そいつら」

 「うん、今も捕まえられてるってのに、自分の立場理解してないのか、反抗してくる馬鹿な子達だよ」

 それは、潰しがいがありそうな奴らだ。

 それなら、理人が考えてるよりもっときつい罰を与えて徹底的に反抗気力をなくすのが一番だよなぁ…。俺はそれを思って口元が思わず緩む。

 「わー、隗笑顔が滅茶苦茶黒いよ?」

 「そりゃあ、俺親友とかに手を出す奴潰したくてたまらなくなるから」

 「隗は俺の事大好きなんだね?」

 面白そうに笑う、理人。

 それに対し俺は笑って答える。

 「そりゃ、俺は面白い奴は好きだからな」

 「本当、はっきり言うよね、隗って」

 そう言って笑う理人を見ながら俺は考える。

 ……害虫に嫌われるように仕向け、学校を退学させ、あとできる事とは何か。

 それで、頭にある考えが浮かぶ。

 「なぁ、理人録音したやつさ、奴らの実家に送りつけないか?」

 「流石、隗、黒い事考えるね。そう言うところ好きだよ、俺」

 「そりゃあ、徹底的に潰さなきゃ気がすまねぇからな」

 俺はそういって、次に担任を見る。

 「ところで、担任…あー、麻理先生って呼ぶけどいいですか?」

 「もちろんだ。あたしはお前の事を隗と呼ぶがいいか?」

 「いいですよ」

 むかつく奴からの呼び捨ては嫌なんだけど、気にいった奴から名前で呼ばれるのは俺は全く気にならない。

 ああ、害虫が俺の事名前で呼びやがるの思いだしていらついてきた。

 あの害虫……っ!

 この害虫への苛々をたっぷり風紀に向けてやろう。

 「で、麻理先生、何で此処に居るんですか?」

 「あー、それはね。麻理ちゃんに判定してもらおうと思って!」

 「判定?」

 「そう、麻理ちゃんね。龍宮翔と付き合いだす前まではM男ばかり相手にしてたんだ」

 笑いながらそう言う理人の言葉に、流石の俺も驚いてしまった。

 M男ばかりを相手にする、美女…。

 何て言う、興味をそそられる響き? いや、てゆーか、SMプレイ?

 ちょっと好奇心出てくるんだが…。

 「あのね。麻理ちゃんさ。男が何て言うの、苦痛感じながら感じる姿好きだったらしくて」

 「Sなんだな」

 「そう、男とヤる場合、毎回麻理ちゃんが主導権握ってる状態だったらしいよ?

 まぁ、龍宮翔に出会ってから、龍宮翔が主導権握ってヤってるらしいけど」

 なんつー、キャラが濃いというか、性癖があるというか……、つか理人の知り合いって何で面白い奴が多いんだか。

 麻理先生をちらりと見てみる。

 にこにこと、何か聞きたいのかしら? とでもいう目で俺を見ている麻理先生。

 本当、いい性格してる、としか言いようがない。

 「それでさ、俺達がヤられる演技するので、聞く人を騙せるぐらいの演技か、麻理ちゃんなら判定できるなぁと思って!」

 そんなこんなで、俺と理人は、ヤられてる男の声をやる事になったんだが…。

 まぁ俺が演技常にしてるから、できると思って呼んだらしいんだが…。

 ヤられる側経験した事ないから、いつもヤってきた男とか女とかの声を真似てやるしかない。

 要するに無理やりやられてる風の演技…。

 「…や、やめっ! あぁ」

 ちょっとやってみた。

 いや、もう、何この羞恥プレイ。

 完璧じゃないのは、俺のプライドが許せないし、風紀の連中潰したいからやってるけどさ。

 理人は理人で、隣で演技する俺を見て、笑って、自分も演技をはじめてるし…。

 「平野君っ、何でっ、なん…やぁ…っ、やめ、やめ……っ」

 …そして、理人。

 お前何でんな、ノリノリで演技してるんだ。

 恥ずかしげもなく、そんな演技されると本当、理人らしいというか…。

 「あぁあ、あぁ、やめっ、やめてぇ、○○君ぅ」

 「や、きつっ。あぁ、いやっ」

 「やめてぇぇ、そんな、そんな、の、いれな…やぁ…」

 「いや、いやぁ!!」

 「ひら、平野…くん、や、あっ」

 「な…で、こな…ひどい、事…するの…?」

 「やだぁ、いや、あっ、いたっ、ぁあんっ」

 ひたすら目的のために演技をする俺達と、それを見ながら面白そうに笑ってる麻理先生。

 いや、なんつー、カオス。

 そして俺達無表情でそんな演技してるんだが、そんな声出してるんだが…、周りから見たら何だこれと思うよな、これ。

 しかもちらりと麻理先生を見ると、ソファに腕を組みながら偉そうに座って、何か目をキラキラさせているんだが。

 「よし、理人、隗!

