呪い
例え上手くいかなくても下を向いてはならない。腐ったらそこで終わりなのだ。泥船が水で溢れてきてもなんとかやっていくしかない。配られたカードで勝負するのだ。それとも、それ以外に何か他にできることがあるだろうか。腐っても鯛。探すのはあくまでも袋の中身。ありもしない袋の外を持ち出してはならないのだ。二つの翼を羽ばたかせて乾いた大地を飛び去ったとしても、いつかは地に足つけて休むことになるだろう。何も変わっちゃいないのだ。枯れた枝の先端以外は。
男は悲嘆していた。やることなすこと失敗続き。何をするにしても自信が持てずにいた。呪いで今後を占ってみることにした。当然悲惨な結果が出ると思いきや、何とも言えない結果であった。何をするにしても、良くもなく悪くもないでしょうとあった。彼は結果を不審に思い、もう一度占ってみることにした。すると、今度はとても良い結果となった。彼は信じられない気持ちになった。うれしいとも不安ともつかない複雑な感情を抱いた。もしこれが本当ならどんなにいいことか。しかし、これが外れていたら私は二度と立ち直れないだろう。そう思い、彼は三度占ってみた。すると、今度はとても悪い結果となった。彼は安心したように結果を確認すると、これで良かったのだと思った。
呪いとは指針であり、スタイルであり、規範である。結果を顧みない者は、道を踏み外すだろう。しかし、結果を見たとてそうは違わないだろう。踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損損。沈む泥船に乗ってとりあえず、あの島に向かうより他にない。大地にくびきを。