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ハイル 救いの物語  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
第4章 追憶と逡巡の代行者編
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第048話 老若男女容赦なく

誤字脱字がございましたらコメントよろしくお願いします。

デュケイン様御休み回です。

そして後半珍しくシリアス回。

そして遅れましたが、累計ユニーク10,000人越えました。

まことにありがとうございます。

 


 エーヴァは識ってしまった、辿り着けない天上の存在を。


 気付いてしまった、どれだけ己が優れていても、足元にすら及ばない存在を。


 それまで魔法の技術において魔人族すら凌駕すると褒め称えられたエーヴァの矜持(プライド)は、いとも簡単に砕かれてしまったのである。


 あれが『特別』という存在なのだと、思い知ってしまった。


 2人の手を引きながら泣きそうな顔で俯いたエーヴァに、リオンが声をかけた。


「…エーヴァ、先生と自分を比べたらダメだよ?」


 続けてジュリーがエーヴァの手を両手で握る。


「そうよエーヴァ、先生がすごいのは今に始まったことじゃないもの。

 けどね、先生は別に特別じゃないのよ?」


 そしてエーヴァはウルが一体どのようにしてあれだけの力を持ったのかを知った。


 戦闘経験の全くなかったウルがどれだけの努力を過去してきて、そして現在も怠らずにしているのかを。


 存在を完全に変えられてしまって、眠る事すら必要のなくなった存在が一体どんなものなのか、エーヴァにはわからない。


「力は確かに貰い物の規格外だけど、先生が身に付けてきた技術は本物(・・)よ。

 先生の師匠と命懸けの修行を経て身に付けたんだもの。

 それだけは、『特別』だなんていう軽い言葉じゃ片付けられないと思わない?」


 ジュリーの言う事はもっともな話である。


 経緯はどうあれ、規格外の魔力を宝の持ち腐れにせずに必死でものにしたウルが悪いという訳ではないのだ。


 エーヴァはウルの結果を見ていただけで、その努力の過程をただ見ていなかっただけ。


 不貞腐れたい気持ちなど、いつの間にかどこかへ消えてしまっていた。


「あれでも結構優しいんだよ?

 普段から酷い事ばっかりしているけど、この人に大切にされてるなーって思う事ってよくあるからね」


 とフォローにもならないことを言うリオンをジュリーが小突いていた。


 その中の良い弟子2人がウルのいる方向を眺めた。


「うっわ、先生またとんでもない事しているわね」


「埋めるとか沈めるとか言ってたけど、ほんとにするとはねえ…先生の身内でホントよかったって思うよ」


 一般的な師からすれば口の利き方がなっていないという所なのだろうが、あいにくと彼らの師であるウルはそれほど気にしていない。


 先ほどまできぃきぃと声を上げていたモルドラットの大群が今ではもう気配すら感じられず、木の葉の掠れる音しか聞こえない。


「あ、先生が手を振ってる。

 ジュリー、エーヴァ、呼ばれてるから先生の所へ行くよ」


「はいはいりょ~かい。

 エーヴァ、行きましょ?」


 今度はエーヴァが逆に引っ張られる形でウルの元へ歩いていく。


 内心ではまだ色々と整理がついていない。


 このごちゃごちゃした気持ちを見極めたら、自分のウルに対する気持ちが分かるのだろうか?


 曇っていた顔は少しだが明るくなっていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 探知を繰り返して誤差を修正しながら歩を進めるウルたち4人は黄金の柱から離れ、モルドラット達を操っていたものの捜索を行っていた。


