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ハイル 救いの物語  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
番外編 デュケイン様漫遊記 仕事も良いけど食べます遊びます楽しみます
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第012話 食事とお話

はい、第12話でございます。

誤字脱字がございましたらコメントよろしくお願いします。

 



『でさバル、お呼ばれした時にはどんな服がいいのかな?

 あいにく服はあれだけだし、さすがに私服はマズイ気がするんだけど』


『…構わないと思うが?

 元々面倒をかけてきた側に配慮をする必要性を感じないのだが』


 しれっというバルに、あー意外と怒ってたんだな、とデュケインは面白がっていたが、その言葉に頷く。


『…それもそうだね、普段通りの服を着ていこっと。

 テーブルマナーは最小限守ればいっか…むしろ知ってたら知ってたで面倒そうだしね』


『管理者の間』でバルと相談した結果、デュケインは城での食事会に私服で向かう事になった。


 元々ハイドリヒにテーブルマナーを教え込んでいないので、不審がられる必要はないだろう。


 わざわざ馬車を宿の前にまで迎えを寄越すあたり、念入りに準備をしてきたようであった。


 何食わぬ顔でデュエインとエインディアは馬車に乗り込み、ハイドリヒは最後まで留守番をすると聞かなかったが、無理やり押し込む。


 馬車が城に着くまでの20分でハイドリヒとお話(・・)をして、ようやく片付いた。


 辿り着いてからは先日同様騎士たちの出迎えでデュケインははっと笑っていたが、本人たちは至って真面目な様子であった。


 持ち物検査などは何故かされず、理由を聞いてみると客人に対して無粋な真似はしないようテレサから厳命されていたらしい。


 それだけ気遣い出来るなら最初からしとけよ、とデュケインは内心呆れていたが、食事を運ばれてからは態度が幾分か軟化した。


 テレサもやって来て、乾杯の音頭をとると、粛々とだが食事会が始まった。


 エインディアはテーブルマナーに関して知ってはいるが気にしないタイプのようである。


 食事をすると言っていただけなので、当初デュケインは食事中に話す行為をしないように心掛けていたのだが、ワインを出された途端に口元がにやけている。


 うっとりしながらワインをまるで水を飲むように飲んでいく光景に、配膳をしていたメイドの表情が引き攣っていた。


 ハイドリヒは音を立てないように食べてはいるが、音を立てるごとにびくついて辺りを見回していて、あれでは味など判断できないだろう。


「ハイドリヒ、別に音立て食べても構わないよ。

 そんなに片肘ばっかり張って食べてたって、味なんかしないでしょ?

 もっと気楽にしなよ、お皿が傷ついて有象無象にちょっと睨まれる程度じゃん」


「そうじゃぞハイドリヒ、気に入らんかったら何か言ってくるじゃろうて。

 それを理由にして出て行けば済む話じゃ、気分悪くこの国から出ていけよう」


 とデュケインは乱暴にハイドリヒの頭を撫で、エインディアは悪乗りしていた。


 傍から聞いていた者たちは慌てて頭を下げているが、デュケイン達は知らぬ顔をしていた。


 食事がようやく終わると食後のお茶が出され、デュケインが毒見とばかりに最初に飲む。


「…うん、毒はないようだね、2人とも飲んでいいよ」


 そういうと、2人が安心して飲み始める。


 食事が運ばれてきた際も、最初にデュケインが料理を口にしていたことにテレサたちは気付いていなかったが、デュケインが口にしたことにより余計に互いの溝が深まっていく。


 使い魔の肉体である為、このように無茶な扱いをしてもそれほど被害はない。


 とはいえ、毒があればもちろんデュケインは苦しむだろうが、感覚共有を遮断すれば苦しむのは使い魔本体だけである。


「そ、そんな…あたくし、そんなこといたしませんっ!!」


 テレサが立ち上がってデュケインに言うが、本人には悪気などない。


「分かる訳ないじゃんそんなの、君があの騎士の報復に来たのかもしれないし?

 平民如きに謝罪だなんて、普通信じる訳ないでしょバカらしい。

 謝罪も兼ねて食事だって、隣の部屋にいる騎士たち下がらせて言うんだねそんなこと。

 ご飯も大したことなかったし、帰るよ2人とも」


 どうやら義理は果たしたと思ったのか、席を立つとデュケインは入ってきたドアから出て行こうとする。


 エインディアとハイドリヒもそれに続いて行こうとするが、なぜか執事やメイドがドアの前に立っている。


 騎士たちが隣にいたことはハイドリヒ以外は気付いていた。


 知れば余計にハイドリヒが緊張してしまうのが目に見えていたので、あえて話さなかったのである。


「・・・どきなよ、飽きたからもう帰る。

 デザートも期待できそうにないし、食後の運動も兼ねて歩いて帰るから馬車もいらない。

 最初にあった時みたいな戯けたことをもう一度言ったらこの城にいる住人皆殺しにするよ?」


 ケンカ腰どころか殺気立っているデュケインに対して壁になっている執事たちも顔を真っ青にしているが、どこうとはしない。


「そういきり立つでないヴァッサーゴ卿、こ奴らも仕方なく壁になっとるんじゃ、好きでわしらの様な無頼の輩になど近づきたくもないだろうて」


「好きでもない奴の命令を聞く神経を僕としては疑うんだけど?」


「おぬしの様な最悪の快楽主義者が言うことを聞く存在などたった一人しかおらんじゃろう」


「失礼だねお前は、僕だってたまには義務感っていうものがうっかり侍みたく出てきてイヤイヤ…渋々ながらも頑張っていたりするんだよ?」


「…本当に正直な魔神じゃわい」


 とエインディアは諦めて事の成り行きを任せる事にしてハイドリヒの頭を撫でた。


 デュケインは嫌々そうに、本当に嫌々そうに振り返ると、テレサに壁になっている執事たちにどくように命じろと言うが、テレサは嫌だと言って聞かない。


「僕は気味みたいな存在に興味もないしどうでもいいんだ、謝罪なんてどうでもいいから、もうほっといてくれない?

