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27話 今までミナの一番は私だったのに

「ああ、なんて美しい筋肉っ!」

「ん?」


 だめこれすごすぎ。


「ヘイアストイン女史」

「団長すごいです! 内の内に筋肉が密集しているのでこのように細い! のに! 常人の誰よりも筋肉がある! 内包された筋肉のしなやかなこと! すごいです!」

「ヘイアストイン女史」

「はああん……見たいです……こんな筋肉の方見たことない……」


 見た目は本当にどこにでもいる女性の身体なの? 実は脱ぐとすごいんですな筋肉の持ち主でも最高だわ。もちろん脱いだら筋肉のない柔らかい令嬢の身体でも内包筋肉とのギャップがあっていい。レベルマックスなのに腹筋割れてないかもしれない。それってすごくない? 筋肉の盛り上がりすらもないのに内包筋肉の力がどう動くか仕組みも気になる。内包筋肉が強すぎると表側の筋肉は耐えられず壊れそうだけど、うまく扱う術があるはずだ。はあああ罪深い人。彼女の筋肉だけでこんなに思いを馳せられるなんて規格外だわ。

 と、なぜだろうか、彼女の護衛騎士と思しき方が私の目の前に立った。


『特殊ケースです。内包筋肉が規定値を超えています』

「護衛の方も良い筋肉!」


 うそでしょ! 護衛騎士の方まで! ドゥエツ王国は特殊筋肉が集まる国なの?!

 しかも護衛騎士は普段鍛えているからか見える部分の筋肉のレベルも8で出た。

 待って、彼女が表側の筋肉を鍛えてなくても100なのに、彼のように表側の筋肉を鍛えてたらどうなるの?


「同じ内包するタイプなのに、鍛えていらっしゃるから表にもきちんと筋肉がっ! え? これだと内包筋肉と合わせた倍の力が出せるのでしょうか?! あ、でも強さは」

「ヘイアストイン女史!」


 オレンが目の前に現れた。


「お二方はドゥエツ王国の要人だ!」

「ということは……外交特使のループト公爵令嬢?!」


 オレンという壁がある中、隙間を探して特殊ケースな筋肉を見る。

 やっぱりどうなってるのか服の下を見てみたい。


「控えなさい!」

「はいっ! 服の上からで我慢します!」


 我慢なんてできるような感じじゃなかったけど、オレンの鉄壁ガードに阻まれた。

 このステータスを見ただけでも幸せ者よね。

 けど特殊というからには数は少ないはずだ。ドゥエツ王国の人間にしか出ないとか? 条件があるとか? 今まで読んできた筋肉に関する文献で載っていた記憶はない。言及されてそうな文献は心当たりがあるけど……調べてみるのもありかも。



* * *



 少し気になって内包筋肉を持ち得る条件を調べた翌日早く、南端ラヤラ遠征に再び参加した。


「これが内包筋肉100の特殊ケースの力……」


 ループト公爵令嬢とその護衛騎士を連れての遠征だ。私は名目、ループト公爵令嬢のお相手件お世話係的なポジションらしい。彼女には既に専属侍女いるようだから大丈夫だと思うけど、魔眼対策でもあるから、仕方なくお相手兼お世話係で貫くようだ。ちなみに連れてる侍女さんは特殊ケースじゃないけど、男性騎士ばりに筋肉育ってた。

 ドゥエツ王国、好き。


「ここから西に進む。タピオ、捕虜を」

「はい」


 人が空から降ってくる。文字通り。

 南端ラヤラ領の海岸線でソレペナ王国の騎士団が現れた。キルカス王国からの宣戦布告書の真偽を確かめにだ。それは偽物で魔法の罠が仕込まれていた。ループト公爵令嬢と護衛騎士が魔法を受けて転移、その場所がどこかを彼女が教えてくれる手段が人が空から降ってくる、だ。


「人が飛んでくる……骨折してない……」


 ループト公爵令嬢が身体強化魔法を使って敵をやっつけて私たちの元へ飛ばしてくるのに、敵には落下による外傷はない。精々彼女に殴られた痕跡があるぐらいだ。


「きっといい筋肉で戦っているんだろうなあ」


 強すぎる内包筋肉に表側が耐えられないだろう問題は、身体強化魔法をかけることで解決しているのかな? 内包筋肉の力を抑えて表側にちょうどいい状態で出す、とか。考えるだけで胸が踊る。

 俄然生で見たい。


「妬けるな」

「え?」


 しまりのない顔をしているとゆるく笑われた。

 特殊ケースな筋肉を考えてたらゆるみもする。


「今までミナの一番は私だったのに、ループト公爵令嬢とリーデンスカップ伯爵令息に奪われた気分だ」

「そんな……お二人は特殊ケースですし、通常判定なら団長が一番ですよ!」

「私の前でだってあんなに取り乱さなかったじゃないか」

「初めて特殊ケースを見たので」


 いくら他の人と離れているからといって戦争手前の状況で筋肉の話をするものじゃないかな? 筋肉のことだから仕方ない、かな?

 特殊ケースがいけないのよ。罪深いわ、特殊ケース。


「武人と呼ばれるだけある方ですね」


 筋肉的な意味で。


「だが他国の要人を危険に晒してしまったことは重大案件だ。夜通しで向かう」

「はい」

「ミナは一番近い町で待機するように」


 ループト公爵令嬢の筋肉の動き、もとい、戦いぶりを見たいから同行したいと行ったら不謹慎かな? でももう賊は掃討してそう。

たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。

誰かツッコミを用意してほしい。筋肉のことを考えて顔が緩むのは仕方のない現象なのか…ミナの視点で見ると前作ヒロインのディーナがどれだけすごい人物か分かるかなと思って描いたのですが、思いのほか筋肉しかほめたたえてない状態になりました(笑)。

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