三黄泉
最初に、出てくる人物場所は実在の物と一切関わりはありません。
今回はある方の依頼から代筆+加筆させて頂いております。
また誤字脱字等で読みにくい所があるかもしれませんが
ご了承ください。
少々長いですがお付き合い頂けるとありがたいです。
作品終了後にコメント頂ければと作者共々思っております。
またこの作品はとあるコミュに投稿した物になります
ーーーーーーーーーーーーーーー
私の父は幼い頃に既に他界し、叔母の住んでいる田舎へと
私・妹・母の三人家族は疎開をした。
山間にあるI村で三人細々と暮らすようになる。
その村には親戚も何人か居て色々支援をしてくれる。
ただ、越して来た当初は余り村の人々には好かれなかった。
何故かと言うと、
・I村は代々外との交流を余り持たない。
・外の人を受け付けない。
と言う閉鎖的空間。村自体も小さいので
「何処に誰々が居る」とか、「誰々が何をした」と言う事まで
噂等ですぐに伝わるような所であった。
そもそも何でそんな閉鎖空間になっているのかは、暫く経ってから祖母から聞かされた。
「I村には三黄泉と呼ばれる泉が有り・・・、言い伝えでは、寿命以外の不慮の事故や病死等で
死んでしまった人を黄泉帰りさせると言う物があるから・・・」なのだとか。
また閉鎖的にして居るのは、外部からの人が勝手に泉を使わないようにする為であり、
一日に一人しか黄泉帰りする事が出来ない事から。
いざこざが起こらないようにする為だとも言う。
I村自体の内部なら、人も少ないし、「誰々が使いそうだ」と言うのも、
すぐに分かるから大丈夫だと言う話であった。
尚、何時からその物が有ったかは定かでは無いけども、その泉にて黄泉帰りした人は居るとの事だった。
私と妹は俄かにその話を信じる事は出来なかったが、後にその話が事実である事を知る事になる・・・。
そんな話を聞いたのをすっかり忘れて・・・ある日の事
妹が突然死ぬ事になる。原因は事故死。
村から少し離れた道にて、車に跳ねられたのだと言う事だった。
車の持ち主は不明。村からも離れているので、誰も目撃者は居なかった。
突然すぎて、私も母も妹の死を受け入れられなかった。
私は妹を失い気持ちに穴みたいなのを感じ
日々淡々とすごす事になる。母は毎日ただただ泣いて居る。
一週間ぐらいした頃の夜に、母は妹の死骸と共に何故か、居なくなっていた。
その次の日の朝、母と妹が家に帰って来る。
妹は何故か生き返っていた…。
死者の蘇生・・・。そんな事が信じられるはずもなかった。
が、記憶の彼方に忘れていた話を思い出す・・・。
三黄泉・・・。黄泉帰りの泉。死者をある条件の元だけ生き返らせる事ができるとの泉。
その存在を思い出し、私は背中がぞっとする気がした。
もしかしたら妹では無い物がソコに居るのでは無いか?とさえ疑いつつ、暫く妹と接するが
何の違和感も無い今までの妹だった。
ただ、事故に関してだけは硬く口を閉ざしていた。
一言「何で、生き返らせたの」と暗い顔をしながら。
それ以上の事は問いただしても答えなかった。
そんな事故があった事を忘れかけて来た頃
妹が自殺をする。自室で首を吊って居るのを、朝母が発見する事になる・・・。
遺書等も無く何故死を選んだか誰にも全く理解が出来なかった。
「もぅ一度・・・。」そう小さく母が呟いたのを私は聞いた。
多分また、三黄泉に妹を入れるのだと私は悟った。
そして、夕方頃に親戚の叔父が家に訪れ、こう話した。
「次が最後だからな・・・」それを母が聞きゆっくりと頷くのを私は横目に見ていた。
