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真希の恋愛事情です

二話連続投稿です。




 *菅崎真希side


 副会長が学園から消えた。

 理由はわかる。

 理人がやったんだと、理解してる。本当に、あいつは敵には容赦ない。

 そんな事を考えながら俺は廊下を歩いていた。

 そうしていれば、

 「真希」

 と声をかけられた。

 振り向けば、美乃君が居た。

 「美乃君!」

 朝から美乃君に会えた事に嬉しくて思わず声を上げてしまう。

 美乃君は香川の事じゃなくと俺の事信じてくれて……なんか改めて好きだなと思った。

 「一緒に学校行くか?」

 美乃君が、そう言って、俺に笑いかけてくれる。

 その笑顔にドキッとなる。

 ああ、好きだ。それを理解してカアアァと顔が思わず赤くなる。

 「ん、真希風邪か?」

 そう言って、俺を心配そうに覗き込む美乃君。

 ……顔が、近い。

 駄目だ、美乃君に見つめられると緊張する。

 「だ、大丈夫だよ。美乃君」

 そうやって美乃君と会話を交わしていたら、

 「あ、美乃! 真希!」

 何故か香川がやってきた

 何で俺と美乃君を呼び捨てにしてんだよ、それを思って苛々する。

 せっかく美乃君と一緒に居れて幸せなのに、何で現れるんだ香川。

 正直邪魔。

 それに美乃君の事、そんな風に呼び捨てにしないでほしい。

 「操、何の用だ?」

 美乃君が、香川の下の名を呼んで問いかける。

 それだけでイラッときてしまう。

 お前何かが、美乃君を呼び捨てにするな!

 お前何かが、美乃君に呼び捨てにされるな!

 ああ、ムカつくムカつくムカつく………苛々する。

 「暁探してるんだ、知らねえか?」

 香川はそう、問いかけた。

 というより思う事と言えば、生徒会と風紀は仲良くはない。

 それなのに美乃君に会長について聞いてる時点で、何なんだ、こいつとしか思えない。

 「東宮? 知らないが…」

 「美乃、何で暁を暁って呼ばないんだ! 友達なら暁って呼ばなきゃ駄目だろ」

 ………いや、もう何こいつ。

 俺はどっから突っ込めばいいんだ。

 というより学園から消えた副会長について何も感じてない所が、副会長哀れとしか言い様がない。

 副会長は馬鹿な人だったけど香川に対する思いはきっと本当だったはずなのに。

 それなのに理人達にあれだけやられ去った副会長を何も香川は気にしていない。

 最後にみた姿がボロボロだったからかもしれないが、本当に理解出来ない。

 「俺は別に東宮とダチではない」

 美乃君はそう答えた。だけど、香川は喚く。

 「何でそんな事言うんだよ! 皆仲良くしなきゃ駄目だろ!」

 「黙れ、香川」

 香川の言葉にイラついて、冷たい声が出てしまう。

 美乃君を困らせる奴なんて、皆嫌いだ。

 美乃君は香川に興味を持っていたし、香川は理人を困らせる。

 そんな奴、俺は嫌い。

 俺が怒っているのを理解したらしい、隣にいる美乃君は、

 「真希、やめろ」

 俺に後ろから抱きついて、そう言った。

 それと同時に思考がフリーズする。

 怒りより、嬉しさとか緊張が、俺を支配する。

 「本当、真希はこうすると大人しくなるよな」

 美乃君が、後ろから抱きついたまま言う。

 望――俺の弟が俺の気持ち知ってて美乃君に俺が切れた時に抱きつけば止まると吹き込んだために美乃君は俺を抱きついていつも止めるのだ。

 ………美乃君に抱きつかれるのは幸せだ。

 だけど滅茶苦茶恥ずかしい。

 それにドキドキして、心臓の音、美乃君に聞こえたらどうしようって、思う。

 「あーずるい!

