9.過去。
書けたので出す_(:3 」∠)_
「…………聞いたよ。リオスさん、って人のこと」
アイロスは掻い摘んで事情を話してくれた。
彼曰く、過去にリオスという先輩騎士がリターシャを守って命を落としたという。詳しくは聞かせてもらえなかったが、それが彼女の心に深い傷を残しているのは確かだった。
ボクはそれを知って、居てもたってもいられなかったのだ。
「そう、ですか」
だけど、リターシャはまだ心を開いてくれていない。
固く心を閉ざしたまま、静かにボクの隣で空を仰いでいた。
「ねぇ、リターシャ? ボクの話をしていいかな」
「貴方の……?」
自身を守って命を落とした恩人。
その人の意思を尊重しようとして、彼女は必要以上に意固地になっている。
だったら――。
「ボクもね、騎士の人に命を救われたことがあるんだ」
ボクが孤児院や、みんなのために戦う根本の話をしよう。
そう考えて、ゆっくりと話し始めた。
◆
――それは、ボクがまだ幼い頃。
孤児院の子供たちは、街の中でも特に迫害を受けていた。
しかし、イジメられているボクのことを庇ってくれた人がいたんだ。名前も知らないその人は、王都から派遣された騎士だと言っていた。
『お兄さんは、どうしてボクを守ってくれたの?』
イジメられるのが当たり前だと思っていたボクには、それが疑問で仕方ない。
だから自然と、そんな問いかけが口をついて出ていた。
すると――。
『理由なんて必要ないんだよ。酷い目に遭っている人を助けるのは貴族も、平民も、そして孤児だったとしても関係ないんだ。みんなが平等で、助け合いで生きているのだから』
彼は優しく微笑んで、そう語ったのだ。
その言葉は、ボクの心にいまだ深く根付いている。
◆
「その方は、まるでリオスさんみたいですね……」
「そうなのかな。でも、その人ならきっと今の状況でも手を取り合うと思う。だって助け合うのに、身分なんて関係ないんだから」
「………………」
付け焼刃のようにも思えた。
それでも、ボクがこの戦いに身を投じる決意は示せたはず。
あとはリターシャが、それを受けてどう決断するか、だけだった。
「でも、もしかしたらリオスさんも同じことを……」
「ん、そのペンダントは?」
すると、そこで彼女はペンダントを取り出す。
「リオスさんの形見です。あの日、アタシに託してくれた大切なもの」
「え……?」
形見のペンダントを大切そうに抱きしめるリターシャ。
でもボクの目に入ってきたのは、どこか見覚えのある家紋だった。
「それってもしかして、これと同じ?」
「え……!?」
ボクは懐から、昨夜のペンダントを取り出す。
そして、彼女のものと比べてみた。
すると――。
「同じ、家紋……?」
ボクは驚き、息を呑む。
それはリターシャも同じで、明らかに動揺している様子だった。しかし、ゆっくりと目を伏せると小さく微笑むのだ。
「これは、もしかしたら何かの縁なのかもしれませんね」
リターシャは、そう口にする。
ボクを見るその眼差しは、どこか温もりが感じられた。
「そろそろ、団長のもとへ行きましょう。対策を練らなければ」
「…………うん、そうだね」
彼女の言葉に、ゆっくりと立ち上がる。
まだ分からないことはある。
でも、それは任務を終えてからでも十分だと思うのだった。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★評価など。
創作の励みとなります。
応援よろしくお願いいたします。
_(:3 」∠)_




