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ハイル 救いの物語  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
第2章 地獄の沙汰も代行者編
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第032話 私は悪くありません

誤字脱字がございましたらコメントよろしくお願いします。

PV 23,070アクセス

ユニーク 2,899人

まことにありがとうございます。

デュケイン様御休み回です。


 身内を攫った者に対して制裁を与えました。


 悪い事なのでしょうか?


 いいえ、悪くありません。


 しかし、相手は勘違いをしているようでした。


 加えて、それが戦闘の始まる前に分かっていながら戦闘に入り、あまつさえ瀕死の状況にまで追い込みました。


 殺す気はなかったとはいえ、怪我を治さなければ後の一生に関わるほどの大怪我を負わせてしまってもいます。


 それでも悪い事でしょうか?


 いいえ、まったく悪くありません。


 相手の目的は教国とアヴァロンの関係を瓦解させて、獣人奴隷解放の妨げることでした。


 その為に、あえて身内を攫うような行為に出て、教国側との関係に(ひび)を入れるような真似をしたというのが、今回の顛末らしいです。


 それにしたって今回の事態は度し難い。


 せっかく事が穏便に済むはずだったのに、わざわざそれを獣人側から引き裂こうとするだなんて。


 種族を問わず、クズはクズなんですかね?


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「…それで、言いたいことは他に何かありますか?

 無ければ2人を連れて帰ることにしますが」


「…お前、本当に魔人かよ?」


「隣でへたばっているシャドウィンに聞いていないんですか?

 というより、自分より遥かに格上の存在にいる存在に手を出すだなんて、バカとしか言いようがありません」


 人質がいる事に優位を感じていたのでしょうが、甘すぎてあくびが出そうです。


 ウルは最初シャドウィンに襲い掛かると、獲物を破軍で破壊するとそのまま蹴り飛ばした。


 相当な業物だったのか、壊れるまで一秒と待たされたが、ウルの速さに追いつけずに鳥の獣人―――マークという名前らしい―――は固まってしまっていたのである。


 たった一人になったマークは羽を広げて逃げようとした。


 ウルは肉体の比重と比べてどうやって飛べるのか興味があったのか、思わず見物しようとしたのだが、逃がす理由にはならず、空中に浮かんで上昇しようとした瞬間、無詠唱で翼を火系統魔法『身焦がす灼熱の吐息(ブレナアテム)』を使って翼の芯をも焦がすほどの熱量

で落としてしまう。


 驚いたマークはこの部屋で魔法が使えないことを熟知していたはずだった、


 元研究施設の一部の部屋には、壁の中に魔法を阻害する魔道具が埋め込まれており、相手が人間だったら獣人の膂力で圧倒できるという作戦を立てていたのである。


 それが何故、ウルに魔法が使えたのか。


 それは、実際に魔法を阻害する魔道具の寿命や耐久性が問題であったことに起因する。


 この部屋に設置している魔道具程度では、ウルの魔力を阻害する事は不可能で、マークの立てた作戦は全くと言っていいほどに意味が無かった。


 痛め付けながらどうしてリオンたちを攫ったのかというと、人間と同行している獣人の話を聞いたマークが、リオンとジュリーを助けるために行ったことだったらしい。


 最初シャドウィンはウルが魔人族だと言ったのだが、思い込みの激しいマークは信じず、分かれたところをリオンたちの意思を聞かずに拉致し、この事態になってしまったという事である。


「まあ人間でいいのではないですか?

 あなたは私の事を人間だというのでしょう?

 それじゃあ自分の思ったことを信じればいいではないですか」


 マークと話しているうちに、この獣人が思い込みの激しい勘違いから起こした事態であり、その勘違いから今回の計画を企てたことを知って、ウルはほとほと運が悪いとしか思えなかった。


 最大の被害者は攫われたリオンとジュリーである。


「獣人族が人間族を嫌う理由は理解はできます、共感は出来ませんが。

 だからといって、同じ獣人族を犠牲にしてあまつさえこの私(・・・)の邪魔をするのは到底看過出来る事ではありません」


 身勝手極まるウルの言葉だが、気が触れてもおかしくない位に怒っているウルに理論立てて抑えても火に火薬である。


「…どいつもこいつも神王様(マスター)の邪魔ばかりして、滅びたいのですか貴方たちは?

 それじゃあ私はどうしてこの世界に送られてきたのですか?