何でも三黄泉で死者を黄泉帰りさせる事が出来るのは
2度まで。と村の規律で決まっているのだそうだ。
それ以上は決してやっては行けないと。やってしまったら恐ろしい事が起こるのだと。
叔父は母に口をすっぱくして、何度も言っていた。
その夜、再び母と妹の死骸が居なくなった。
次の日再び母と妹が帰ってくる。帰って来てから妹に
自殺した理由を聞いた。だが決まって「また何で・・・生き返らせたの・・・」と言い
やはり理由は言わなかった。しかし、口調から
一度目も妹は自分から車に行ったのでは無いかと言う推測ができた。
つまり最初から自殺・つまり自らの死を望んで居ると言う事。
その事に気づいてから常に、私か母が妹を気にするようになり
目の届かない場所とかでは叔母や叔父に頼み、遣らかさないようにと
頼んで置いた。
しかし、それは突然やって来る。何処から持って来たのか
妹は手に包丁を持っている。私の制止を振り切り、家から飛び出して行く。
「このままじゃ!!」と思い必死に私は妹を追いかける。が、妹の方が足は速い。
そして追いかけながら「なんで、なんでそんな、死を選ぼうとするの?!」
そう何度も問いかけるように妹を追いかける。
妹は暫く走ってから、急に止まり
「理由なんて、無いよ・・・。生きたくないから!!めんどくさいから!!」
と首に包丁の先を宛てがい刺し込もうとする。
私はどうにか止めたく「お姉ちゃんを置いて逝かないで〜〜!!!」
と叫んだ・・・自分の声に驚いて起きる・・・。そこで夢だった事に気が付く。
今観たものが妙にリアルで怖かった。パジャマが汗でくっつき嫌な感じがする。
心臓がドキドキと何時もより鼓動が速く感じる。
「夢…だったんだよね…」改めて状況を考える。寝る前の事、今の状況。
ただ、妙な胸騒ぎだけはする。そして下の階がバタバタと煩いのに気が付く。
何だろう?と考えつつ、冷たい汗で濡れたパジャマとかを着替える為に下の階に降りる。
叔父や叔母が慌ただしく出たり入ったりしている…。母が涙ながら、どこかに電話をしているようだった。
起きた直ぐの物が、だんだんと恐れに代わって行く。
直感的に私は降りてきた階段を踵を返し再び上る。今のこの感じが違って欲しいと願いつつ…。
二階には幾つか部屋があり、私と妹の部屋の前にはそれぞれ名前の札を下げている。
妹の部屋に入ると少し冷たい空気が流れる。ベットを見ると妹は其処に寝ていなかった。
布団がいつもと違って綺麗な状態だった。
妹は結構寝相が悪く、いつも掛け布団とかは端によってたりするのに…綺麗だった。
それを見て、“ドクンッ!!”と心臓が大きく脈打つ感じがする…。
再び下の階に降りていく。「やっぱり、何かが起こっている!」と感じ
最悪が起こってる可能性を危惧しつつ…。でも違って欲しいと願い。
下の階に行くとまだ母は電話をしていた。叔父と叔母は外に出ているようで姿は見えない。
肝心の妹は姿がまだ見えない。もしかして、と探す。
田舎の家と言っても古い家では無いので、大きくはない。
探索と言う程の事もせずに、妹を見つける事になる…。
居間に寝かされていた妹。それを見て「なんだ…」とは思えない。
時々妹は体調を崩したり、怖い等の理由で母と寝たり、居間で寝る事はあったのだが
状況が状況なだけにソレだけとは思えなかった。
ゆっくりと気持ちを落ち着かせながら妹に近づいて行く。
近くに座り、妹の顔を見る。ほっぺが少し赤味を帯びている。
「やっぱり寝てるだけ?」と指で妹をつっつく。
いつもなら「やめてよ〜」とか言って嫌々ながら起きるはず…。
