表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢】変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました【本編完結】  作者: あざらし かえで
番外編(※ネタバレ含みます)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/118

お楽しみの時間 1 <バレンタイン小話>

 最近はラウディの家で過ごすことが多いんだけど、今日はおやつの話になった。

 お菓子作りが得意なのはやっぱりイアリスらしいけど、ラウディも意外と得意だとモグから聞いていた。

 黙々と作業するのは得意らしい。


「料理担当のバードと共に作業されるウィン様もお料理は得意とおっしゃってましたけど、お菓子はやはりイアリス様だそうですよぉ。お二人がお話されているのを聞いたので間違いないです!」

「そうなんだ。それでどうしてラウディがやる気を出した顔をしているのか知りたいんだけど……」


 ラウディはさっきから俺の手を握りながらじっと俺を見つめてくる。

 一体何のつもりなのか、すごく気になる。


「ハルの住んでたところでは、大好きな人にチョコを送るって聞いた。だから僕から送りたい」

「誰がラウディにそんなことを……って。まさかハルミリオン?」


 ハルミリオンが本当の妹のリムキヨリアに会いに行くときがあるんだけど、俺は自分の本当の妹の哩夢(りむ)に会いに行っていた。

 その時にハルミリオンがチョコレートを渡したとか? だとすると……入れ知恵したのは家の哩夢に間違いない。

 ハルミリオンなら間違いなく妹へ渡すだろうしな。

 

 俺が現実世界へ戻っているときは、代わりにハルミリオンがエーテルヴェールへ来ていることが多い。

 ラウディにもきちんと知らせているから、ハルミリオンもラウディへ挨拶したのかもしれないな。


「嬉しいけど、ラウディがチョコを作ってくれた……とか?」


 俺がラウディに尋ねると、ラウディは頷く。モグももちろん! と胸を張って答えてくれた。

 そして、モグがタタタっと走っていって一つの箱を持って優しくラウディへ手渡した。


「ハル、大好き」


 俺だけを映している灰緑色の瞳に見つめられながら、甘く優しく伝えられる。

 好きだと何度も言われているけど、こうして改めて言われるとすごく恥ずかしい。

 

「……俺、手作りチョコをもらうのは初めてだ。ありがとう、ラウディ」


 気恥ずかしさをごまかすのに精いっぱいで、大したことも言えなかった。

 俺は慌てながら視線をもらった箱へ落とす。

 

 ラウディの灰緑の髪色と同じ落ち着いた色合いのハートの箱に、緑のリボンが巻かれている。

 これ、ラッピングもラウディがしたんだよな?

 俺はそっと包みを開けてみると、中には丸いチョコがいくつか入っていた。


「食べてみていいかな?」


 ラウディは柔らかに微笑みながら頷いてくれる。

 ころんとした丸みでちょうど食べやすそうだ。

 俺はありがたくいただくと、中からじゅわりと飛び出してくる。


「ん……?」

「中にラブランを入れてみた」


 ラブランってなんだ? とろんとした液体は、味わっているうちに香りが鼻へ抜けていく。

 俺は無意識のうちにチョコへ手を伸ばしていた。

 そして、もう一度味わう。


「これ、うまい……」

「ラウディ様、良かったですね! ハルさんとても気に入ってくださったみたいですよ?」


 モグとラウディは二人で喜んでくれているみたいだ。

 俺も幸せな気持ちでいっぱいになってくる。


「やっぱり仲良しな二人がいいな。ん……いい」

「あれ、ハルさん? 食べてくださるのは嬉しいんですけど……勢いが?」

「モグ、もしかしてハル……」


 モグとラウディが俺の方を見て、何か声をかけてくれている。

 けど、俺は今もっとチョコが食べたい気分だ。

 もう一つ食べようと手を伸ばしたのに、ラウディに手を握られて阻止されてしまった。


「え、もう一つ……」

「ハル、食べすぎはダメ。ハル、大丈夫?」


 ラウディが心配そうに俺のことを見ているのが分かる。

 分かるんだけど……夢の中にいるみたいにふわふわした不思議な感覚だ。


「大丈夫。ラウディの手はひんやりしていて気持ちいい……」


 大好きな手に擦り寄ると優しく頬を撫でてくれる。

 モグもあわあわしながら心配そうに額を触ってくれてるけど、なんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