 モルドラットどころか周囲にいた大半の歪たちもまとめて埋めているおかげなのか、安全性は完璧である。


「…リオン、何か感じますか?」


 警察犬代わりにしているのか、探知をしてはウルはリオンに周囲におかしな臭いや気配を感じないかを訊ねていた。


 実際に獣人族の身体能力を含め、五感に関してもほかの種族より群を抜いていることは確かである。


 だが、一国の王子を警察犬代わりにするという行為に対して、リオンとしても複雑な気持ちで協力しているのであった。


「…先生、僕犬じゃないんですから…そこまで信用されても困るんですが」


「弟子ならそれくらいなんとかしなさい」


「理不尽すぎるっ!!」


「いつものことじゃない?」


 そんなやり取りを見て、エーヴァは何度目かの溜息をついていた。


 このような危機感の足りない面子でよくこれまで生きてこられたものだと、そう思ったのである。


 かといって生き残っている現状から見て、決める時は決めるといったやり方で今まで徹してきたのだろうとも思うエーヴァなのであった。


「エーヴァ、さっきからため息をついて…調子が悪いのなら一度休憩しますか?」


 黙っていた上溜息をついていたことを気にしていたのか、ウルがエーヴァに声をかけた。


 声は相変わらず感情の起伏があまり感じられない平坦なものではあるが、気にかけられていることはエーヴァにも伝わっているようで、少しだが頬が上気して赤くなっているようである。


「…な、何でもありませんわ。

 少し考え事をしていただけですの、心配なさってくれなくとも大丈夫ですわよ?」


 ウルからしてみれば口調がおかしくなっているエーヴァを見て不審そうな顔をしているのだが、本人からしてみれば気になっている相手にじっと見つめられて内心暴風状態である。


「ふむ、そうですか。

 ですが困ったことがあればきちんと声に出してくださいね。

 チームである以上、体調管理は気を付けないといけませんから」


 とクギを刺すようにしてウルはエーヴァから離れていった。


 30分ほど4人は黙々と歩いて行き、ウルは再度『黄金照らす風鏡(スピデリッチ)』を発動する。


 ウルは何十度目かの『黄金照らす風鏡』を使った所為か、少しばかり顔色が悪い。


『黄金照らす風鏡』の欠点は帰還(フィードバック)後の頭痛である。


 膨大な範囲を探知した情報を一気にウルに齎すことになって、軽くではあるが鈍器で殴られる強さの痛みが情報処理を終えるまで延々と続くのである。


 1・2度ならともかく、すでに30回以上繰り返しているウルからすれば、ようやく見つかってほっとしていた。


 とはいえ、以前飲んだ凶悪な紅茶よりはマシな為、意識レベルは安定しているが。


 そして、ようやく違和感のある地点を発見した。


「…おかしな反応です。

 微弱ではありますが歪の気配です…なるほど、『歪人』とは『観察者』殿も言い得て妙な呼び方をなさっていましたが…納得ですね」


 前方200メートルほどの場所に何か動いている者がいる事にウルは気付いた。


 特殊な存在なのか、魔力自体に何か異質なものを感じてウルは念には念をかけて、周囲の情報を再確認して済ませた。


 と頭痛が収まったのか落ち着いた様子で一人ごちていたウルだが、バックから心眼鏡を取り出してかけた。


「リオンとジュリーは二手に分かれなさい、エーヴァは後方に回り込んでいつでも不意打ちが出来るようにしておくように。

 私は正面から対象に接触します」


 3人は小さく頷くと、音を立てずにウルから離れていく。


 さすがにエーヴァはさすがにランク黒というだけあり、気配もすぐに気付けなくなるほどの薄さで消えていった。


 リオンとジュリーも同様でウルの視界から音も立てずに消えていった。


 配置についたことを感じ取ったウルはゆっくりとだが歩いていく。


「―――だよっ、動けないじゃんか」


 と、正面から子供の声が聞こえた。


 それもリオンたちも気付いているだろう大きな声で。


「…これはこれは、今回は人型な上に子供ですか。

 女神も相変わらず嫌な人生をする」


 愚痴るウルではあるが【破軍】を握りしめたまま吐き捨てるように言う。


 頭痛ではないが、頭の痛い思いをしないといけないと内心疲れたため息をつくのであった。


 注意をウルに引き付けるため、わざと音を立てるように歩いていくと、先ほどから悪態をついている子供の主に辿り着いた。


 相手の子供もウルの存在に気付いたのか、驚いた顔でウルを見ていた。


「な、なんだよお前っ!?

 気持ち悪い魔力垂れ流しやがってっ!!