が、まったく微動だにしない。「嘘だよね…。夢だって言ってよ…。」
私はいつの間にか溢れ出した涙をこらえる事が出来ず、妹を揺すっていた。
グラグラと何も抵抗する事無く、動く妹の体。
そのまま泣いて妹の体に力なく突っ伏してしまう。
暫く泣いていると、叔母がいつの間にか来ていて優しく頭を撫でてくれた。
落ち着いてから、妹は突然死と聞かされる事になる。
妹が持病持ちだったとか、心臓が弱いとか言う話は聞いた事は無いが
体に異変が無い事からそれ以外無さそうだとの事。
詳しく調べるなら、病院で解剖しないと分からないとの事らしいので
母はそこまでしなくて良いと断ったそうだ。
あまりにも突然だったので葬儀は翌日と言う流れになった。
急げば夕方からでも行える事だったが、気持ちの整理が全然つかない事から
翌日まで待って欲しいと母が願いだした為の事だった。
バタバタと一日あちこちに連絡したりと、なんだかんだであまり妹と向き合えなかった。
また母の事も気になるので、妹の傍にずっと居る事もできなかった。
夜になって、ようやく一段落し落ち着いて座ると体に疲れを覚えた。
母に「軽くご飯食べて、もぅ寝よ?」と声を掛けられうなずく事しかできなかった。
気が付くと殆ど朝から物を口にしていなかった。ご飯を終わり、
お風呂に入って寝る事にする。とは言ってもすぐに寝れる訳もないのだけども…。
妹の部屋に入り部屋を眺めながら、妹と過ごして来た時間を振り返る。
楽しかった事、悲しかった事。
ベットの上に寝っころがり色々な所にも行った事を思い出しながら、
考え事をしていたら、目の端に人の姿を確認する…。
「えっ?」っと思いつつ、なかなかそちらを見る気になれない。
嫌な感じはしないけども、でもソレを見る事を頭の中で拒否する。
胸の鼓動が高鳴ってる感じがする…。「誰?」と考えてると
「お姉ちゃん…ごめんね…」と良く聞きなれた声がする。
昨日まで聞いていた声だからあたり前である。妹の声だった。
お風呂に入る前まで冷たくなって寝ている妹は確認済み。
なら…今ここに居るのは?と想いながら、
ゆっくりと眼だけを声のする方へ傾ける。
部屋は電気を付けていなかったので真っ暗だが、
月明かりと夜目に少し慣れていたので、妹だと認識はできる。
起き上がって、「何、今までふざけてたの!」と言ってやろうと思ったが
体が動かない…。金縛りの状態のようだった。
「…お姉ちゃん、ごめんね。そのまま聞いてね…。」
妹には色々聞きたい事が山ほどあった。何で急に。何で寝たまま…。
何で何で何で何で!!!そんな色々が頭を渦巻き、声に出せなかった。
「お姉ちゃん、泉の事覚えてる?」
突然妹が三黄泉の事を言いだした。覚えてるも何も今朝その夢を見たばかりだった。
ただ、夢との違いは“ただの伝説で人は甦らない”と云う事だったが
その伝説を元に小さい社を建て、年に一度だけお祭りをしている。
お祭りと言っても一般的な物ではなく、夕方までには終わるお祭りだ。
夜にはその泉や社、その付近には誰も近寄らない。
一部の人達を除いて…。
何故近寄らないかと言うと、祟りがあるとか
幽霊が出るとかそういう話があるからである。
そしてそう言う話がある所は、必ず度胸試しだとかに使われる。
また、インターネットの普及からホラースポットとしても語られる事になる為である。
一部の人とはそう言う所へ態々行く人達の事である。
私たちは一度だけその泉に行った事があった…。
幽霊とか見た事は無かったが、怖い物見たさと言う人間の真相心理みたいな物に駆られてだった。
