俺の可愛いわんこ達より毛玉がいいとかざけんな副会長
「理人っ
今日転入生来るんだよ、転入生!
絶対王道だよ、王道
わかりやすすぎる変装して、案内役の副会長の嘘の笑顔見破ってキスされるんだよ!
きっと理事長の甥とかだよ!」
「待て、真希。
そうなるとその転入生俺の親戚になるんだが……」
目の前に、例の腐男子・菅崎真希がいる。
真希は金髪で派手な外見をしている。それでいて実家がやくざだったりするという中々危ない奴である。
そして自分でバイだっていってる腐男子だ。
オープン、腐男子なのにこいつには親衛隊がある。謎だ。
というか真希の親衛隊は真希を喜ばすためだけに目の前で性交を進んでしようとする奴まである。(真希が愛のある行為じゃなきゃ駄目っとかいって止めた)
真希も真希の親衛隊も色々予想外の行動とかしてくれて面白い。
「あー、理人の兄ちゃんだもんね、理事長」
「渉兄が兄なんて認めたくもないあのヘタレは情けない」
そう理事長は俺の兄でもあった。正直あんなヘタレな兄は情けなくて、兄だなんて認めたくはないが。
「いいじゃんいいじゃんっ
秘書×理事長だよ! 萌えだよ萌え!」
真希は興奮している。ちなみに渉兄は秘書と付き合っていて受けである。
「まあ。真希のいう王道転入生なんてどうでもいいけど…。俺に危害さえ加えないならな」
「あー王道って基本的に性格がアレだからな。
俺も関わりたくないっ
やっぱり傍観するのが第一!
安心して理人! 理人に王道君は近づけさせないからっ」
真希はそういって笑う。
……一応いっておくが真希は俺が好きなわけじゃないぞ?
俺が総受けになるっとか俺に近づけさせないっとか言ってんのはただ単に俺の性格(切れたらヤバい)知ってるからと、真希は友達思いだから幾ら総受けが見たくても無理矢理はしないからな。
第一真希好きな奴いるし、この学園に。
というか真希に読まされたその王道BL学園の奴みたいに、友人も親戚も生徒会も皆が貞操狙ってたら滅茶苦茶恐ろしいじゃねえか…。
「あー王道は見るのが一番!
理人、一緒に王道鑑賞しようぜっ」
「……あーお前、監視カメラ設置してるもんな」
萌えを見るためと称して、真希は監視カメラを学園内に設置している。
とはいっても、流石にプライバシーの侵害だから、校門とか廊下とか公共の場だけみたいだけど。
もちろん理事長の渉兄には脅して許可もらってる。
「そうっ!
王道を見たいんだ、俺はっ!
あ~つか王道君何処のクラスに何のかなっ
超楽しみっ」
「つか転入生がお前の言う王道って決まったわけじゃねえだろうが……
そして本当に王道なら違うクラスを希望する。
お前の好きなBL本見る限り親衛隊隊長の俺に突っかかってこないとは限らない」
俺面倒な事大嫌いだし、そもそも気に入った奴としかつるむ気ないし…。
「パソコンで見れるんだろ?
そろそろ来てるんじゃね? 校門にその転入生」
俺がそう言えば真希ははっとなったようにカバンからパソコンを取り出す。
こいつはパソコンを持ち歩いている。
というか、真希は情報屋やってて、まあ生徒会の連中は族入ってて、生徒会からの依頼もこなしてるらしい。
まあ生徒会の連中バカばっかだから、真希は情報屋ん時は変装してフード深くかぶってるからって学園に居るのに気づかない。気づかないとか馬鹿だよなー。
それにしても俺、面倒事嫌いだからってサボってこの空き教室に居すぎだよな…、今度からちゃんと教室行くか…。
そんな事を思ってたら、
「王道キタ――――っ」
なんて真希が叫んだ。
真希はパソコン画面に食いついている。
俺もそれを覗く。
………そこには、塀を飛び越えてる毛玉が居た。
ボサボサの毛玉を連想させる頭……、今時あんなの売ってあるのかといういかにもなメガネ。
きっちりと着込まれてる制服。
そんな奴が塀を飛び越える……、異様である。というか、なんで正門から入らず塀を飛び越えているのかが意味がわからない。
そんな中で画面には副会長の姿が映った。
副会長の名前は……確か三谷だったか?
顔はわかるのに名前しらねえんだよな、奴ら嫌いだし。
親衛隊隊長として失格だろうが、まあいいだろう。
とりあえず副会長は腹黒だ。エセ紳士とでもいうのか、素晴らしいほどの作り笑い。
副会長が転入生に接近して行くかと思うと、真希が手にもっていた機械を操作する。
すると……、
『あなたが新入生の香川操君ですね。
私は生徒会副会長の三谷直哉と言います』
……画面から副会長の声が漏れた。
真希の方を見れば、
「ふっこの俺は準備万端なんだ!