(こんな場所で強そうな奴と当たるなんて、ついてなさすぎだよっ!!)」


 開口一番悪態を疲れたウルではあるが、別段気にしていないようである。


 口の悪い上司で慣れているせいだ。


「…これが『歪人』ですか。

 特徴は全身真っ黒…意外に特には無さそうですね?

 あと中途半端に埋まっているのは…術の範囲から逃れた?

 この辺りは他のネズミを埋めた大辺があったのですが…ふむ、抵抗出来る魔道具か何かを持っているという事でしょうか」


 悪態をついている真っ黒な子供を見て観察する方に重点を置いていたため、完全に無視していたのだが。


「まあ軽く尋問して聞けなかったら殺しますかね。

 3人にはあまりこういうところ見られたくはないですし」


「な、ボクを…この【(レギオン)】殺すっ!?

 お前、あの魔神の駒なのかっ!!

 …くっそ、変な魔力に引っ張られてやっぱり身動きが取れないっ!!

(こいつがメサイア様が注意していた魔人…くそ、こんな所で出会うだなんてっ!?)」


【軍】と名乗った少年だったが、ウルからしてみればあのモルドラットは【(むれ)】としか感じていなかったことを伝えると、子供らしかぬ言いぐさできっと睨みつけた。


 心眼鏡で確かめると、ウルと遭遇したこと自体が今回の異常事態(イレギュラー)に繋がったのだろう。


 神木ディーヴァを滅ぼすことが今回の目的だったのか、運悪くウルと出会ってなければ現実のものとなっていたことは確実だろうとウルは思った。


 そして何よりだが、心眼鏡が十全に機能している辺り、【軍】の思考を読み取れていることに安堵していた。


「まあ痛い思いをして死ぬより、痛みを感じずに死んだ方がましでしょう?

 とりあえず2・3聞きますので正直に答えなさい。

 答えなければ…そうですね、見える部分をハムみたいにスライスします」


【破軍】を軽く振って見せると、何一つ抵抗できない【軍】はびくりと怯えるように震えたが、ウルの周囲からはまるで気温が急激に下がっているのではと錯覚するほどに寒気が襲っていた。


「質問その1、あなたは女神が今現在どこにいるか知っていますか?」


「だ、誰がしゃべるもんかっ!!

 し、知ってたって教えてなんかやらないもんねっ!!

(知ってたら【呪】と【盾】と【破】を押しのけてボクがメサイア様を守っていたのに、チクショウチクショウチクショウっ!!)」


 と反発した【軍】の身体が一瞬で仰け反った。


 そして同時に鈍い音もたっていて、リオンたちが動こうとしたが、ウルが手を下げている動作を見て、出てくるなという事なのだろう。


 何をしているのかしたからなので見えないが、何かのやり取りをしているようにリオンは見てとれた。


 当のウルは【軍】の小さな口にブーツを蹴り込む形で一撃を加えていた。


 唇を押し潰し、八重歯辺りまでボロボロに蹴り砕かれて、【軍】が外ホげほと黒位置を吐き出しながら砕かれた葉を吐き出した。


「私は知っているか、と聞いたのですよ?

 どうでもいい事を口にしないでくださいよ、面倒な。

 …ああ、思わず蹴ってしまったのは丁度あなたの口にあたりそうな場所に私の足があっただけですから、お気になさらず」


 そういうと、今度は丁度空いていた脇の部分にも蹴りを入れた。


 蹴ったと同時に何かを潰すような生々しい音が響くが、遠くで囲んでいるリオンたちからは聞こえないくらいの小さな音である。


 新たに3人の歪人の情報が手に入ったが、全部で7人いるとの情報をデュケインからもらっていたウルは、名前の知らない7人目が何らかのようで女神の傍から離れているのではと推測した。


 そして、どうやら【軍】とその他の3人、もしくは4人は仲が悪いという事にも気付いた。


 とはいえ、【軍】は女神のいる場所を知らないらしいので、これ以上質問しても無駄だと思い、別の質問をすることにした。


「では質問その2、あなたのお仲間は一体いま何をしているのか、教えなさい」


「…ふん、今頃お前ら地上のゴミどもを殺すのに策を巡らしているだろうね。

 ほら、しゃべったんだからさっさとどっかいけよっ!!