 俺も真希や美乃と仲良くしたい! 混ぜて!」

 幸せ、なのにわめき散らす香川が邪魔。

 大体俺も混ぜてって…、てめえが、美乃君に抱きつかれるって事か?

 駄目だ、苛々してくる。

 俺は美乃君の恋人ではないし、こんな事思うの間違ってるかも、しれないけど…。

 誰かが、美乃君に抱きつかれる、って嫌だ。

 想像しただけで抱きつかれた奴、殺したくなる…。

 香川の事、嫌い。

 だから余計苛々する。

 「……真希、行くか」

 美乃君の言葉に、俺はこくりと頷く。

 「な、待てよ」

 香川が何か言っていたが、俺と美乃君は香川から逃げた。

 「…まいたか」

 しばらく逃げて後ろを振り返って美乃君が言った。

 俺はそんな美乃君をじっと見つめる。

 美乃君は香川を気に入ってたはず。

 だけど美乃君は俺の話聞いてくれて今此処にいる。

 「どうした?」

 俺の視線に気付いたらしい、美乃君が言った。

 「いや……美乃君、香川の事……気に入ったって、いってたから、いいのかな……って」

 香川から離れてくれたのは嬉しいけど、美乃君の意志無視してたら、嫌だって思った。

 余計な事言ったかな、とか、これで香川に美乃君が近づいたらどうしようとか思って下を向いてしまう。

 「真希、顔あげろ」

 美乃君の言葉に上を向けば、美乃君は笑っていた。

 そして、言うのだ。

 「俺、真希の事信用してるし、真希の事大事だしな」

 なんて嬉しい事を。

 ……笑顔でそんな事を言われたらドキドキして仕方がない。

 「お、俺も美乃君の事、だ、大事!」

 恥ずかしくて、そう答えるのが精一杯だった。

 顔が、赤くなってんのがわかる。

 それを見て美乃君は笑うと、「お前、可愛いな」ってわしゃわしゃと頭を撫でられた。

 幸せだ、と思う。いつか、美乃君の恋人になれたらな、なんて思う。





 *龍宮理人side




 「すまなかった」

 ……いや、何この状況。

 現在俺に降りかかっている状況に、俺は少なからず驚いていた。

 麻理ちゃんや真希に、春ちゃんの事を任して空き教室で、次は誰を潰そうかとか考えてたら、何故か愛ちゃんと会長が一緒になって空き教室にやってきた。

 そして俺は会長に謝られた。

 「貴様が、いったように、親衛隊は、淫乱じゃないんだな……」

 会長の言葉に耳を疑う。

 「あ、あのね。理人君! 暁様謝ってくれたの

 親衛隊の事理解してくれてそれで僕に理人君に会わせてくれって……」

 愛ちゃん可愛い! じゃなくて、会長が気付いた?

 それを理解して、俺が思った事は気づくの遅いよという、そういう事であった。

 「へえ気づくの遅いですね、バ会長。流石バ会長。馬鹿なんですね」

 「貴様、二回もいう必要ないだろ!」

 「あるに決まってるじゃないですか。

 会長が親衛隊が淫乱じゃないと気づこうが気付かまいが俺は会長が嫌いですよ?」

 にっこりと笑っていってやれば、会長は固まった。

 「な、何故だ!」

 「わからないんですか。馬鹿ですね。

 会長は、気づいて愛ちゃんに謝って俺に謝ってそれだけで自分は許されるとでも甘い事思ってんですか?

 会長が抱いて傷つけた子愛ちゃん以外にも沢山居ます。会長に殴られた子、暴言を吐かれた子沢山居ます

 皆傷ついてたんですよ?