ホラースポット自体はそれまでも何度か友達とかと行っていたし、
妹も幽霊とか怖い話とかが好きで一緒に行ったりもしていた。
そしてその泉は二人だけで行ったのだった。
今でも覚えている。村の外れの森の中にひっそりとしてその泉はある。
叔父・叔母や村の人々からは「あそこは怖い所だ。絶対に近寄ってはならぬ」
と何度も何度も引っ越した当初から言われていた。
でも祭りの時に見た時には「綺麗だな」と普通に思えた。
夜とかに月とかが写ってさらに綺麗だろうと単純にも考えた。
そしてホラースポット的な話から私達姉妹の興味は「どうにかして行こう」
それだけだった。
決行したのは結構たってからである。
思っていてもやはり怖いと言う想いと、夜は眠くなってしまい寝てしまうからだった。
しかしながら興味が落ちなかったのは二人してよく
「いつか行こうね!」とワクワクドキドキして話していたからだ。
私が小学校中学年の頃だったと思う。昼寝したせいか夜寝付けなくて
今から行こう!そう言う話になった事と、偶然母が村の集まりか何かで
叔父と一緒に出掛けていると云う事が決定的であった。
夜に家を出ると言うのには少し躊躇した。しかしながら興味には勝てなかった。
懐中電灯を持って、引き戸を開け裏扉から家を出て暫くしてから懐中電灯をつける。
家を出る時からつけていたら、叔母に見付かるかも?と言う
子供ながらの考えからそういう行動に出ただけだった。
道なりは年に一度しか行って無かったけども覚えている。
村を抜け小道に入り、森の中へ続く。森の中を暫く進み、右手に曲がって
さらに進むと地蔵さんが置いてあって、そこを左にまがり奥へ奥へと進む
そして暫く行くと少し森が開けその先に泉がある。
森に入ると暗くて、妹と二人で「やっぱり何かあるのかな?」
とか少し怖がりながらも進むだけの勇気があった。
泉に付くと、水辺に光る月明かりがきれいで暫く二人で見ていた。
しばらく二人でそれを見とれていたが、
「特に何もなかったね。」と二人で見合わせ、帰る事にする。
“トプンッ”
帰ろうと後ろを振り向いた瞬間背中から音がした…。
水の音。風も流れもない泉からの音。
少し涼しいぐらいの空気が一気に冷えた気がした。
背筋に寒気を覚え、額から冷や汗が流れるのを感じる。
後ろを振り向いては行けないと思いつつ
二人で意を決して振り向く…。
そこには泉以外何もない様に見える。
ほっとして二人で顔を見合わせると
“トプンッ”
横を向いているせいかさっきより音が近く聞こえる。
と言うか大きく聞こえる…。
見合わせてた顔が一気に強張り、泣きながらいつの間にか
走っていた…。
何がなんだか分からないって言うのと、怖さに負け
ただただ走っていたので、走りつかれて一息ついた時には
知らない所に居た。
「あれ?…通って来た所じゃない…。」
森の中とは言え、多少手入れが入ってる道とそうでは無い所の差が出る。
今はまったく手が入って居ない所だった。
妹に地蔵様を見たかと聞くと、怖くて目をつぶって走ってたから分からないとの事
私もいちもくさんに逃げていたので、見たかどうかは分からない。
村から泉まで徒歩30分ぐらい。走ったのが1,2分と考えても
まだ半分も来て居ないのは確かだった。
どっちに行こうかと考えて止まっていると…奥から
“ガサッガサッ”っと聞こえる
奥とは私達の逃げてきた泉の方…。となれば人ではない…。
私たちは再びその音から逃れるように右へ左へと適当に曲がりながら走った
まっすぐ走るよりは撒けるのでは無いか?
