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異世界から来た美少女と自宅でまったりダンジョン運営する話  作者: 猫野 ジム


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第46話 帰って来ると

「エリンがこちらの世界に帰る方法が見つかり次第、エリンを改めてリーンベル家に迎え入れるつもりだ」


 アナスタシアさんとの通信を終え、部屋の中には俺とエリンの二人きりの空間が広がる。


「エリン、よかったな! あとは元の世界に帰るのを待つだけになったじゃないか」


「はい、そう……ですね」


「どうした? 何か心配事でもあるのか?」


「いえっ……! そういうわけじゃないんです。ただなんというか、帰りたいけど帰りたくないと言いますか……。もう、私何言ってるんだろう」


 エリンが困った表情をする。エリンが言いたいこと、今の俺にはそれが分かる。

 なぜならきっと俺と同じことを考えているだろうから。


 期間にすれば一ヶ月にも満たないかもしれない。ただ毎日一緒に過ごしたことは事実で、俺にとっては毎日が本当に楽しかったんだ。



 翌朝。俺は今日も仕事だ。先に起きていたエリンが作った朝食を二人でとる。


「ふぁ……」


「どうした? 今日はやけに眠そうじゃないか」


「えっ? そ、そうですか? 私はいつも眠そうにしてるじゃないですかー」


「自分からそんなこと言う人初めて見た」


「そっ、それよりも! マスター、今日のお昼ご飯はどうするつもりですか?」


「んー、まあいつも通りコンビニでパンでも買おうかな」


「それなら、これを持って行きませんか?」


 そう言ってエリンが取り出したのは、黒のランチボックス。大昔の俺が何を血迷ったのか、毎日自分で弁当を作るつもりで買った物だ。頑張って一日だけ作った記憶がある。


「もしかして俺の弁当?」


「はい、ちょっと作ってみたくなっちゃって」


「まさかこれを作るために早起きした?」


「えっ……? さ、さあ? そういえば私、夢の中でお弁当を作ったかも? だからもし私が作ったとしても私は早起きせず寝ていましたから、マスターは何も気にしなくていいんですよ?」


 エリンはそう言って、プスーと鳴らない口笛を吹いている。


(ウソがヘタすぎるし言い訳がよく分からん)


 エリンのことだ、正直に言えば俺が後ろめたい気持ちになると考えたのだろう。


「えーっと、つまりエリンの睡眠時間が削られたわけじゃないから、気にしなくていいってことで合ってる?」


「そうです、それですっ!」


 エリンが隠そうとしているんだから、ここは素直に厚意を受け取るべきだな。


「ありがとう。これで昼休みが楽しみになるよ」


「ホントですか!? それなら明日からも早起きしちゃおうかな?」


「あれ? さっきは早起きなんてしてないって言ってなかったか?」


「えっ……!? そ、そうですよ? 私は早起きなんてしませんからね」


「そんな主張する人も珍しいと思うけどな。でももし俺と同じような時間に起きたとしたら、弁当を作る時間なんて無いよな」


「そうなんですよね。だから今日、私はマスターより二時間早く起きたんですよ」


「早起きしてるじゃないか」


「えっ……? いや、それはたまたま目が覚めただけで、特にお弁当を作ったりはしていませんよ」


「それなら誰がこの弁当を作ってくれたんだ?」


「えっと……、あのその……そっ、それは私が夢の中で作りましたっ!」


 どんな理屈も吹き飛ばす、とんでもない結論が出た。あたふたするエリンが可愛くて、つい意地悪になってしまった。


「例え夢の中だとしても、エリンが作ってくれたことに変わりはないんだから、俺は嬉しいよ」


「マスター……! 私、明日からも頑張って早起きしてお弁当を作りますね!」


 結局早起きして作ったこと認めてるし。多分エリンの一言ひとことは、その時のエリンが思ったことを素直に言葉にしてるだけなんだろうな。だからそこには偽りなんてない。


「いってきます」


「いってらっしゃい!」



 それからさらに一週間が経った。俺は毎日エリンが作った弁当を持って行くことに、すっかり慣れていた。


 そして22時に仕事から帰ると、エリンが画面越しにアナスタシアさんと話しをしていた。


「おかえりなさいマスター」


「ただいま。何の話をしていたんだ?」


「もしかしたら私、元の世界に帰れるかもしれません」

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