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ハイル 救いの物語  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
番外編 デュケイン様漫遊記 仕事も良いけど食べます遊びます楽しみます
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第002話 無双の意味って知ってる?

はい第2話でございます。

デュケイン様の無双タイムでございます。

 



 ただいま僕の目の前には、血塗れな同行者たち、ゲインとトビーが横たわっちゃってます。


「…よっわ、ナニコレ。


 コイツら本当に冒険者ランク『赤』なの?


 5分もかからないうちに半死半生なんて…僕の目も曇ったかなあ」


 どうしてこうなったんだっけ?


 確か、村を出てから山を越えるまでのんびり歩いて行っていて、頻繁に商人たちが襲われている場所に辿り着いて、歪が5匹ほど襲い掛かってきたところを2人が倒したんだ。


 倒した後も警戒しながら剥ぎ取りをしていたけど、剥ぎ取りを終えた瞬間に2人が警戒を緩めちゃったのが今回の原因なんだよね。


 依頼されていた歪が2人に不意打ちで突進していったのを僕は眺めるように見ていた。


 いやはや、この使い魔の身体、思ってた以上に使い勝手悪いや。


 探知能力低すぎて索敵も満足にできないなんて。


 まあ仕方ない、転がっている2人には悪いけど、今のうちにこの歪食べちゃお(・・・・・)っと。


「堕竜種の歪か…強化するにはまず心臓と爪と牙かな。

 あとそれから翼と…この2人が死ぬまでに食べきれるかなあ」


 唸っている歪なんて怖くもなんともないから、さっさと片付けようか。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 妖精族と会えて少し浮かれていたのもあったのだろう。


 妖精族は200年前からその姿を見せなくなった今では希少種族ともいえる。


 エルフ族と同等かそれ以上の潜在魔力を持つ彼らは、滅多に国から出てこない。


 特殊な体を持つ彼らが国から出てしまうと、次第に衰弱していってしまうのである。


 200年前でも他国にいる姿が希少だった彼らが現在結界の所為で閉じ籠っている以上、200年ほど彷徨っていたデュケインと名乗る妖精の存在は奇跡のような出会いだったのだ。


 依頼を受けて立ち寄った村でデュケインと会って、依頼に同行する事になりだらだらとまではいかなかったがのんびりと目的の場所へ向かっていた。


 相棒のトビーも最初こそ反対していたが、デュケインの力に気付いていたのもあってか渋々といった形で納得してくれた。


 200年彷徨っていれば、力の減衰は途轍もないものであるはず。


 魔力溜まりのような場所で休みながら国々を巡っていったとしても、フィンヴァラ以上の身体を保つための必要魔力を補える場所など聞いた事も無かった。


『ふっとべ』


 たった一言、デュケインが口にしただけで襲い掛かってきた歪は突如現れた巨大な黄金の鎚で文字通り吹き飛ばされた。


 吹き飛ばしたのは中位の歪で集団で狩りをするグランヘルモスだった。


 硬い鱗と鋭い爪と牙で尚且つ素早いという面倒な相手を、鎧袖一触あっけなく撥ね飛ばしていった様を見て、一体どういう魔法なのかを聞こうとしてきたが、何も答えない以上は追及しても仕方がないと思いこの話は切り上げられたのだが、その頃からトビーのデュケインを見る目が変わった気がした。


 同行者としてちゃんと認めてくれているようであった。


 倒した歪に興味がなかったのか、デュケインは辺りを見回しながらふらふらとしていたが、俺達2人の為に警戒をしてくれているようである。


 俺たちも警戒は怠っていなかったが、剥ぎ取りを終えて一息つきたかったのか、俺もトビーも腰につけていた水筒を持った瞬間に、アレ(・・)はやってきた。


 竜種はこれまでたくさん相手取ってきた。


 俺たちの連携であれば、大抵の歪は難なく倒せる。


 交代で果敢に攻撃を仕掛けて相手に攻撃の隙を与えないこのスタイルを見た冒険者が俺たちの事を『攻剣』と呼んで既に十数年は経っている。


 だが、やってきたのは堕竜であったのならば話は別である。


 竜種の中でも特に危険視されている堕竜は歪化してから200年経ってはいるが10体も倒されていない。


 ただでさえ強力な竜種が歪に憑りつかれてしまい、例え『黒』の冒険者でも無闇に相手どろうとしない、それが堕竜の力である。


 酷い悪夢を見ているようだった。


 得物である魔法剣で協力無比な爪の一撃を受けるとあっけなく砕かれ、衝撃をそのまま受けて吹き飛ばされる。


 牽制のつもりで放ったナイフも、避ける事すらせずに虚しく乾いた音が響く。


 死角をついたトビーの一撃がようやく入ったが、スジを付けた程度で出血にすら至っていなかった。


 決定打を手数で補っている俺たちの連携では、あの堕竜を倒すのは無理だ。


 トビーは俺に視線を送り、どうにかして逃げろと訴えてきていたが、吹き飛ばされた衝撃か体が思うように動かない。


「…ぐあっ!!」


 息吹(ブレス)を躱したのも束の間、張り手のような一撃をトビーは受けてしまい、俺同様に吹き飛ばされていった。


 視界から消えていく中で、デュケインがまだ残っているのを思い出し、薄れゆく意識の中で伝えたが、デュケインは動こうとしなかった。


 それどころか、倒した後の算段を考えているようで、牙とか心臓とか、何とも物騒な言葉が零れている。


「…逃げ…ろ」


 最後にようやく口が開いたのか、デュケインに放った言葉とは全く違う言葉をデュケインは口にした。


「…それじゃ、いただきまーす」


 それは酷く場違いで、それは酷く不釣り合いで、それは酷く怖気の走る…、

 殺戮のはじまる言葉であった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 デュケインは『神言』を戦闘の基本としている。