副会長が転入生を案内するの知ってたからさ、王道を見るために盗聴器をしかけたんだよな!
副会長の制服にっ」
笑顔でそんな事を言われた。
……王道とはそんなに大事なのか、と呆れてしまいそうだ。あと盗聴器つけられても気づかないとか、副会長は馬鹿なのだろうか。
『よろしくな……お願いします。
直哉……君』
……転入生馬鹿か?
敬語使いにくいなら使うな、あからさますぎだろ。それに副会長一応先輩だぞ?
オタクルックみたいに変装してんなら先輩つけろよ。思わず突っ込みたくなった。
しかもいきなり年上に君付け、つかあの毛玉今呼び捨てにしようとしてたし、副会長敵に回す気なんかね。
副会長ってプライド高いって話だし、あの毛玉色々大変そうだなと他人事のように見ている。
『ええ
では理事長室に行きましょう』
そして副会長の笑顔が胡散臭い。なんだろう、あれだけ胡散臭さ満載の笑顔を浮かべているとか、馬鹿なのだろうか。どうせなら徹底的に周りに胡散臭さがわからないぐらい完璧に笑みを浮かべればいいのにと思う。
『おま……直哉…君っ
何でそんな作り笑いしてるんだ…ですか?』
転入生……確実に副会長の事お前っていいかけたな…
そして作り笑いを指摘って、副会長が作り笑いしてんのはいつもの事だし誰も気づいてても指摘しねえよ、んな事…。
『……っ』
あれ、副会長驚いたような顔してる?
つか隣で真希がハァハァいって興奮してるし……。
なんか変態っぽいな。
そんな事を考えていたらまた声が響いた。
『私の、作り笑いに気づいてくれたのはあなたが初めてです……。
気に入りました』
ってはあああ!?
副会長……うちの可愛い親衛隊のわんこちゃん達はな、お前の作り笑いなんてとっくに気づいてるってーの。
いつか本気の笑顔を見せていただきたいって頬を赤らめる可愛い俺の親衛隊メンバー達をさしおいて毛玉君を気にいるなんて、副会長許さねえ……。
……あーつか馬鹿なのか副会長。
まさか自分の作り笑いは誰にもばれてない、みたいなアホな事思ってたのか…。
生徒会親衛隊メンバーの副会長を愛してやまない可愛いわんこ達は皆気づいてるっていうのに……。
「えーと……理人…何怖い顔してんの?」
王道王道とテンションを上げていた真希は俺の方を見て、問いかけた。
「ふふ、だってさ真希
副会長ぶちのめしたいんだもん
俺の可愛いわんこ達は偏見で淫乱って決めつけてるくせに、あんな毛玉がわんこより気に入ったってねえ?」
マジぶちのめしたい。
くたばれ副会長…。
つか視線を向ければ画面の中の副会長……何故か毛玉にキスしてんだけど。
うわ、キモッ。
そもそも会ってまもないのにキスとか、引くよね。
「おーっ王道だ王道!」
なんか真希は騒ぎ出したし……。
副会長…潰してえ。
ぶちのめしてなきものにしたい。ああ、まぁ、殺人は流石にしないけど。でも徹底的に潰したい。
つか生徒会長、副会長+会計のチャラ男は特に潰したい…。
あ、生徒会って会長、副会長、会計二人、書記二人なんだよな。
で、会長は俺様。
こいつ親衛隊はゴミ以下とでも思ってて疎んでるくせに性欲発散に可愛いわんこを抱きやがる。
マジ潰したい。
親衛隊に淫乱だの言いやがって…。
つかてめえに抱かれたわんこはてめえが好きだから抱かれたんだっつーの!
こいつは万年発情期。変態淫乱は親衛隊じゃなくて会長だと俺は思う。
「おおー名前呼びきたぁああ!」
生徒会への怒りを表す中でなんか隣で真希が騒いでるが無視
副会長は副会長で、淫乱だから触らないでくださいとかわんこにいうくせに…
毛玉君なんかを気にいりやがって!
可愛いわんこ達は嫌われてんの承知の上で、副会長の本当の笑顔を見たいって可愛く頬を染まらせてたというのにっ
つか毛玉よりわんこ達の方が一途でめっちゃ可愛いじゃねえかあぁああ!
「うおっ、なあなあ、理人……理事長と転入生知り合い見たいなんだけど」
「あぁあ?
あの渉兄と毛玉君が知り合い…?」
苛々する…。
生徒会の会計なんてマジ最悪だし。地獄にでも落ちればいいのに。
あの下半身野郎……生徒会親衛隊の一途な会計信者を抱きやがって!
使い捨てみたいに抱きやがって!
可愛いわんこが泣きながら、義彦様(会計)に抱かれても思いが手に入らないのが辛いとかいってたんだぞ!
