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幼女(仮)の恩返し  作者: そよら
序章
4/5

「本当に誰一人わからないと?」



医者らしき人物が数人、彼の威圧に怯え、膝をついて謝罪している。


何この状況...。






声が、でない...?

そういえば、さっきから何も話していないような...。



「...この子はどうしたんだミア。」


「分かりません...?」



不思議そうに見つめてくるご主人様とミア。




「あのー、公爵さまぁ...


もしかして、話せないんじゃないですか?」



ドアの前のイーサンが私の状況を読み取ったらしい。





「...」



顔を真っ青にしているミア。



「...い...だ。」


「はい?」


「今すぐ医者を呼べ!イーサン!!」


「えっ!?は、はい!!」



ということで冒頭に戻る。


私は一人ひとり変わるお医者さんの診察を受けたのだが...誰も原因がわからないらしい。





「誰も話せない理由がわからないだと?お前らの頭はお飾りか?」



私が見つめられている訳ではないのに、こっちまで苛立ちが伝わってくる。


(何に対してかはわからないけど。)




「恐れながら、公爵様。お嬢さまが怖がっております。」



ちょっとミア何言っちゃってるの?注目の的がわたしに...!!

ていうかさっきから何も恐れてなかったじゃん!?




「「「お許しくださいお嬢さま!!!!」」」




医師たちが私に頭を下げてくる。


いやいやいや私に言われても...。

これって...私のために呼ばれた、んだよね?



「公爵様!お嬢さまは精神的なものと関係している可能性がございます...!」



勇気ある若い医師が話し始める。


それってストレスってこと?

ストレス...ではないと思うけど...。


何ていうか、話すと喉が〝きゅっ〟ってしまる感じなんだよね。




「治るのか?」


「...」



ちょっと!だんまりしないでよ!



ていうか...話せなかったら、私一生このまま...?

さーっと血の気が引く。


これじゃあ神殿をでてからやりたいことができない。

神殿をでたら、神に捧げる音楽だけじゃなくて、自由にたくさん歌を歌いたかったのに。

森の動物とか植物と話したかったのに...。



何より――怖い。

自分が何に対して怖いと思ってるかは分からないけど。

話せないことに、身体が抵抗しているような。


手の震えも止まらないし、嫌な悪寒がする...


とにかく怖い!!

誰か、助けて――!!



「お嬢さま!!」




ミアにぎゅっと手を握られる。


...あたたかい。


――手の震えが少しずつ収まっていく。



ミアってすごいなあ...。



ミアに読唇術が伝わるとは思えないけど...

これくらいなら...



『ありがとう。』


「お嬢さまっ...!」



わっ、急に抱きしめないでよ...。

でも、やっぱりミアってあたたかいなぁ...。


人肌って久しぶりだっ...。

もう少しだけ...。





「はぁ...もういい。とんだ時間の無駄だったな。


イーサン、次はもっとマシな者を連れてこい。」



「グラキエスが持てる最高峰の技術ですよ!!」



もう!と怒ったように、医者を連れて行ったイーサン。



「...お嬢さま?」



抱きしめていたミアの体温が少し離れる。



私は今どんな顔をしているのだろう。


体の震えが止まらない。



だって、――目の前に立っているのは...


やっと納得できた。


貴族会議に参加していた私が知らない貴族。

王国では珍しい花が、これ程でもかというほど咲いている庭先。

崖に続く、隣国に一番近い川。



()()は王国の敵国であり、目の前にいるのは――



帝国の皇家に続く公爵家(権力者)、セオドア・グラキエス...!



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