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【全年齢】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました【本編完結】  作者: あざらし かえで
第三章 地道なお手伝いで金貨を稼ごう

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15.闇の下級精霊

 オブディシアンと別れた後、洞窟の側にあるレンガの積まれた建物へ近づいていく。

 煙突が付いた建物からは、煙がもくもくと立ち上っていた。

 扉を叩いて中に入ると、ムッとした空気が身体にまとわりついてくる。


「失礼します。手伝えることはありませんか?」

「手伝い……? まあいい。来い」


 中には長い黒髪を一つに結んだ人物がハンマーを持ちながら赤い塊を叩いていた。

 ここは鍛冶場で、中にいるのは下級精霊のカラスだ。

 といっても、彼は人間のような姿に擬態していることが多い。背中に黒い羽はあるけどそれ以外の見た目はほぼ人型だ。

 下級精霊といっても、彼はオブディシアンと共に精霊の住処(すみか)を守る精霊でもある。

 なので、彼もかなりの力を持っていて下級精霊の中でも戦闘もこなせるタイプだ。


「俺は何を手伝えばいいでしょうか?」

「出来上がった武器を分類ごとに分けてくれればいい。この中は暑いから水分補給はしっかりとな」

「分かりました」


 この下級精霊もぶっきらぼうだが、下級精霊のイケメン枠として人気のキャラだ。

 鋭い瞳を向けられたが思っていたより親切で、作業しながら俺の様子を気遣ってくれているのがよく分かる。

 

 机に並べられているのはどれも立派な武器や防具ばかりで、思わず手に取ってみたくなるようなものばかりだった。

 ただ、重さが尋常(じんじょう)ではなくとてもじゃないがゲームのように振り回せる気がしない。

 俺は元々運動はあまり好きじゃなかったし、人に注目されるのも面倒なので運動系の部活に入ったこともない。

 色々言い訳をしてみたが、俺じゃ戦うことは無理ってことだ。


「おも……」

「お前……戦ったことは?」

「ありません」

「そうか。だが、精霊使いが戦うことはないだろう。問題ない」


 男としては情けないが、俺は戦士でも魔法使いでもなくただの一般人だ。

 精霊使いの卵は精霊と対話できるというだけで、残念ながらチート能力はない。

 暫くの間手伝うと、カラスからもう大丈夫だと言われて金貨を数枚渡された。


「ありがとうございました」

「それはこちらのセリフだ。助かった」


 無事に金貨もゲットできたし、俺も鍛冶場の外へ出て深呼吸する。

 森の爽やかな空気を吸い込むと、少しだけ疲労感が薄れる感じがした。


 +++

 

 次はどこへ足を運ぼうかとしばらく森の中を探索していると、草むらの中を右往左往しているモグに出くわした。

 そういえば、困っている下級精霊を助けるイベントっていうのもあった気がする。

 モグの場合は探し物をしているはずだ。

 突発のお手伝いイベントは金貨の報酬もいいはずだし、やっておいて損はないだろう。


「モグ?」


 俺が身体を屈めてモグへ声をかけると、モグは驚いたのかぴょんと跳ねあがった。

 もしかして、驚かせたのか?


「あ、ハルさんでしたか。ラウディ様かと思ってビックリしましたよぉー」

「グラウディ様に知られてはまずいことなら、手伝おうか?」

「本当ですかぁ? 助かりますー。では、あっしが落としたラウディ様のペンダントを探していただけますかぁ?」


 モグは嬉しそうにちょこちょこ俺の周りを動き回ってるんだけど、その姿はちょっと可愛いかもしれない。

 グラウディのペンダント……確か大事にしてる物じゃなかったか?

 彼を攻略するのには必須イベントだったはずだ。

 攻略するつもりはなくても金貨は欲しいし、モグを手伝うことにした。


 +++


 暫くの間しゃがんでモグとペンダントを探していたけど、意外と見つからない。

 ゲームだと一瞬だったってのに、実際やると面倒なもんだな。

 草をかき分け続けて日が落ちてきた頃――漸くキラリと光るものを見つけることができた。


「モグ、コレか?」

「ハルさん! あぁ、そうですぅ! コレですよぉー」


 草むらの影から拾い上げたのは、(にび)色のシンプルなペンダントだ。

 開けると写真が入っているヤツだった気がする。

 喜んでいるモグに手渡すと、急に景色が暗くなった。

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