 もっとよい作品を仕上げるために、少し絡んでみようか!」

 「は?」

 「えーと、麻理ちゃん、それはどういう……」

 俺と理人、二人して演技やめて麻理先生を見る。

 そしてそんな俺らに麻理先生はいった。

 「何もヤれと言ってるわけじゃないのよ。耳たぶをかむ、それか首筋をなめるとか、そういう事するだけでもいい声出るものなのよ!!

 翔に出会ってから、男に主導権ある性行為の気持ちよさを知ってから男の感じてる声なんて聞いてなかったから、何かみたいのよ。

 しかも、絶対に下になんなそうな理人と隗が何かあえいでるのよ?

 顔は無表情だけど、目をつぶれば興奮ものなの」

 ……何だか、興奮したように一気に言う。そうして麻理先生は続ける。

 「ああ、昔を思い出すわ! あたしの寵愛を受けたいと願う、何人ものM男達!

 そうしてその男達同士で絡ませるの!

 嫌がってるのに、あたしの寵愛を受けたいがために必死に命令を受け入れる可愛い子達、ああ、ぞくぞくしてきたわ」

 「ちょ、麻理ちゃん…」

 理人が制止の言葉を放つが、麻理先生は止まらない。

 「ああ、もう、久しぶりのぞくぞく感、いいわ!!

 二人とも絡みなさい。首をなめるぐらいで勘弁してあげるから!」

 「いや、というか、麻理ちゃん……、寵愛受けたがってたM男集団って?」

 「あら、理人も知ってる人居るわよ、沢山、岩田とか、堀口とか、沢渡とか、全員あたしの元ペット」

 「えぇえ!?

 いや、麻理ちゃん、何でそんな人達と、龍宮翔は仲良くしてんの?

 普通に友人やってるよね? 奥さんの元ペット達と仲良いって何?」

 …女王様とペット。

 SM、そんな感じなんだろうか。

 というか、本当理人が聞いてる通り何で、奥さんの元ペットと友人やってるんだ。

 「そりゃあもちろん、奴らはMだからこそ、翔の奴隷的存在にもなってるのよ。

 翔はSだもの、たまにあたしと翔できつい言葉浴びさせてやると凄く嬉しそうな顔してるわ。

 翔はかっこいい系が好きだから気持ち悪そうに奴らを見てるけど、パシリとしては有能だからって友人なのよ。Mな所以外はまともな奴らだしね。」

 ……何だか龍宮翔についての認識がどんどんおかしくなっていく気がする。いや、さ、色々おかしすぎだろう。

 というか、麻理先生の夫やってる時点で凄いと思って来たんだが。

 「うわぁ、何か流石というか…。うん、麻理ちゃん達らしい」

 「ふっ、それはそうと、さっさといちゃつきなさい」

 「えー、やんなきゃなの?」

 「もちろん! 噛むか、舐めるかとか、そこらへんで許してあげるから!」

 ちょ、待て麻理先生。

 何かスイッチ入ってないか、Sとしての血というか、そこらへんの女王様、スイッチみたいなの。

 何かにじみ出る雰囲気に、体がびくっとなる。

 いや、色々おかしいけど、何か麻理先生の言葉には逆らえない何かがある、というか…。

 「んー、じゃ、隗の耳は前噛んだし、首舐めるか?」

 「って、待て!

 俺の耳噛んだなら、今度は俺からやる番だろ!

 やられっぱなしとか、俺のプライドが許さねぇよ」

 そうだ、俺は決して、ネコではないんだ。タチなんだ!

 襲う側であって、襲われる側じゃないんだ!

 要するに噛む側であって、舐める側なんだよ、普段は。

 「えー」

 「えーじゃない!」

 「え、てか理人ってば隗の耳噛んだ事あるの? どんな可愛い反応してたの?」

 麻理先生、んなこと聞かなくていいから!!

