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異世界から来た美少女と自宅でまったりダンジョン運営する話  作者: 猫野 ジム


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第21話 おっさんキャラ、真っ二つにする

 ボス部屋へと続く道の途中の少しひらけた場所。そこから剣と剣がぶつかり合うような音が聞こえてきた。急いで音のするほうへ行くと、若い男が目の前に剣先を突きつけられている最中だった。


『どうした? もう終わりか?』


 まるで挑発するかのようにそんなセリフを吐いたのは、剣先を突きつけている男。見た目は30代前半くらいだろうか? 


 厚手の服の上には肩当てや胸当てがあり、身軽さと防御力のちょうど中間あたりをとったような格好。でもそれらにはいくつもの傷や破れがあり、戦いの中に身を投じてきたであろうことが垣間見える。


『あっ、あなた、ほ、本当に……Fランクなんですか……? とっ、とてもそうは思えません』


 その一方、剣先を突きつけられているのは若い男。こちらも厚手の服を着ているものの、防具らしい防具は見当たらない。ダンジョン探索するには向いていなさそうな格好をしている。いかにも初心者って感じだな。そして汚れひとつ見当たらない。


『だからFランクだっつってんだろ! そんなことよりもう少し剣の稽古に付き合ってくれよ。冒険者になりたての者同士、仲良くしようじゃないか』


 こいつの考えが読めたぞ。同じくFランクだと偽って剣の稽古に付き合ってほしいと頼み込む。気のいい人ならそれを引き受けるだろう。

『死なない』という人工ダンジョンの特徴もそれに一役買っているのかもしれない。


 それで相手の同意を得てから、稽古という名目でボコボコにする。もし問題になって何か追及されても稽古だったと言い張る。おまけに相手も同意の上だったという言い訳もできる。こんなところか。



『え、Fランクの強さとは思えません。ここは初心者ダンジョンなのに……』


『だからなんだってんだ? Fランクじゃなかったら来ちゃいけないとでも言いてえのか?』


『ぼっ、僕は別にそんなこと……。剣を下ろして……』


 あーあー、完全に怯えてるじゃないか。きっと全く歯が立たなかったのだろうな。無理もない。目の前に剣先を突きつけられたら、誰だって震え上がってもおかしくない。むしろよく声が出せてると思う。


(さすがに見てられん)


「マスター!」


 それはどうやらエリンも同じだったようで、俺のほうを見て「助けてあげて!」と目で訴えかけてきている。


 俺はコントローラーを操作して、二人の間に割って入り、剣を払いのける。そして若い冒険者を守るかのように初心者狩りのほうを向いた。


『あぁん? なんだオッサン! ……いや、すまねえ、あんた誰?』


 あ、言い直した。反射的にオッサン呼ばわりしたものの、俺の風貌を見てビビったな、こいつ。そりゃあ身長190センチのスキンヘッドが大斧を担いでたらビビるよな。


「そこまでだ! 初心者狩り!」


 一度言ってみたかったんだよなー、「そこまでだ!」ってセリフ。颯爽と登場したヒーローみたいじゃないか。


『おい! なんとか言えよ!』


 うるさいなぁ。なんとか言ってるじゃないか。


『あの……あなたは? もしかして僕を助けてくれるんですか?』


「ああ、そのつもりで来たんだ」


『……えっと、聞こえてませんか? 僕の声が小さいのかな』


「大丈夫だ、ちゃんと聞こえてるから」


『なんだこのオッサン。生きてんのか?』


 おかしいな、会話が成り立ってないような気がする。


「エリン、もしかして俺の声はこの二人に届いてなかったりする?」


「そうですね、スピーカー機能がオフになってますから、届いてないと思います」


 ()っず。俺一人で喋ってたわ。どうりで会話になってなかったわけだ。


「そこまでだ! 初心者狩り!」


 エリンにスピーカーをオンにしてもらい、俺は同じセリフを口にした。


「おいおい邪魔しないでくれよ。俺達はただ剣の稽古をしてただけだ。ここは人工ダンジョンなんだから『死なない』だろ? だから全力で叩き潰せるんだ」


「叩き潰せるって言ってる時点で怪しいだろ。そのくらい気付けよ」


「ごちゃごちゃうるせえな、じゃああんたが相手してくれよ!」


 男はそう言うと剣を構え直し、攻撃のモーションに入った。だが俺はすかさず男の剣を弾き飛ばすべく、斧を振り回す。


 すると男が持っている剣は、いとも簡単に真っ二つになったのだった。

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