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ハイル 救いの物語  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
第5章 戦闘戦争辟易代行者編
90/97

第053話 天と地ではそれぞれⅡ

GW中なので1日2話掲載っ!!

というわけで、本日2回目の投稿でございます。

デュケイン様活躍中です。

 



『管理者の間』では、大規模な戦闘がすでに10日以上続いていた。


 戦況は初日から変わらずデュケインが圧倒しており、反逆者であるメサイアの出目は一向に1以下である。


「は、はは、あっははっはっはっ!

 なにこれ、なにこれなにこれナニコレっ!?

 この程度で僕らに逆らったの?

 おいおいおいおいおい、勘弁してよ、無様すぎるぞグズっ!

 とお様の力を掠め取っといて、その程度の魔改造しかできないとか、それで僕を本気で殺してこの『管理者の間』を奪えると思ってたの、バカなの、死ぬの?

 あ、そっか、僕を笑い死にさせる作戦かっ!?

 それは盲点だった、殺せる確率がちょっとあるかもだっ!

 10日くらいかけて頑張ってるね、もっと笑わせないと僕死なないぞ☆」


 テンションが異常なほど上がったデュケインは、本来の目的である処刑を忘れてメサイアをじっくりと痛め付けていた。


「…10日前の真面目っぷりはどこへ行った?」


「多分その辺に打ち捨てられてるんじゃないバル様、そこらの残骸と一緒に」


 バルがデュケインとメサイアの先頭を観戦していて思ったことはそれだったのだが、レギオンが至極真面目に突っ込みを入れた。


 すでに『管理者の間』全域はこの10日間で被害が及んでおり、バルが建造した神殿や調理場はすでに跡形もなく瓦礫の山と化していた。


「「「「「然り、然り」」」」」


 使い魔五人衆もレギオンの突っ込みに同意している。


 戦闘が続いているにもかかわらず、この7人だけは安全な状態を維持して観戦を続けていた。


「…っていうかさバル様、神王様の力掠め取ったってデュケイン様言っていたけど、メサイアさ…女神って本当にそんな事したの?」


「…どうやらそうらしい、私は知らされていなかったので最初気付かなかったし、あの戦神も教える気が無かったから自力で調べる羽目になったのだが…あのエセ女神、神王陛下が地上世界を創造した際に非常用として残していた御力に手を出したらしい」


 レギオンは全ての事情を知らなかったらしく、隣にいるバルに素朴な疑問をかけた。


 返ってきたのは肯定、女神メサイアは神王が残しておいた『原初の力』に手を出し、魔獣に手を加えたと説明した。


「非常用って…どうしてそんな力を神王様は残していたのさ、それが無かったら、あの女神だってこんなこと…」


「そもそもはこの地上世界が対処でき得ぬ際に自動で発動する術式だったのだ、本来手を出してただで済む力ではない…のだが、地神の管理者権限にはその術式の発動権限が含まれていて…その権限の中には、その術式の改変許可も含まれていた。

 あのエセ女神はその権限を悪用して、都合よく神王陛下の御力を自らの力の供給源としたのだ。

 そうでなければ、あのイカレ戦争狂と10日間もの戦闘を続けられるわけがない」


 釈明するバルであったが、レギオンはむすっとしながらその話を聞いていた。


 眼前では神器を振り回しながら転げまわっているメサイアを罵倒し更に追撃するデュケインをバルはただずっと見続けている。


「…さっさと終わらせてくれデュケイン、お前の戦いぶりはいつ見てもイタすぎる」


「はっはっはっはっはーっ!!

 ほらほら立てよクズでグズのブサイク女神がっ!

 もっと無様に立ち回って僕を爆笑させろ、まだまだまだまだ笑い足らんぞっ!!」


 バルのぼやき虚しく、戦闘は依然続いていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「これは…本当に内戦なのですか?」


 ムシュフシュに来て最初の村の凄惨な状況に、ウルは思わずどこか違和感を抱いたのか、そう呟いていた。


 倒壊している家屋の破壊の状態が明らかに魔法とは違った痕跡を残しているのを見て、ウルたちは残っていた村人に話を聞いた。


「…巨大な黒竜?」


「はい先生、何でもとんでもなくデカい黒竜が村を襲ったらしいんです。

 しかもたった数分で」


「しかも魔法を使わずにこの惨状にしたらしくて…いわゆる名付きの歪っていう奴なのかな?」


 名付きの歪は最近では『狂い鬼』が討伐されたとステルヴィアで聞いていたウルは、ムシュフシュにいる名付きの歪がどのようなものか思い出していた。


 が、該当する歪は存在せず、尚且つ破壊方法が力尽くな所を考えてもあり得ないため、どういう事なのかよく分からないでいる。


「…あのウル様、黒竜に同乗していた人影も怪しいですわ。

 何らかの方法でその者が黒竜を操っていた可能性があるのでは?」


 それはつまり、何かの術を使って黒竜と言われている歪を操ってこの村を破壊したという事である。


 かつては魔物使いという存在がいたこともあってその可能性も捨てきれないと感じたウルであったが、歪を操った魔物使いの報告は上がってきていない。


「…教会の情報網にも引っかからないほど実力者が背後にいる?

 となると、これは元凶が裏で手引きをしている可能性が?

 操っている黒竜の出所もかなり怪しくなってきますね、こういった時、いつもはデュケイン様が私を呼びだすと思っていたのですが」


 何より情報が不足していたため、4人は一度首都アンヌンへと歩を早める事になる。


 内戦の原因となった末姫の事もあるが、現状ウルがきにかけているのは、黒竜と言われているその存在の()の襲撃場所がどこなのか、という事だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 悪い夢を見ているようだ、と何度も思った。


 建物が轟音を立てながら崩れる音が聞こえ、生ある者たちの痛切な悲鳴が耳に残っていく。


 今日も1つ、小さくはあるが街を滅ぼした。


 小さな幼子が親とはぐれて泣き喚く声が聞こえる。


 冒険者がわしに魔法や剣を用いてわしを切りつけてくる。


 が、この程度ではわしは止まれん、止まることが出来ん。


 建物を力尽くで破壊しながらわしの身体が勝手に動き、蹂躙していく。


 逃げよ…逃げるんじゃ、お主らではわしにを傷つける事は不可能じゃ。


 頼む・・・後生じゃ、わしをこれ以上…お主らの血で汚れとうない。


「ふっくっく、実に良い光景だ。

 さて黒竜殿、次は東の村々を滅ぼしましょう。

 竜人族は他国と比べ人口が少ない、この調子でいけばあと2月程度で総人口の3割を切れるでしょう」


 おぞましい声が…忌々しい声が聞こえる。


 わしを操る異形の(ともがら)、憎々しい怨敵め。


 だれぞ…誰ぞ頼む。


 わしを…止めてくれ。




読んで戴き誠にありがとうございました。

…真面目モード、続きませんでしたね、しかも女神はセリフ1つすら与えられないくらい追いつめられています。

と地上ではウル君たちがようやく町につきましたが、何やら不穏な状況。

内戦と合わせて何やら黒竜が暴れまわっているようです。

危ないですねこの国、心配です。

さて、次回予告。

次回、『天と地ではそれぞれⅢ』です。

ではでは皆様、また次回まで。

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