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8.責任。

書けたので出す_(:3 」∠)_









「それで、その巨大ゴレムの対策って何かあるんですか?」




 客間に戻り、ボクはアイロスに訊ねた。

 すると彼はしばし考え、難しい声色でこう答える。



「いいや、これといってないな。つまり、キミがどこまで粘れるかが鍵だ」

「う、うわぁ……」



 それを聞いて、改めて自分の責任を思い知る。

 失敗すれば騎士団だけでなく、多くの人々に損害が出るだろう。それはボク自身にとっても無関係ではなく、孤児院にいるみんなにだって関係あることだった。

 守りたいものがある。

 それだけで、この戦いに挑む理由は十分だった。



「私たちは一時、後方で隙を見る。先鋒としてリッドくんがゴレムの注意を引き付け、魔法による援護の準備ができたら合図を送るんだ。それで――」



 そこまで、彼が話した時。

 ふと、声を上げたのはリターシャだった。



「やっぱり、アタシは納得できません! 素性も知れない冒険者に、この重要な任務の要所を任せるなんて!!」

「リターシャ……?」

「…………」



 ボクは首を傾げ、アイロスは押し黙る。

 それでも、彼女の感情はさらに熱を増していった。



「団長は先ほどあのように言いましたが、アタシはやはり貴族なのです。そして、それ以前に騎士団員として民を守る責務があります! だから――」



 そして、強く唇を噛む。

 拳を震わせて、うつむいたまま彼女は無言となった。



「リターシャ!?」



 しばしの沈黙が場を支配した後に、いよいよ耐えられなくなった少女は客間を飛び出していく。ボクはその名を呼ぶことしかできず、ただ背中を見送った。

 アイロスも同様に、背を見送る。

 だが、彼の場合はどこか別に思うところがあったらしい。

 深いため息をついたのちに、眉間に手を当ててしばしうつむくのだった。



「あの、アイロス……?」

「どうしたんだい。リッドくん」

「リターシャは、どうして――」



 ――あのように、誰かを守ることに固執するのだろうか。


 それを訊ねかけて、ボクは口を噤む。

 これ以上は踏み込んで良いものなのかと、そう思ったのだ。

 しかし、こちらの意図を察したらしいアイロスは、少しだけ考えた後にこう口を開くのだった。



「これはまだ、彼女が騎士団に入ったばかりの頃の話だよ」――と。




 そうして耳にしたのは、あまりに深い彼女のトラウマだった。










『キミは、逃げろ。リターシャ……』




 少女の頭の中には、常に彼の最期の言葉が響いている。

 ある任務に失敗した時のこと。敗走の最中、敵を引き付けると残った先輩騎士が心配になり、リターシャは命令を無視してその背中を追ったのだ。

 その騎士は、彼女にとって見本となる生き方をしていた。

 貴族出身という境遇もさることながら、民を命懸けで守る強い覚悟。

 そして何よりも、その人は自分が過去に失った人の面影を強く感じさせた。




「…………!」




 そんな彼の言葉が聞こえて。

 リターシャも、まだまだ年端もいかない少女だった。

 今にも泣き出しそうになり、人気のない木陰で膝を抱えて震えている。




「リオス、さん……!」




 そして、こういう時は決まって彼の名を口にするのだ。

 胸元から彼の形見であるペンダントを取り出し、握りしめる。こうすると、自身の心を落ち着けることができた。自分は間違っていないと、そう思える。

 だが、どうしても感情が収まらなかった。




「アタシは、まだ分かりません……」




 自分の為すべきことが分からない。

 民を守るのが、騎士の役目。それと共に、貴族の在り方であると信じていた。

 だが、それは傲慢なのだろうか。他よりも力がある故に、驕っているというのだろうか。それとも――。




「……あ、いた!」

「え……!?」





 そんな迷いの中にいた時だ。

 木陰に隠れた彼女を見つけて、声を上げる少年が現れたのは。




「リッド……?」

「探したよ。少し、話いいかな……?」







 そう言って、彼は少女の傍らに腰かけるのだった。




 


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_(:3 」∠)_

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