 並み居る魔神たちを押しのけて三千世界においても比類なき実力者であるデュケインは、『神言』を使えば大抵の事象はやってのけてしまうからだ。


 ドレイクをたたきにした時も、たった一言で片付けてしまえる力を簡単に使ってしまう。


 だが、この世界に来た時、事情が変わった。


『爆ぜろ』


 視線で殺すというのはこういう事なのだろうと言わんばかりに、デュケインは堕竜を見つめた。


 瞬間、堕竜の全身を強力な爆発が襲い、堕竜が余りのダメージに悲鳴を上げる。


 息吹で反撃に出るが、デュケインは避けようともしない。


『反転しろ』


 たった一言、それだけで事足りるのだ。


 黒い息吹はデュケインに浴びる前に慣性の法則を無視した動きで堕竜に息吹を顔面に受けた。


「…参ったな、動きたくても『神言』やろうとおもったら集中しないと使えないよ」


 しかもたった二回使っただけで保有魔力が3分の1も持っていかれてしまっているのに気付き、あまりの燃費の悪さに辟易していた。


 最小限の力を込めて送り込んだ使い魔の所有魔力は使い魔五人衆より遥かに低く、戦闘に適した身体をしていないため、使い勝手の悪さがここに来て忌々しく思い始めていた。


「グルルルルル…グギャアアアアアアアアアアアアッ!!」


 唸り声をあげて堕竜が翼を広げて飛び上がろうとする。


 逃げる気なのか上空から襲い掛かるのか判断がつかなかったが、どの道隙を自ら作った堕竜を見逃すつもりはデュケインにはない。


『魔剣でハリネズミに為れっ!!』


 残りの仕える魔力を総動員して、デュケインは堕竜にトドメの『神言』を使う。


 堕竜の上空を囲い込むかのように刀身から柄まですべて白という異様な魔剣が現れると、一斉に堕竜に襲い掛かる。


 堕竜は強靭な翼で魔剣を撥ね飛ばそうとしたが、あまりの数に対処できず、翼を貫通する魔剣に圧倒された。


「グギャアアアアアアアアアアアアッ!!」


 刺さる魔剣が次第に堕竜の背を中心に刺さり続け、『神言』通りの堕竜はハリネズミと化した。


 墜落する堕竜にデュケインは追加で残っている魔剣を使って首を落とす。


 首をようやく落とされ、辺りに静けさを取り戻した。


 飛んでいるのもやっとのデュケインだが、堕竜の元へ辿り着くと体の中央を切り開き、心臓を取り出した。


 堕竜の身体は中身までも黒く、どれが心臓か見極めにくかったが、ようやくそれらしい部位を引き千切った。


 黒い血がデュケインの全身にかかるが、汚れた以外に問題はなかった。


「…うん、上物だ。

 これなら使い魔の強化に使えるね」


 小さな口を目一杯開けて生々しい食事が始まった。


 生肉を力一杯噛み千切る音と、心臓に残っていた血液をすする音が辺りに響き渡る。


 心臓を喰い終えると、牙や爪、そしてメインディッシュの角を平らげていった。


 ゲインとトビーの依頼を完了させるために一部残したが、それでも十分に強化は完了したようで、満足そうに試運転がてら全身を綺麗にするデュケイン。


 全身が真っ黒になっていた身体はあっという間に真っ白の状態になり、何事もなかったかのように気分よく鼻歌をしている。


「…大体5%増っていう所かな。

 あのレベルでこの量かあ…まあ次からもっと良いの探せばいい話かな。

 さてと、ゲインとトビーの傷を治さないと…『治れ』」


 ゲインとトビーの身体を淡い光が覆うと、怪我をした個所が無くなっていく。


 さすがに壊れた鎧や剣を治すほど気前は良くないようで、デュケインは一人あたりを見回した。


「うん、誰にも見られてないね。

 こんな恥ずかしい勝ち方じゃあなんて噂されるかわかったもんじゃないからね」


 余裕で相手を圧倒するのがデュケインだが、『神言』を3回使った程度でばてる姿を他者に見られるわけにもいかないというプライドがあるらしい。


「さて、2人の記憶を弄って村に帰ろっと」


 デュケインは念入りに2人の記憶からデュケインに関する記憶を弄繰り回し改竄し、1人村にのんびりと帰っていった。


 目を覚ましたゲインとトビーが見たのは、全身を滅多刺しにされ、かろうじて残った爪と牙、根元からなくなってしまっている角。


 そして、全身から血を流し、心臓があった場所がぽっかりと無くなっている堕竜の姿だった。


 ゲインとトビーの記憶には無我夢中で倒したという記憶しかなく、昨日会ったデュケインは依頼に同行を申し出なかったことになっていた。


 実にデュケインにとって都合がよく、ゲインとトビーの2人にも名誉と金が入るという何事もなく終わった結末(・・)であった。


読んで戴き誠にありがとうございました。

『神言』チートすぎるでしょこれ、と思いの方、当然です。

だって神様ですから、の一言で済んでしまうデュケイン様クオリティ。

とはいえ、使い魔の使い勝手が難しいため、スタミナの少々足りない戦闘でした。

堕竜の捕食シーンは少しグロかったかもですね、気を悪くされた方申し訳ありません。

某漫画ではありませんが、この使い魔は強い歪を食べれば食べるほど強くなります。

さて次回予告。

次回、『騎士団とすれ違いました』です。

ではでは皆様、また次回まで。

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