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第一章・幕開け
「それでは、次のニュースです。連日世間を騒がせている殺人鬼が、今日も……」
静かな部屋に、不似合いに響くテレビの音。それをつまらなそうに眺める少年。
彼は名を、嶺といった。
「殺人鬼は『壊魔』と名乗ったとの情報も入っており、警察は捜査を続けています」
アナウンサーの抑揚のない声を背景に、嶺はぼんやりと窓の外を眺める。
--久しぶりに、外にでも出てみるか。
テレビを消して立ち上がり、嶺はドアに手をかけた。ドアノブをしっかりと握る…………必要はなかった。ドアは開いた。外から。
突然の訪問者に、驚きを隠せない嶺。目を白黒とさせて棒立ちになっている。
「ど、どなたですか」
嶺の問いかけには答えずに、訪問者は口を開いた。
「おめでとうございます。大当たりですよ」
感情のない白い顔が、不気味に笑った。