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そして、始まるのは…… 俺の遺品争奪戦!?


「こんな事になるなら…… 爺さんの事も聞いておけば良かった……」


「ごしゅじんさま…… この後は、どうしますか?」


「どうするって、とりあえず拠点に…… 戻って…… って、ヤバイな」


あのクソガキの奴等の狙いが…… マチロなら…… 今頃俺の拠点は……


ドッゴーン!!! 少し離れた場所から煙が上がる……


「始めやがった…… 一応、街中なんだが……」


街中の爺さんの工場から、俺の拠点が吹っ飛ばされたのを見ていた。


 ・

 ・

 ・


「何事だ!?」


「ほ、砲撃です! 街外れにある家が吹き飛ばされました!」


「街の外れだと? マチロちゃんの家か!? マチロちゃんは? マチロちゃんは無事か!?」


「ちきしょー…… だから俺は反対したんだ!」


「今さら言うな! あの方がお決めになって、我等はそれに従った…… それが全てだろう?」


「そうだ…… あの方の判断は正しかった。正し過ぎる程に……」


街に迫る物の報告を受けて…… 街長が今は亡き爺さんの姿を思う。


「傭兵ギルドに防衛要請! 謎の機械騎兵団に襲撃されているとな!」


「は、はい!」


「住民に緊急避難指示を出せ! 機兵団の進行と逆の地下通路を開放しろ! 一人でも多くの住民を避難させるんだ! 急げよ!!」


もしもの時には…… と、指示されていた通りに、街を守る為に行動を開始した。


「今のは誰だ!」


『俺じゃない! 信じて下さい!』


『【オク】のぼっちゃん! 他の機兵が現れやがった!』


『何!? 何処の連中だ!』


『糞が! 舐めた真似しやがるじゃねか~!』


街に襲撃をかけたのは、クナンの前のアバターを殺した連中だけでは無かった。


アバターが死ぬと…… そのアバターの持ち物を狙い、何処からともなく…… ハイエナと呼ばれる連中が現れるのだ。


「チィ…… 今ので、あの兎のメスが死んでたら…… ハイエナ供め、皆殺しにしてやる!」


オクと呼ばれた人物が乗る機体が反転すると、ハイエナ達の先頭を走る機体を撃ち抜いた!


「あの威力…… 俺を撃ったのは、奴だな」


「ごしゅじんさま!ごしゅじんさま! おうち、おうちが~!」


「マチロ、落ち着け。吹っ飛んだのは上だけだ」


俺の様に個別に拠点を持つ連中は…… 死んだら終わりなので、地下シェルターを作るのが常識だった。


「だから、ハイエナ連中も躊躇無く建物を吹っ飛ばしたんだけど…… 問題は、連中がこの街に俺の拠点があると知ってる事だ……(マチロの事もあるから、現実世界(あちら)の連中には拠点のあるこの街を隠していた…… マチロに執着していたクソガキ連中なら、ストーカーされたと説明がつく…… なら、ハイエナ連中は?)どうやら…… この街に俺達の敵が潜んでいた様だな」


「敵? ですか?」


「ああ、街の連中の中に…… 俺の情報をハイエナに流した奴がいるな」


街の外でドンパチ始めたクソガキ連中とハイエナ達から、吹き飛ばされた自分の拠点に目を向けると……


「小悪党が…… さらに欲が出たな。我慢できずに出てきやがった」


「えっ!? あ、あの人!」


爺さんの工場の屋上から見ていると、吹き飛ばされた俺の拠点跡地に向かう人影が見えた。


「あの面は…… 何処かで?」


「街の傭兵ギルドの酔っ払いです!」


「酔っ払い?」


「はい、そう言えば…… おじいちゃんに機械騎兵を直せって、怒鳴っていたのを見ました」


「なるほど…… 俺の機体が狙いか? ご丁寧につるはしを担いでやがる」


「ご、ごしゅじんさま? 見てないで、いかないんですか?」


「いやなあ…… 今の俺…… 最弱だし……」


「そう…… でした。なら、マチロがいきます!」


「いや、行かないでいいよ」


「何でです? ごしゅじんさまとマチロのおうちなのですよ!?」


「マチロ…… お前、どうやって此処に入ったんだ?」


「それは地下の…… あっ!」


俺が仮想世界(こっち)に居ない時に、マチロを爺さんに預けていたのだが……


「どうせ、おめいの機体の整備も俺がしてるんだ。 面倒だから、地下を繋げちまうか?」


と、爺さんの工場と俺の拠点には…… 機体が行き来できる程の秘密通路が繋がれていた。


「この規模の地下通路を秘密にって…… 爺さん、本当に何者なんだ?」


仮想現実だと思っていたから、ゲームの様にプログラムで一瞬なんだと思っていたが……


「このアバターの事や…… いろいろと怪しくなってきやがったな……」


仮想現実世界でクソガキ連中に殺されたと思ったら、廃棄したはずの初期バグアバターで復活…… 今考えると…… アバターの廃棄って、おかしくないか? ゲームの様にプログラムデータなら、消去だと思うんだが……


「ごしゅじんさま?」


「あっ、悪い…… ちょっと考えてた」


「では、どうしますか?」


「とりあえず……」


「とりあえず?」


「俺の遺品を回収だな」


「はい!」


難しい事は後にして……


俺は…… 俺の遺品を取りに、マチロと地下通路に急いだ。



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