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プロローグ・扉は開かれた
「許して……ください」
薄暗い部屋で一人、涙をこぼす少女。
その体には、痛々しい無数の傷跡。
許して、許してと呟く声も、可哀そうなほどに弱弱しい。
がちゃっ
不意にドアの開く音。彼女の部屋ではなく、玄関のドアだ。
だれ? と少女は顔を上げる。父親はすでに眠りについたはず……それじゃあ?
考える暇もなく、少女に近づく足音。不安が彼女を襲う。とっさに隠れようとするが、そのような場所はない。
そして勢いよく……
「きゃあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁ」
扉は開かれた。
それはとても残酷な……運命の扉。