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貴方の望みを叶えます
「当たったって……何が……?……というか、どちらさまですかっ?」
嶺の口から次々と発せられる質問。だが目の前の白い顔は、現実感のない薄っぺらな笑顔から変化しない。
「何とか言ったらどうですか……」
できるだけ落ち着いた声で、嶺は問いかけた。
すると、訪問者はようやく口を開いた。
「貴方の望みを、叶えます」
「望みを、叶える……?」
「そう、貴方の望みを、叶えます」
白い顔はゆっくりと、繰り返した。
「貴方の望みを、叶えます」
「変な宗教ならば、帰ってください」
気味が悪くなった嶺は、なるべく静かに、言った。
次の瞬間……
「!?」
嶺は声にならない声をあげた。
目の前では、先ほどまで笑っていた男の顔が醜くゆがんでいる。まるで嶺に恐怖を味わわせようとしているかのように。
……………………
しばしの沈黙の後、男は再び、口を開いた。
「貴方の望みを、叶えます」