 必要とされていないのなら、私がこの世界にいる必要が無くなるじゃないですか」


 ぶつぶつと呪詛の様に呻いているマーク羽を踏みにじりながら、ウルは苛立ちを吐き出す。


「やっと…やっと私の願い(・・)が叶う筈だったのに、来てみれば人間がバカな事して調子に乗っているし、ようやく獣人解放の目途がたったのに今度は獣人?

 ふざけるなよこのバカどもが、この大事な時期に騒ぎを起こすだなんて分別もつかない位にバカなのか!?」


 口調も変わってウルのこめかみには青筋が何本も浮き出ている。


 ぼろぼろになってしまっているマークの首根っこを掴み机に叩きつけ、ウルが一体何を言っているのか理解できていないマークは、呻くことしか出来なかった。


「…確か、鳥の獣人は総じて位の高い一族が多かったと2人に聞いたことがあります。

 加えてシャドウィンは鋼虎の一族、200年前にある一族(・・・・)を守っていたと金獅子族のエドワードからも聞いていました」


 何を思ったのか、ウルはマークの傷を癒し、シャドウィンの怪我も治した。


 何をされたのかもわからずに呆然としていた2人をよそにウルはリオンとジュリーの縄を解いて気付けとばかりに魔法で軽い電撃を走らせる。


「「いったあっ!?」」


 悲鳴交じりの声を上げて2人が飛び起きた。


 何を呑気に寝ているのやら、まったく。


 その原因がウルの放っていた殺気であることに気付かずにいた本人だったが、溜息をついて何も考えないことにした。


「ほら2人とも、帰りますよ。

 …どうやら、目立った怪我はしていないようですね」


 念のために治療をしてリオンとジュリーを立たせると、一周して外傷が無いことを確認して帰ることになった。


 マークは見逃されたことに安堵したのか、もうウルたちには関わるまいと心に決めて机の上で握り拳を叩きつけた。


 リオンとジュリーは荒れている部屋をみて気絶したまえのウルがかなり怒っていたと覚えていたのか、すごすごと黙ってウルの後を付いて行く。


 深夜な事だけあって誰ともすれ違わず川原の鈴鹿邸に着くと、2人に同じ部屋で寝るように厳命して、ウルも同じ部屋で椅子に座って2人が寝るまで見守っていた。


「明日になったら色々と聞きます、だから今日は眠りなさい」


 本来ならばすぐにでも話を聞きたい所だったが、疲れ切っている2人に無理をさせようとは思っていなかった。


「…先生、ごめんなさい」


「今回の事、すいませんでした」


 リオンとジュリーが謝罪をしてくるが、本来ならばウルが謝罪したい所なのである。


 気を緩めなければ、隙を見せなければ、2人が攫われる事などなかったと自覚していただけあって、ウルは喉に閊えた言葉を無理やり押し込める。


「明日聞きます、だから休みなさい」


「先生はどうするの?」


 ジュリーが何か思ったのか、ウルの睡眠をどうするのかと聞いてきたが、ウルは気にする必要はないと言って笑う。


「私は特別製の魔人ですから、本来寝る必要はありません。

 だからずっとあなた達を見守っていられます、だから、眠るんです2人とも」


 デュケイン同様に精神生命体でもあるウルには本来食欲や睡眠欲などは存在しない。


 自己完結した身体になってしまっていて、睡眠や食事は嗜好品といった所なのだ。


 人間だった癖で睡眠や食事を摂っていたが、こうなってしまえば本来必要でなかった行為をする意味はない。


 ジュリーの瞼にそっと手を添えると、寝息が聞こえるまで待った。


 ジュリーが眠ると手を離して、リオンの方へと振り返る。


 リオンはまだ起きており、寝てしまっているジュリーにほっと息をつくと、ウルが言ったように目を瞑る。


 静かになった部屋を見回してウルはようやく落ち着いたのか、椅子から立つと関節を動かしたりと柔軟を始めた。


 音を立てずに息を殺して暇を潰すウルは、2人が次に起きるまで、黙々と柔軟や体操をしているのだった。



読んでいただきありがとうございます。

なんというか、お粗末なことになってしまいまして、すいません。

逆鱗モードが前回に引き続きちょっと出ていましたが、ウル君の口の悪さに作者もびっくり。

途中意味深な言葉がちらほらと出ましたが、このあたりはまた別の機会にでも。

さて次回予告。

次回、『嫌いなもの、勘違いしたやつ』です。

ではでは皆様、また次回まで。

コメント、御感想、御質問をお待ちしております。


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