表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました【本編完結】  作者: あざらし かえで
第六章 バグる距離感

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/118

48.光と闇

 内心何でいるのと思ったけど、口に出さなかった俺をほめてほしい。

 今度はアウレリオルとオブディシアンの二人が俺の目の前に現れた。


「やはり来たか。待っていたぞ」

「ったく、その言い方だとハルがビビるだろ。もう少し優しい言い方はできないのかよ」

「……お二人とも、こんにちは」


 なんで、こうも次々と巻き込まれるのか。俺はただ育成をしたいだけだってのに。


「ルカンは今自宅で反省するように伝えてある。ウルフから詳細は聞いているが、怪我はないようだな」

「おかげさまで。ラウディに助けてもらいました」

「へえー。ラウディのヤツがな。というか、ラウディはそこまでハルに気を許したんだな」


 あ、無意識で愛称呼びをしてしまった。

 オブディシアンにすぐに感づかれて突っ込まれる。アウレリオルはそのことには触れずに俺の方をじっと見つめてきた。

 二人はどうして俺のことを待っていたのだろう? というか、対応が早すぎて驚くしかない。


「ウルフがすぐに知らせに来てくれたのだ。ルカンの言い分も聞いたが、念のためハルの言い分も聞く必要がある」

「コイツはそう言ってるが、ハルはどうせ巻き込まれたんだろ?」

「シアン、少し黙れ」

「はいはいっと」


 生真面目なアウレリオルと自由なオブディシアン。相性は悪そうだな。

 俺は腹を(くく)ると、素直に自分視点の話をアウレリオルへ説明した。

 アウレリオルはその間もずっと眉間に皺を寄せていたけど、俺の話を聞いて深く頷いた。


「成程。ウルフが言っていた話とも一致するな。今回はハルに非はなさそうだ」

「だから言ってるだろう。どうせルカンのヤツが突っ走っただけだって。アイツのカティへの肩入れっぷりはすさまじいからな。お前こそどうなんだよ?」

「カティは我に対しても茶の誘いや出かける誘いをしてくるのは確かだ」

「ほーら。やっぱりな。お前、自分の立場を(わきま)えてるよな? 仮にも俺様たちを束ねてるっていう自覚があるなら、公平な立場で判断してもらわないとな」


 オブディシアンはふざけた口調かと思っていたけど、最後の方は俺のことを考えて言ってくれてるってことだよな。


「そういう貴様こそ。ハルに随分肩入れしているように見えるが? 精霊とはどちらの精霊使いの卵にも公平に接すると言ったのはどの口だ」

「フン。この口だ。俺様はいいんだよ。お前とは立場が違うからな」

「我は貴様のような(やから)を取り締まるために、こうして皆の間に立って……」


 この口論はいつ終わるんだ? これをずっと聞かされるのは困る。

 はあ……参ったな。


「あの……お二人とも。俺が話せることは以上です。ウルフは俺をかばってくれたので、ウルフへのお(とが)めはなしでお願いします」


 遠慮がちに口を挟むと、一旦口論は止まってくれた。

 本当に疲れるんだよな、間に挟まれると。用が終わったのなら移動してほしい。


「ああ、分かっている。だが、主の暴走は自分の責任もあると言って主の側で見張っているようだ」

「ウルフ……さすが兄貴肌」

「兄貴? あー、確かにな。アイツはなかなか根性もあっていいな。カラスもいつも褒めてる」


 オブディシアンが明るく笑うと、アウレリオルは盛大にため息を漏らす。

 闇と光の名の通り、本当に対照的な二人なんだろうな。


「まあいい。ハルの言い分が聞けたので我は戻る。貴様は好きにしろ」

「お前に言われなくても好きにするさ」


 アウレリオルは行ってしまったけど、オブディシアンはもしかしてこの場から離れないつもりか?


「あの……オブディシアン様?」

「ったく、俺様は表立って言うほどでもないからと思ってたってのに。ラウディのヤツまで許すなら話は別だ」

「……もしかして、愛称の話を蒸し返してます?」


 俺が少し嫌そうに言うと、オブディシアンはニィっと意地悪そうに口端を吊り上げて笑って見せた。

 うわー……また嫌な予感がする。精霊たちってノリで生きてるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