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【全年齢】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました【本編完結】  作者: あざらし かえで
第七章 限界突破のその先は?

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68.これってフラグ?

 この状況、逃げられないのでは?

 俺は緊張感で身体が固まってしまって逃げるに逃げられない。

 しかも、なんかドキドキしちゃってないか?

 いや、色々覚悟は決めたけど……こっちの覚悟は……ラウディとどう向き合うかは、まだ決めきれてないっていうか。

 いきなりフラグ立つ? 急すぎないか?

 

「ハル……キスしていい?」

「キ、キス? え、いや……それは……って、話聞いてな……」


 反論する前に唇を塞がれた。

 いや、俺も色々ぶちまけたけど……ラウディもぶちまけすぎだろ!

 ここまで来たら俺だってラウディに好かれてることくらい分かるけど……急にキスされても困る!


「っ!」


 いや、返事する前にしてるんですが! それは?

 精霊とはいえ、ラウディは男だろ? これじゃ妹の思惑通りの展開だ。

 しかも、意外とあっさり受け入れちゃってるところがまた……。

 普通、嫌悪感とかありそうなもんだけど……ここで嫌がったら可愛そうだとか、きっとそんな気持ちがあるから拒めないんだよな。


 ラウディの唇はしっとりとしていて、まぶたにキスされた時よりもより存在を感じるというか。

 いや、キスとかされたことないから分かんないって!

 こ、このくらいは挨拶だよな? な?


「こ、これは……挨拶だよな。精霊同士の挨拶ってヤツだから深い意味はなくって……」

「……おはよう、ハル」


 ラウディは綺麗に微笑んで、もう一度触れるだけのキスをしてきた。

 あぁぁ……終わった。

 しかも、満足そうに見えるのは俺だけですか?


 俺が一人で色々と考えていると、トントンと控えめに扉が叩かれた。

 ラウディの胸を押し返しながら、はいと返事するとゆっくりと扉が開かれる。


「ラウディに毛布をと思ったのですが……良かった。ハル、目が覚めたのですね」

「ハルさぁん! 良かったですよぉ! とっても心配してたんですー」


 優しい声色のイアリスと涙声のモグが一緒に部屋へ入ってきた。

 イアリスは入り口に置いてあったランプに火を灯してくれる。

 モグはすぐに俺の元へ飛び込んできてくれた。

 両手で受け止めて、ぎゅっと両手で包み込みながら身体をなでる。


「モグ、心配かけてごめんな。もう大丈夫だ。イアリスも……ありがとう」

「いいえ、私は何も。ラウディがあなたを抱えてきたときはどうなることかと思いました。身体が冷え切っていたので急いで神殿の中の治療室へ運び入れたのです。ここならば聖なる力が満ちていますので」


 まさか、神殿にそんな役割まであったなんて知らなかった。

 イアリスの説明で漸く今の状況を知ることができた。

 俺もいっぱいいっぱいで、ラウディに自分のことを説明するばっかりだったもんな。


「ラウディがあなたの側を離れないと言って聞かなくて……ずっと見守りながら力を送っていたようなのですが、ラウディも力尽きて眠っていたので毛布をお持ちしたところです」

「俺に力を? そんなことができるのか?」

「はいー。と言っても、怪我がすぐに治るような万能なものではありません。ハルさんはお疲れのようでしたから、ラウディ様が癒しの力をお送りしてました」


 ラウディの顔を見ると、ラウディも肯定的な意味で頷く。

 精霊って人に対しても力を送れるとは知らなかったな。


「私はあなたに安らぎを、ウィンは心地よさを。シアンは休息を、レリオルは元気を。ああ、ルカンも申し訳ないと思ったのか、暖かさを送っていましたね」

「え……いや、全員俺に力を送ってくれてません? 何だか逆に申し訳ないことを……」

「いえいえ。そうは言っても私たちができることは些細なことです。ほんの少し、あなたの回復を助ける程度のこと。あとはあなたの生命力次第だったのですよ」


 イアリスも微笑んでくれてるけど、少し悲しそうにも見えた。

 俺は必死で周りも見えてなかったけど、今はこんなに心配してくれる人がいるんだな。

 妹の哩夢(りむ)もそうだし、ラブスピ世界でもみんな好意的だ。

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