可愛い俺のわんこ達を傷つけやがって……。
会計チャラ男の最低ぶりは本当、学園を歩いてれば直ぐにわかるんだよな
人気のない場所通って喘ぎ声が聞こえたらまずチャラ男といっていい…ってぐらい。
「声は聞こえないけど、確か理事長室にカメラしかけたじゃん。
それで見た限りすげえ親しそうなんだけど
理事長の膝に転入生のってるし」
真希の言葉に画面を見れば、確かに渉兄の膝に毛玉君が乗っている。
……渉兄よ、田中さんに見られたらおしおきされるとわかっててやってるのか?
とりあえず感想はそれだ。
あーそれにしても書記の二人って双子でそっくりで、二人で同じ行動したりとかばっかりさてるらしいけど…
それで自分達がどっちがどっちか見分けてほしいらしいけど、見分けて欲しいなら髪型とか髪の色とか変えればいい話だよなあ……。
「なんか、理事長、転入生にほっぺちゅーしてんだけど!
何これ萌える! だけど秘書さんはどうしたんだ…
まさか、理事長は転入生と浮気を…?」
「なんかデレデレすぎて渉兄きもいんだけど」
画面の中の渉兄…気持ち悪いぐらいデレデレ。
あ、そうそう
生徒会のもう一人の会計は無口キャラらしいんだけどこの人は親衛隊嫌ってるけど基本無害みたい。
あーキモいね、最高にキモいね。
あの毛玉転入生、そもそも何?
俺の可愛いわんこ達をさしおいて副会長に気に入られるあの毛玉君………ああ、ぶちのめしたい。
つか渉兄……、あの毛玉君知り合いならこの俺に報告しやがれ、よな?
主従関係を忘れてやがるのか、あの野郎。
学園の支配件は俺に譲る、俺がルール……学園に関する情報は俺に流す。
……それが、契約だっただろう、渉兄?
「まーき☆」
「えっと理人…何その素晴らしいぐらいの笑顔てかキャラ崩壊……っ
いや理人可愛いから気になんないけど
つか怖いんだけど、理人……」
「ふふっ、俺のスマホとってー?」
俺、怒ってるんだよ?
契約は、契約…。
それを破ったんだよね、わざわざ俺に毛玉君の情報を隠したんだよね……ふふっ。
脅える真希から携帯を受け取り、アドレス帳から「渉兄」を導き出す、そして電話をかけた。
視線は渉兄と毛玉が映るパソコン画面へと向けられている。
……これで出ないとかなら、どうしてくれようか?
パソコン画面の中で携帯が鳴る。
そして渉兄はディスプレイを見る。
俺の名前を確認すると、その顔は蒼白に染まる。
滑稽だねえ。
年上の威厳ゼロ。
ま、渉兄だしねえ…?
蒼白に染まった顔を見るなんて何だか面白くて仕方がない。
ふふ、出ないつもりみたいだね。
俺が何も知らないと思ったら大間違いだよ、渉兄。
現に俺は渉兄の現状を見てるんだからね…?
さて、躾のなってない可愛くもない滑稽な兄様へ、地獄をプレゼントしてさしあげましょう。
「り、理人………何企んでる?」
「真希ってば企むとかひどいなぁ……
俺は怒ってるだけだよ?」
電話をかけるのを一旦中断して、メール作成画面を開く。
もちろん、渉兄へのメール。
さて、これで電話かかって来なかったら、どうしてくれようか。
メールを送信して、パソコン画面を見れば焦った渉兄が居る。
毛玉に何かいうと、理事長室から渉兄はでていった。
どうやら俺と渉兄の会話を毛玉に聞かせたくないらしい。
そうして笑っていれば、渉兄からの着信がなった。
「ふふ、わ・た・る・に・い・さ・ま☆」
『……ひぃい』
あらら、酷いね。
渉兄ってば弟の声聞いた第一声がそれ?
ま、いいけどね
「契約、忘れてないよね?
学園での大事な事は俺に言う約束でしょ?
さあて、放課後俺が、理事長にわざわざ顔を出して上げるから、逃げないでね?
ふふっすぐに出なかったし田中さんに、渉兄と毛玉君のラブラブっぷり報告しとくね」
俺は用件だけいうと、電話を切った。
会話を聞いていた真希はというと、
「流石、理人……
容赦ないな」
なんて関心したようにいっている。
「当たり前じゃん。
何で俺が可愛くもない渉兄に優しくしなきゃいけないの……?
俺可愛い子とかっけー男と面白い奴は好きだけど、俺の兄弟でありながらネコってのがもうアウトなんだよね」
ちなみに俺四人兄弟。
上に渉兄と翔兄がいて俺の三歳下に都がいる。
都は名前も顔も可愛らしいのにタチなんだよ。
俺ヘタレ兄貴はどうでもいいけど、かっこいい翔兄と可愛らしい都は大好きだからね!
ブラコンだって言われても別にいいし。
やっぱりタチである事重要だよね、俺の兄弟なんだし。