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5話 魔眼のスキル発動「服をビリビリにする」

 数日後。


「ヘイアストイン女史、今日はどうだ?」

「変わりありません、団長」


 団長から毎日体調のチェックが入る。ステータス画面は変わらず、他体調不良なしだ。


『全体バランス10! おめでとうございます!』


 相変わらず団長の筋肉は完璧だ。

 最高! 想像だけで満腹になれる! 幸せ!


「ふむ。ヘイアストイン女史、ここ最近騎士の服の補修が多いと聞いたが」

「はい、増加してます。軽微なものばかりなので買い換えの必要はないかと思います」

「仕入れ元の業者に確認しただろうか?」

「確認しましたが問題はありませんでした。材料や作り手等に変わりはなく、品質も維持されてます」


 奇怪な事件として捉え始めている。騎士たちの間でも話題にでるらしい。繕いの仕事が増えても業務に支障がないからいいけど、謎の体調不良の件もあるから皆神経質になっている。


「……外部的な要因も考えないといけないな。ヤニスさん、過去似たような事件はあっただろうか?」

「いいえ」

「ヤルヴィネンさんはどうだろうか?」

「私も聞いたことありませんな」


 キルカス王国初なのだろうか。


「まるで魔法みたいですなあ」


 と、ヤニスさんが笑う。冗談半分ぽい言葉に団長が真面目にとって考えていた。


「魔法だと我が国で解析できる人間は皆無だな……となると他国の有識者に申し出を……」


 私は当たり障りない愛想笑いをしつつ内心焦っていた。

 数日、服が破ける現場を何度も見ている。そう、私がいる場所で起こる事件なのだ。


「なのだ、なんて言ってる場合じゃない」

「ヘイアストイン女史、何か言ったか?」

「い、いいえ!」


 一抹の不安。

 変な能力を手にした手前ありえなくはない。

 けどこの話を相談するにはステータス画面から話をしないといけない。そもそもこの眼は相談して解消するのだろうか? そこからだ。


「何者かが魔法を使っている場合、事態の悪化も考えられる。魔法を使う人物を捕らえることも考えないといけないな」

「城内捜索を行いますか?」

「近い内に」

「ではその前に過去の事例をみてみましょうか」

「あ、私も行きます!」


 ヤニスさんにヤルヴィネンさんが立ち上がる。過去に同じようなことがあれば、この眼のことも解決するかもしれない。

 カルフさん、ティアッカさんも立ち上がり、事務員全員でやることになった。団長は騎士団に顔を出すといって別れる。


「……魔法かあ」


 書庫の整理も兼ねる。けど服が破れるなんて事件はない。


「そういえば」


 窓ガラスにうつる自分を見てステータス画面がでるか試してみた。


『全体バランス5! 女性平均値超えです』


 見えた。

 こっそり筋トレしてるかいがあってそこそこ成績がいい。腹直筋6で嬉しくて口元が緩んだ。

 と、逆さの三角マークが出ていて目線を合わせる。文字が下にスクロールした。


『服を破くスキルが6にレベルアップ! 全て破けるようになりました』

「待て待て待て」

「ヘイアストインさん、どうかしたかい?」

「あ、いえ! 独り言です!」


 見てはいけないものを見てしまった。

 破くってなに。

 全部破けるようにって?

 え、まさかうそでしょ。


「そんなわけない」


 頭を振って書類探しに戻る。

 私の能力は筋肉のステータス画面が見えること。それ以外はないはずだ。

 無心で書類を整理して探し尽くすこと一時間、だいぶ書庫内はきれいになった。


「処分してもいい書類は私が持っていきましょう」

「あ、僕もいきます」

「ではここの片付けは私も。ティアッカさん、一緒にお願いできますか?」

「……はい」

「ヘイアストインさんは先に戻ってこれを団長に渡してください」

「はい」


 お茶用意してますねと残して書庫を去る。結局それらしいものは見つからず、ヒントにもならないような事例を念のため持ってきた。


「戻りました」


 事務室には団長が戻っていて執務机で書類にサインをしている。


『全体バランス10! おめでとうございます!』


 相変わらず団長の筋肉は素晴らしい。

 嫌なことを忘れられる。それぐらいいい筋肉。

 ああ、たまらない!


「書庫での事例探しは終わったのか?」

「はい。あまり収穫はありませんでしたが、ヒントになればといくらか持ってきました」

「ふむ、確認しよう」


『外腹斜筋9、内腹斜筋9、腹膜筋8.5』

「ふあああ」

「ヘイアストイン女史?」

「す、すみません! なんでもないです!」


 ステータス画面め!

 レベル高すぎて辛い。見たくなるじゃない。ここ数日、団長を超える筋肉はなかった。

 最高の出来! もはや芸術!


「?」


 パアアァン!!


「!」

「?!」


 むずっとした小さな前振りの後、団長の服が四散した。ビリビリに破れ、細かい布切れがひらひら舞う。薄手のシャツ一枚だったから、破れてしまうと団長の筋肉が全て顕わになった。


「……わ」


 わあああなんて美しい大胸筋!

 三角筋から上腕三頭筋のラインの美しさ!

 舌骨下筋と胸鎖乳突筋がこんなに綺麗に見えるなんて!

 大胸筋なんて今にも動きそう!

 力を入れて筋肉盛り上げてくれないかな!

 むしろ触りたいい!!


「……」

「……」


 いけない、ヨダレが。

 て、ちがうちがう。待って待って。これって、その、つまり?


「……え?」

「……あ、うわ……」


 団長の背後、窓ガラスに自分がうつる。ぴょこんとステータス画面が出た。


『服を破くスキルが7にあがりました!』

 

 やっぱり私が原因ぽいー!!

たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。

やっとラッキースケベがでてきましたね!好き!(ラッキースケベとは偶発的に起きたエッチな状況の事)ヒロインの思考がド変態すぎて気持ち悪いところもたまりません(笑)。

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