52/52
呑み込んだ全て
アルケア侵攻2日後。
帝国の旧帝都ティエラにて不穏な動きが活発化していた。
「準備がようやく整いました。本当にここまで長い道のりでした」
「ここからだよ。僕に付いてきてくれた皆には、茨の道を強いることになる」
大きな盾を地面に接地させた壮年の騎士は空を見上げて遠くの帝都を想い、今まで巡って来た村の人々の顔を思い出して集まった面々の顔を見渡す。
「いつでも良い。準備は出来ている。消え去る日は」
「今日も絶好調の剣のキレ」
両手に持った剣をくるくると回して鞘へ放り投げて収めた軽装の女の周りの葉っぱが粉々に散り、腰にかけ掛けた3本の剣を撫でて真ん中に立つ青年にウインクをする。
困り顔でそれを受け取った優しい顔立ちの青年は意を決したように頷き、目の前に立つ数万に合図を送って旗を掲げさせる。赤と青のアネモネと黄色のシンビジウムが描かれた旗が風になびき、その風がここに集まった全ての者に行けと言わんばかりに背中を押す。
「行こう」
まっすぐ遠くを見据えてそう小さく呟いた青年に確信のような笑みを返し、揃って旧都ティエラを出る。