 「え、そりゃあ、顔真っ赤にして耳抑えてたんだよ。隗、めっちゃ可愛かった」

 「って、理人もそんな言うな!」

 恥ずかしいんだよ。

 あれは確実の俺の中で人生最大の汚点だ。

 あんな、あんな…、いやもう、噛まれるとか絶対嫌に決まってんだろう。

 そしてばらすな、理人!!

 「へぇ、隗ってそんな反応するんだ?」

 ……麻理先生が獲物を見るような目で俺を見ている。

 いや、そんな目で見られても絶対嫌だ。

 「いや、理人の方がきっといい反応するって!」

 俺は必死でそう言った。

 「えー、俺やだよ。噛まれた事なんてないし」

 「いや、俺も嫌だし!!」

 「えー、隗受け側やってくれないの?」

 「いや、絶対嫌だし」

 「俺も嫌だよー、大丈夫だって、隗の反応可愛かったし、麻理ちゃんに合格もらえるって」

 何の合格だ、それは。

 そもそももらっても嬉しくないから、絶対嬉しくないから。

 つか、真面目に、受け側とか、いやだから。実際にヤらないにしても、絶対嫌だから。

 というわけで、俺と理人の必死の譲り合いは、続く。

 「よし、やらないなら、二人揃って」

 「ごめん、麻理ちゃん、それは嫌だ!」

 「俺も嫌だ。

 よし、理人じゃんけんで決めるぞ」

 俺がそう言えば、理人は頷いた。

 そうして、真剣勝負は始まるのである。

 ジャンケンをやり、俺と理人は互いに手を出す。

 そうして、その結果は、

 「よっしゃ!」

 俺がパーで、理人がグーだった。

 というわけで、俺の勝ち。

 受けになる事をどうにか出来そうで安心する。

 そうして、理人は逆に、何だか嫌そうな顔をしてる。

 「理人、耳噛むのと、首舐めるのどっちがいい?」

 「どっちもいやだ」

 そりゃ、そうだろうな。

 しかしまぁ、理人は前、俺の耳噛んだわけだし、同じ事してやろうというわけで俺は理人に近づく。

 ……理人、何か目をつぶってんだけど、俺と同様やられる側になれてないから、不意打ちならともかく、やられるとわかってて、だから余計身構えてるんだろうと思う。

 身構えてる理人は何か新鮮で、何だか、面白くてならない。

 俺はそんな理人に近づくと、がぷっと、耳を噛んだ。

 「ひゃっ……」

 「おー。予想以上に可愛い反応」

 耳を噛んだ瞬間、ひゃっって言ったよ、理人。

 しかもやっぱり、俺同様なれてないせいで、顔赤いし。

 何か面白くて、俺は調子に乗って、理人の耳をべろりっと舐めてみる。

 「ひゃぁあっ、ちょ、隗っ」

 「うわー、顔真っ赤だ、理人。

 俺の耳噛んだとき色々理人言ってたけど、理人も人の事言えなくね?」

 「噛むだけで終わると思ったらまさかの舐めるとか、俺びっくりしちゃったじゃんか」

 「いやー、理人の反応面白くて思わず」

 そう言って笑ってやれば、睨まれた、理人に。

 ……そして、録音機片手に何か居る麻理先生は、楽しそうに笑ってるんだけど。

 「いいわ、隗、ベリーグッドよ!! 理人の貴重な姿見れれば私満足。

 できればもっと隗に理人を苛めて欲しいところだけど、嫌われるのは勘弁だから、やめとくわ」

 …いやいやいや、苛めてほしいってどんな願望なんだよ。

 まぁ、確かにそれはそれで楽しそうだけど。

 理人の気持ちもわかるし、理人からすれば、絶対たまったもんじゃないって。

 そんな事を思いながら、俺は麻理先生を見つめる。

 そんな中で、理人は言った。

 「あー、駄目だ。人生最大の恥だ」

 「…俺も理人に噛まれたの人生最大の汚点だと思ってる」

 「だよね、やる分にはいいけど、やられんのは嫌だよね」

 「ああ」

 そんな会話を交わして、理人と俺はしらばく、ヤられるふりの録音をした。

 もちろん、麻理先生は相変わらず笑っていた。

 まぁ、そんなカオスが続いて、その後俺たちは解散した。

 ……さて、録音された音声の方は理人が『銀猫』に頼んで編集してもらうと言っていたし、風紀の連中がつぶれるのが楽しみである。



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