 俺には会長の良さなんて全くわかりませんが、親衛隊の子は会長を慕ってますからね。

 皆が許したとしても俺は会長を許さないし、きっと嫌いです」

 俺の大事な、親衛隊の子を傷つけておいて、謝ったからって俺は許さない。

 会長が謝っても俺は会長が嫌いだ。

 気付いたのは、いい事だけど気付いて謝ったからって皆が抱かれたり殴られたり暴言吐かれた事実は変わらない。

 「り、理人君……暁様を怒んないで」

 「ふふ、愛ちゃん可愛い!」

 好きな人のために必死に言葉を吐き出す愛ちゃんは何か可愛くて頭を撫でてしまう。

 俺は、撫でながら俺の言葉に無言になっている会長を見た。

 「会長、愛ちゃんの可愛さに免じて今は何も言いませんけど、よく考えてくださいね?」

 俺がそう言ってじっと見れば何故か俺をまじまじと見ている会長。

 そして会長はいった。 

 「……どうしたら貴様は俺様を嫌いじゃなくなる?」

 「は?」

 弱々しいその言葉に俺は耳を疑い、それと同時に気持ち悪さを覚えた。

 「だ、だから貴様はどうしたら俺様を嫌いじゃなくなるかと聞いてるんだ!」

 空耳じゃなかったらしい。

 確かにわざと俺に興味向くように仕向けたけど…。

 だけどさ、何か真希の言ってたフラグっぽいの立ってね?

 というか大嫌いと言われて興味持つって何か単純すぎて、うわっと思う。

 しかもMなのか、暴言吐かれて興味持つって。正直会長嫌いだからそんな感想しかもてない。

 俺は簡単に嫌いな人間を嫌いじゃなくなる、なんて事は出来ない。

 「自分で考えたらどうですか?」

 俺可愛い馬鹿な子は好きだけど、可愛くもない馬鹿な子は嫌いだからね。

会長って俺からしたら可愛くもない馬鹿だから。

 とりあえず早い話が自分で考えなさいって事。

 「あ、一つ会長に質問があるんですが、聞いてくれますか?」

 俺はそう言って、会長を見た。

 「何だ?」

 「俺のやる事に何も口出さないでくれますか?

 あと香川操は潰す対象ですので会長が香川君の味方するようなら

ジ・エンドです、というわけでどっち側に付きます?」

 にっこりと笑って問いかけてやる。

 ………うわ、会長の顔が微妙に赤い気がする。鳥肌立つ、何この気持ち悪さ。

 そんな反応は愛ちゃんにでもしてくださいとしか言い様がない。

 「操を、潰す?」

 「はい。香川君は俺の大事な子達や俺に害を及ぼすんですよ?

 潰すのは当たり前でしょう?」

 そういえば会長は何とも言えない表情を浮かべた。愛ちゃんは何も言わずに、ただ俺と会長を見ている。

 愛ちゃんは俺が、強姦したりした奴や、邪魔な奴を排除してるのを知ってる。

知っていながら俺を優しい、ってそんな事を言う。

 愛ちゃんの方が、俺何かよりきっと優しい。

 「俺様は……」

 会長が口を開く。

 何処か迷っているような視線。

 「………こちら側につく」

 だけど会長は確かにそう言った。

 それを聞いて俺は笑った。

 「よかったです

 これで香川君の味方するっていったら2、3ヶ月ほど喋れない、動けないほどの重症をおってもらう所でした」

 「貴様っ……」

 会長は俺の言葉に何とも言えない顔で俺を見る。

 その顔は何処か青ざめている。

 「あ、会長。副会長潰したの俺ですからね」

 「は?」

 「というわけで生徒会メンバーだろうと俺の邪魔になりそうな奴は潰しますので」

 にっこりと笑う俺。

 会長の顔はみるみる青ざめて行く。

 自分も潰されるかもとでも思ってるのかもしれない。

 「安心してください。

 愛ちゃんに謝ってくれましたし、こちら側につくと言ったので会長は潰しません。

 ただし、俺の邪魔をするようなら邪魔にならないように害虫駆除が終わるまで眠っててもらうつもりなのできちんと考えて行動してくださいね」

 邪魔になるなら、病院行きという事である。

 だって会長見るからに馬鹿だし、余計な事しそうなんだよね。

 俺の言葉に会長は青ざめながら頷くのであった。





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