俺の遺品…… それは通信器機会社の機動兵器!!
「やっと着いたか?」
「マチロのが毎日使ってる通路…… ただ歩いただけですよ? 本当にごしゅじんさまはザコザコになったんですね」
「くっ、バグな上に、はぁ…… ステが初期なんで、はぁ…… 言い返せない……」
息も絶え絶えに、ようやくたどり着いた地下通路の扉前。
「さあ、ごしゅじんさま。急いで回収しましょう」
息を整える俺を見ながらマチロは、俺達の拠点の地下施設への扉を開けた。
「大変です! ごしゅじんさまのおんぼろが在りません!」
「うん? アレか? アレはなぁ…… 前の俺と一緒に逝った……」
マチロが指さした空のガレージには、俺の最初の機体が置いて在ったのだが……
「たまに乗らないと…… 動かなくなるからな」
マチロを爺さんの工場に向かわせた俺は、久し振りに初期配備機体のオンボロに乗って…… その先でクソガキの連中に殺された。
「ごしゅじんさま…… それは自殺行為です」
マチロがジト目で見てくる…… 俺の最初の機体は、施設のエントリーシステムの最早初期設定に無く、この世界でも生産されてない骨董品扱いだった。
「次壊したら、終わりじゃからな?」
「そん時は、爺さんにパーツを自作してもらうさ」
「何処まで儂をこき使う気だ!」
「もちろん、俺か爺さんが死ぬまでだ」
パーツの生産が終了した時に、そう言って爺さんと笑い合ったのを覚えている。
「前の俺の身体と一緒に…… 一足先に爺さんの処に逝っちまったか……」
「ごしゅじんさま…… 今は急がないと!」
「そうだな! とりあえず必要な物をコンテナに詰め込め!」
「はい!」
とりあえず俺とマチロは、爺さんの工場と荷物のやり取りをしていた秘密の地下通路のトロッココンテナに…… 地下拠点の荷物を詰め込め始めた。
「地下への出入りには、認証が必要だが…… クソガキ連中かハイエナ連中が来たらヤバイから、急ぐぞ!」
「は、はい!」
「俺の装備品は…… くっ、防具はサイズ的に着れんな…… 着れても上着くらいか……」
装備品のロッカーから上着だけをコンテナに放り込んで、武器の棚に急ぐ。
「この身体で…… 使える武器は……」
「ごしゅじんさま~。まだですか? 急がないとヤバイのですよ!」
「マチロ~、俺の武器なんだが……「今のごしゅじんさまは超ザコなんで、最弱武器しか装備できないんじゃないですか?」えっ!? マジ……」
とりあえず目の前に在るナイフを持つと……
「嘘だろ……」
ナイフが重く、持ち上がらなかった。
「ごしゅじんさま…… ここにあるのは、ごしゅじんさまの〝まえのからだ〟の物なのです」
「あっ……」
そうだ…… この施設武器は、成人男性用に作られた武器がほとんどで……
「つまり…… 初期バグの貧弱アバターが持てるのは…… 初期武器くらいだと?」
「そうですよ。今のごしゅじんさまは…… 超かわのザコザコのザコなんですから」
「ひどくないか?」
「そんな事よりも適当に詰め込んて、はやくお爺ちゃんの工場に送りましょう」
「う~、わかったよ」
俺は適当に初期装備の武器を身に付ける間に、マチロが俺の愛用だった装備品が無造作に箱詰めされていく……
「これでよし…… です?」
「ああ…… 送ってくれ……」
結局、俺が装備できたのは…… ネタ装備のスタンガン機能が付いた指空きグローブとレクガードに小型のショックガン×2……
「それと…… 伸び縮みする電磁警棒…… 全部、弱電圧……」
「さ、さあ、ごしゅじんさま! 後は、アレだけですよ!」
「アレか……」
マチロが指さしたのは…… 最近の俺とマチロの愛機だった。
「後は、このこで脱出するだけで!?」
突然激しく地下施設が揺れた。
「ちぃ! きやがった…… マチロ! 乗り込め!」
「は、はい!」
何時もの様に愛機に乗り込むも……
「う~ん!!」
「ごしゅじんさま…… どうしました?」
「操作レバーが…… 動かない!?」
「え~!?」
成人男性だった俺のアバターに合わせたコックピットは…… 今の俺にはサイズが合わず、踏ん張りが効かないので操作レバーやペダルが動かなかった。
「ちょっと!? ごしゅじんさま! 急がないと…… 埋まっちゃう!?」
「この~!!!」
どうにか動かそうと踏ん張るが…… レバーもを引っ張るとペダルが…… ペダルを踏むとレバーに届かずに、全くと動かない!?
「ああもう! ごしゅじんさま、じっとして居てください!!!」
「へっ? ちょっ!?」
マチロが横の緊急ボタンのアクリル?を叩き割る!
「きんきゅうそうさそうちきどうです!」
「緊急!? そんなの何時の間に…… って、ちょっと…… マチロちゃん、何を?」
「ガレージの出口が歪んで開かないので……」
「ので?」
「ぶち破ります!」
「ちょっ!?」
ドッガーン!!!
・
・
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「うひぃぃぃぃ!!!」
クナンとマチロが地下施設で愛機に乗り込んだ頃……
「ちきしょー! 此処の情報教えたんだから、分け前寄越しやがれ!!!」
逃げ遅れたつるはしを担いだ傭兵が叫ぶ…… その横をオクとその仲間、ハイエナ連中が放つ流れ弾が通り過ぎる。
「ヒャア!? クソ……〝余所者〟供め…… な、なんだ? 地震…… ぎゃあぁぁぁぁあ!?」
突然の地下からの衝撃に、傭兵ごと地面が吹き飛ぶ!
「な!?」
「あの野郎…… 生きてやがるのか?」
土煙を上げて地下施設から現れたのは……
「さあ、ごしゅじんさま…… 反撃の始まりですよ」
5メートルくらいの2本の足で立つ…… 人型ロボット兵器だった。