 用事が済んだらこの国からさっさと出て行って二度と近づかないって一筆書くから、あの邪魔な壁をどかすように命令してよ」


「だ、だって…もう二度と会えないって思うと…も、もう少しいてくれたっていいじゃないっ!!

 謝ったし、食事にも毒なんて入れてもいないわっ!!

 騎士たちが隣の部屋にいるのは、念のための警護ってだけで…あたくしはいらないって言ったのにっ!!」


 涙を流しながら机をたたくテレサに、デュケインはもういい加減にしてくれとこれで何度目かの溜息を心の中で呟いた。


 デュケインとしては別に警護付で食事をしても全く構わなかった。


 明らかに不審な存在であるデュケイン達に、傍にいるのが執事とメイドたちだけでは、もし何かがあった時に対処できるものが即座に対応できないだろうことは明白だからである。


 ハイドリヒが緊張してしまったかもしれないが、その程度で済むなら楽なものだと判断していた。


 反省しているように見えた最初の面影などなく、顔を赤らめながら涙を流すテレサに辟易としていた。


「今度は逆ギレな上に泣き落としかよ、女の武器全開だねまったく。

 本当に気分が悪いよ、自分の立ち位置をまるで理解していない。

 個人的な感情を優先するだなんて王族として最悪だね。

 僕がもし暗殺者だったら、食事の間だけでいったい何百回殺せたと思っているのさ。

 騎士たちがお前を警護するのは当たり前の行為なのに、お前にもしものことがあったら、そこらにいるメイドや執事だけで危機を脱せられるとでも本気で思っているの?

 我が儘も大概にしろ、お前みたいな自分勝手で迷惑なガキに対して好意なんてかけらも浮かばないわ。

 っていうかもう後のことなんか知るか、エインディア、一旦荷物取ってこないといけないから宿屋に空間転位しろ」


 やけになって言いたいことを言いきったせいか、かなりいい加減な命令をデュケインが言い、渋々といった態でエインディアが応じた。


「それじゃあいくぞい」


「ウルに言っておかないと、ムシュフシュには絶対に近づかないようにって。

 まあ個体能力値が高いのが多いしこの国は心配ないでしょ…それじゃあねどっかの誰かさん、せいぜい楽しく生きていなよ。

 まあ残念なオツムしてるから理解できるか怪しいけど、もう少し利口にしていないと王籍剥奪されるよ?」


 親切にもそう言い残すと、デュケイン達はその場から消えていった。


 残された面々は、消えてしまった3人が呆然としているテレサに駆け寄り慰めていた。


 何が起きたのか扉を開けてきた騎士たちは見当もつかず、いつの間にか消えてしまっていたデュケイン達を探すと言って城下へ降りて行く。


 しかし、宿屋や周囲を捜索したが、デュケイン達が見つかる事は無かったという。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「…あーあ、飛び出しちゃった。

 これからどうする?」


「…やはり考えておらんかったか。

 じゃが心配はいらんぞ、こんな事もあろうかと、昨日のうちに食料だけは確保しておいたのじゃっ!!」


「おー、師匠凄いです、さすがです」


「あはは、僕『こんな事もあろうかと』っていう言葉大好きっ!!

 なんだかとってもご都合主義で、万能感たっぷりでいて素敵な感じしない?」


「はっはっは、まったくじゃて」


 アンヌンを飛び出してから、気落ちした雰囲気はまるでない3人である。


 ハイドリヒはこの国を出ること自体が初めてなため、少しばかり及び腰であったが、頼りになる2人がいるため、恐怖感だけはないようであった。


「…そ、それで師匠、ヴァッサーゴ様。

 これから俺たち何処へ行くんですか?」


 ハイドリヒがこっそり窺うようにデュケインとエインディアを見たが、以前の様な恐怖感は見受けられない。


 修行の時以外は、基本的に仲が良いのである、よく弄られているが。


「んー、ハイドリヒはどこに行きたい?」


「わしはハイドリヒの行きたい所へ連れて行ってやるぞい?」


 といわれてしまったが、ハイドリヒとしても行きたい所があるわけではない。


 あっという間に時間は過ぎていき、一同は最終的にアンストル教国へ行くことになった。


『あれ、僕首都に入れるのかな?』とデュケインの顔が引き攣っていたが、何はともあれ、今日も今日とて無難な一日を過ごした3人なのであった。


読んで戴き誠にありがとうございました。

いやはや…ほんとフラグブチ折りますねこの方。

とはいえ、恋愛模様書くの苦手なので、あんまりうまくかけた気がしないんですが・・・精進いたします、はい。

テレサちゃんは結構いい加減な女の子だったようで、王族としての自意識に少し欠けている残念な子でした。

我儘・傲慢・自分勝手、という三拍子そろった…これだけ見るとなんだか最悪ですねこれ。

さて次回予告、番外編最後のお話です。

次回、『結局、あなた何していたの?』です。

ではでは皆様、また次回まで。

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