(【神】の奴が『観察者』に何かするとか言ってたから、今頃そっちは大変な事になっているはず。

 ボクの失敗が無かったら、メサイア様にもっと褒められていたのに…っ!!)」


 最後の4人目が【神】と呼ばれる存在らしい。


 あからさまに7人のリーダー格の様な存在なのか、少しばかり【軍】の思考が硬くなっている。


 ウルは悪態をつきながらわめいている【軍】の後頭部を蹴り飛ばし、身体が少し前のめりになった所を踏むような態勢をとった。


「なるほど…彼の『観察者』に手を出そうとは、いい度胸をしていますねあなた方は。

 …もう用はないですね、他に聞く事も無いですし、さくっと殺しますか」


「ま、まってよっ!!

 しゃべったら殺さないって約束したじゃんっ!!」


「記憶にありませんね、そんな事」


 実際喚いているばかりの【軍】に対して、ウルは要求されたことに一度も頷いていない。


 何より最初から殺すと宣言している以上、喋ろうと喋ろうとせずとも、結末は変わらないのだから。


 具体的に言うのなら、痛くされて殺されるか痛みもなく殺されるかのどちらもイヤな終わり方ではあるが、選ばせていた辺りまだ容赦がある方だとウルは思っている。


 他者から見ればどちらも気分の悪い話ではあるが。


 しかし、喚いてはいるがウルからの暴力に悲鳴を上げたり苦悶の声一つ出さないところだけは認めているようであった。


 ウルは対象の声を聴いて喜ぶような変態ではないが、敵であろうと味方であろうと、筋を通そうとしている相手には区別なく好感情を抱いていたのである。


 とはいえ、尋問どころか拷問張りの苦痛を与えている辺りそんな様子欠片も見受けられなかったが。


「それじゃあさようなら【軍】殿。

 何か最後に言い残しておきたい事や味方に伝えたいことがあれば、殺す前に伝えておいてあげますよ?

 そのあときっちり殺すので意味があるかは不明ですが」


 と容赦なく言うあたり、ウルに悪気があるわけではないが、【軍】にはそう感じられたのか、射殺すような暗い目でウルを睨む。


「…お前、元いた世界じゃ『負の観察者』って呼ばれていたんだって?」


 瞬間、【軍】の声がウルの後頭部に響くような一撃が入った。


「な…なんで、その名を…どこで、否、誰に言われたっ!?」


 最期の悪足掻きに【軍】の言葉は、ウルの精神をかき乱すのに十分に薬だったようで、普段から落ち着いていたウルが珍しく声を荒げていた。


 その声は遠くにいるリオンたちにも聞こえていたようで、一瞬誰だかわからないといった様子を見せたが、この場で喋っているのは場の中心にいるウルだけである。


 そして、ウルも誰が一体という言葉を口にしたが、そんなことは百も承知で分かっていた。


 目の前の駒の(めがみ)以外、知りようもない情報であることに。


「元いた世界にいた『正の観察者』と『負の観察者』の2人の片割れにして失敗作。

 その世界の不幸と絶望…全ての負を受け続けるはずだったお前が、一丁前に世界の救世主?

 はっ、笑わせるねっ!!