知ってる道に出れるのでは無いか?そう思い走っていた。
暫くそうして走っていると、石の塊を見つける。
良く見る地蔵様では無いが、少し手入れされている道も見える。
良かったと思い走っている足を緩め歩く事にする。
妹は目をまたつぶっていた為か、緩めた速度に気づかずつんのめる事になる。
その拍子で転びそうにもなるが、何とか体制を保ちつつ、石に手をついて転ぶ事は
避ける事ができた。
夜出たってだけで見つかったら怒られる可能性があるのに
土がついていたりしたら、絶対にばれると思ったから、ほっとする。
でもずっとほっともしていられない。まだ追ってくるかもしれない。
と思い、さすがにもぅ走る事ができないので速足で
少し整地された道を進む。道は一本でそのまま進むと森の出口が見えた。
森を出ると、村の明かりがかなり遠くに見えた。
どおやら端の方まで来ていたらしいとその時きづく。
人に見付からないように、歩きながら家に戻る事にする。
家に戻ってもまだ母は戻って居なかったので安心して布団に戻る事も出来た。
ただ怖い思いをしたので、いつもは別々に寝ている妹とその時だけは一緒に寝た。
その日の夢は二人とも似たような夢だった事を
起きてから話たのを覚えている。
ただ、どんな夢だったかは覚えていない…。
「そう、あの泉。私達はあそこに行って怖い思いをした。
そして、その日あの夢をみた。」
あの夢…。それを聞いても私は理解に苦しんだ。
戸惑った顔をしていると…。
「私とお姉ちゃん、あの後夢の中で泉で“アレ”を見たんだよ。
でも、お姉ちゃんはその一度だけだったみたい。私は何度か見たけども…。
“アレ”の事は思い出せない方が良いの。良くない物だから。」
そう言って、あの時みた二人の夢を妹は語った。
良くは思い出せないけども、確かにソレを見た記憶だけはあった気がする。
でも“アレ”と言うものが思い出せない。
得体のしれない何かとしか分からなかった。
「“アレ”は関わっては行けない物だったんだよ。
だから昼にしか祭りは行わないし、村の人々は泉には普段近寄らない。」
淡々と語る妹の姿を見ながら私は、感じていた。
得体のしれない物の視線を…。
「お姉ちゃん…ごめんね…。私行かなきゃ…。
でもね、お姉ちゃん…。お姉ちゃんは決して連れていかせないから…。」
そう言って妹は部屋から出て行く…。それを止めようと私は体を動かそうとするが
動かない…。
(なんで…。なんで妹なの…。なんで私じゃなくて…。妹なの…。)
そう心の中で想いっていると涙が溢れてくるのを感じる。
気が付くと何時の間にか朝で
私は泣いていた…。
「夢?」
いつ寝たかなんてまったく覚えて居なかった。
ただただ、妹の残した最後の言葉が切なくて
悲しかった。
その後起き上がって、着替えて下に降りると
喪服を着た叔母がご飯を作っていた。
そこで、妹が夢の中で言っていた事、その前の夢
さらに昔に泉に行った事を祖母にすべて話した。
祖母は私を抱きしめ、泣いていた。
「あの子は見初められてしまったんだね。
あんたの見た最初の夢は状況こそ違えども
昔あった事の流れかもしれないね…。」
祖母によると、昔にこの当たりは良く水に困ったそうだ。
そこで神への祈りを捧げる少女と二人の見送り巫女が選ばれたそうだ。
そしてその儀式が終ると、祈りの少女は一人あの泉付近に残されると言う。
その数日後に雨の恵みで村は救われるが、少女は変わり果てた姿になっていたそうだ。
そんな行事が何年か続いてはいた。
その行事が有る時を境に終了を迎える事になった。その少女たちが残っていた場所から
水が湧いて来た為だった。
村は水には困る事が無くなった。が、変な死を遂げる人が年に何人か出た。
これは何かおかしいと当時の村長が隣村の宮司に相談をした。
宮司が言うには、
「代々祭られた少女達の悲しみが死を呼び込んで居る。
黄泉の門が開いてしまっている。悲しみを収める為の祭りを行う事で
いくらか晴れるだろう。」との事だった。それが現在の祭り。
しかしながら、簡単に晴れる物では無いので、夜や祭りの時以外は
近寄らない方が良いだろうと宮司の話より
村の人々はそれまでの事から“恐ろしい事があるから近寄るな”と
決めて祭り以外は其処へ立ち入る事をしなかった。
それを聞いて私は再び泣いた。あの時好奇心だけで泉に行かなければ良かったと。
祖母は最後に
「選ばれたのは多分偶然。あの子にはそう言う力があったんだと思う」
とだけ言って私を慰めてくれた。
ー了ー