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異世界から来た美少女と自宅でまったりダンジョン運営する話  作者: 猫野 ジム


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第50話 開花

 エリンとアナスタシアさんのお父さんであるエバースさん。実はそのエバースさんも、突然見知らぬ場所へと転移をしたことがあるらしい。


「そうなんですか! 今のエリンさんと同じ体験をされたんですね」


「その話、私も初めて聞きました!」


 俺とエリンがそろって驚きの声を出す。でもアナスタシアさんは初耳というわけじゃなさそうだ。


「アナスタシアさんはそのこと知っていたんですか?」


「いや、私も最近になって初めて知ったんだ」


「実は私はエリンの様子についてアナスタシアから逐一報告をうけていたんだよ」


 俺達が質問することを見越してか、エバースさんは落ち着いた口調で経緯を話し始めた。

 俺に対する敬語はやめてもらった。なんだか俺のほうが落ち着かなかったから。


「まさかエリンが異世界(にほん)に行っているだなんて、さすがの私も想定外だった。それと同時に驚いたよ。まるで過去に私が体験したことのようにそっくりだったのだから」


「エバースさんはどんな世界に転移してしまったのですか?」


 俺はエバースさんにそんな質問をしてみた。しかし返事はない。かと思ったけど、少し間を空けてエバースさんは話し始めてくれた。


「ああ……まあそれはどうでもいいじゃないか。今はエリンのことだけを考えよう」


 エバースさんは遠い目をしている。俺はどうやら地雷を踏んでしまったらしい。きっと思い出したくもないのだろう。

 ラノベみたいに楽しい異世界ばかりじゃないということか。クソ女神がいたりしたら最悪だろうな……。


 エバースさんは咳払いをして仕切り直し、続きを話す。


「アナスタシアから事情を聞いた私は、すぐにエリンが帰るための方法を調べ始めた。リーンベル家から調査隊を派遣し、私自身は国立図書館に行って関係ありそうな本をとにかく読んだ。そんな中、リーンベル家が交流戦で好成績をおさめたのはタイミングが良かった。国王陛下から城の書庫に入る許可をいただけたのだから」


「ということはアナスタシアさん、交流戦のあとはエバースさんと一緒に行動していたんですね」


「そうだ。考えることは親子で同じということだな」


 二人ともエリンのために一生懸命だったんだろう。リーンベル家、本当にいい家族だな。

 そんなことを考えるくらいに、俺はいつの間にかエバースさんに対する不信感が無くなっていることに気が付いた。


「今そちらにいらっしゃるということは、エバースさんは元の世界に帰って来ることができたということですよね?」


「そういうことになる。本当に苦労したよ……」


 また遠い目をするエバースさん。普通の質問をしてるだけなのに……。ああー違うか。エバースさんがそこにいる時点で帰って来られたってことなんだから、さっきの質問は無意味だった。つまり俺が悪い。


 エバースさんはまたも咳払いをして、話を続ける。


「いろいろ調べた結果や私の経験則によると、やはりエリンが転移のマスタースキルを自由に使えるようになることが、この世界に帰る一番の近道なんだよ」


「ということは私が頑張ればいいということですねっ!」


 エリンの声が大きくなる。どうやら気合いを入れたようだ。


「えっと、具体的にはどうすればいいんでしょうか? 俺にできることなら何でもお手伝いしますよ」


「いや、エリンに衣食住を提供してくれているだけで十分に助けられているよ。だからあとはエリン一人の問題なんだ」


「それがそうもいかなくてですね、俺はエリンが帰れるよう協力すると決めているんです」


「気持ちはありがたいが、どうしてそこまでしてくれるんだね?」


「短い期間だけど一緒に暮らしてきたんです。俺が仕事に行く時は『いってらっしゃい』と見送ってくれて、帰って来た時は『おかえりなさい』と出迎えてくれる。ずっと一人暮らしだった俺にとって、それはまるで家族ができたようでした」


 そんなセリフを言ったはいいものの、なんだか恥ずかしくなって「あ、家族といっても変な意味じゃないですよ」と、慌てて付け足した。


「そうか、ありがとう。エリンは本当にいい人に出会えたようだ」


「はいっ! マスターには本当に感謝してます!」


「マスター、か。ダンジョンマスターからマスターと呼ばれるなんて、ミカゲ君は面白いね。まずはとりあえず私に任せてもらえないか」


「分かりました、お願いします」


「それじゃエリン、今から私が転移のやり方を教えるから、その通りにやってみなさい」


「はいっ!」


「いい返事だ。まず始めに頭の中で転移先を思い浮かべて——」


 こうしてエリンはお父さんから転移のやり方を教わった。それからエリンは毎日何時間も練習をした。

 そんな中でも食事の用意をはじめとした家事もやってくれる。


 さすがに俺が自分でやるからと言ったけど、「私、家事が好きなんです!」と楽しそうに言うものだから、エリンが思うままにしてもらうことにした。


 そして一週間が経ち、エリンはついに転移のマスタースキルを開花させた。

 あとはアナスタシアさんに報告をして、エバースさんを連れて来てもらうだけだ。

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