(おそらくこいつはボクの心が読める、だから今更な情報を考え続けて最後の最期まで情報を出さないようにしないとっ!!)」


 言葉の裏を知っていても、ウルの身体が震え始めている事は紛れもない事実で。


 目の前の【軍】の口を早く塞ぎたいのに、ウルの身体は何故か動かなかった。


「嫉妬に狂った失敗作、身の程を知らなかった失敗作。

 悠久の役目を逸脱して一人幸福になろうとした半端者がっ!!」


 ウルの脳裏にかつて自分が負っていた役目を思い出した。


 そう、『負の観察者』という役目を。


 この世界における『観察者』と違い、ウルの負っていた役目は地上の存在のあらゆる『負』という業を見続ける立場にあった。


 救いのない世界を見続けることしか出来なかった。


 そう、世界が終わるまで、ウルは見続けるはずであった。


 際限のない『負』の業を。


 身の毛もよだつ『負』の誕生を。


 尽きることの無い『負』の連鎖を。


 目の当たりにし続けて、そして逃げたのである。


 都合よく手を出してきたあの魔神の手をとって。


 そして巡り巡って気付いたことは、その『負』の渦中に常にいた自分は、真っ先にその『負』の最初の被害者であったこと。


 枯れることの無い『負』の源泉を。


 飽きることなく続く『負』の祭りを。


 とめどなく溢れ続ける『負』のはウルの身を蝕んでいき、そして限界を迎え、そして神王に拾われた。


 願いを叶えてもらうだなんていう、都合の良い救いを求めて。


「お前の願いは叶わない、1人だけ幸せになんかなるもんかっ!!

 お前はずっと、どこにいたって地獄を味わえ、遠くから僕ら『女神の御使い』が見物してやるっ!!

(…あ、終わったな)」


 悟ったのか、【軍】の表情がこわばっている。


 ウルの身体から震えは止まっていて、【破軍】を持つ手が振り上げられる。


 しかし、声だけは震えていた。


「…言いたいことは、それだけですか?」


 震えてはいてもいつもと変わらぬ平坦な声であるが、一つだけ違う事があった。


 頬を伝う涙で少しだが邪魔をしているのか、ウルの精神に波が出来ている。


「…ふん、無いよ。

 さっさとボクの首切っちゃってよ、いい加減しゃべるの疲れた

(あーあ、女神さまともっと話したかったなあ)」


「さようなら【軍】殿、あなたはこれまで遭った敵の中で、一番悪辣でした。

 その悪辣さに敬意を表して、名を聞かせていただきたい」


 どんな形であれ最期まで敵であろうとした精神はウルにも届いている。


 ウルにとって身体は無傷ではあるが精神(こころ)の方は重傷だ。


 それでも、ウルのやり方は変わらない。


 どんな敵であろうと、老若男女容赦なく、一人残らず首を狩る。


 それが、今の自分の役目(・・)なのだから。


「…元獣人族、白鼠族が末裔レギオンだ。

 …ふん、その様子じゃそれほど痛手じゃなかったようだね、面の皮熱い奴

(あーあ、敵じゃなかったら仲良くできると思ったんだけどなあ)」


 ふてぶてしく名乗ったレギオンに、苦々しく笑うウル。


 仲良くなる自信は不明だが、そう思ったレギオンはどこかしら残念そうだった。


 被害者にして加害者、女神の口車に唆されて力を与えられた憐れな駒たち。


 もう少し早く出会っていれば、という過程はどこにだってある。


 どこにでも転がっている、不合理でいて不条理な話であった。


「まさか、久々にその名で呼ばれてさすがにグラッときましたよ。

 まさか女神がそこまで事情通とは知りませんでした…一瞬で終わります、もう何も言いませんよ」


「…………」


 目を瞑ったレギオンに、【破軍】の刃が振り下ろされた。


 音も無く全てを断った刃は、持ち主の心を映したかのように、寒々しく凍り付いていた。


読んで戴き誠にありがとうございました。

…意味あったの過去の設定、と思われる方、下手な作者ですいません。

蹴っ飛ばしていた敵と微妙になあなあになりそうだった展開とかどういうことよ、とか作者も思いましたけどキーが止まらなくてっ!!

…ウル君の出自がまあいろいろ知れたかなあ…みたいな?

色々あったんだねえ、途中からどっかの誰かさんに唆されて痛い目遭っちゃってますが。

もっと書きたいですが、延々と書きそうなのでここでいったんストップを。

さて、この章ももうすぐ終了間近、この章他の章より短いんですよねえ。

この後は戦闘ではなく後日談的な形で収まる予定です。

さて次回予告。

次回、『それでも私は』です。

ではでは皆様、また次回まで。

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