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1.4.2  作者: 雨宮祜ヰ
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帝国の実力②

 各所の中継ポイントで馬を乗り換えつつ馬を駆ること2日と半日。小国のティメリアを約半分横断して到着したファーラット砦の中には、既に詰めていた騎士と一般兵と向かい合った志願兵が並んでいた。数日経ってもまだ兵が集まり続ける光景に驚いていたアンジェに、複数の騎士を引き連れた青年が礼儀正しく礼をして挨拶をする。


「お初にお目にかかります。アルテ・カーラと申します。早速ですがココから聞いた通り、勇者様のお力をお借り出来るとは光栄です。勇者様には100を率いてもらおうと考えているので、また後ほど詳細は追って伝えます」


「100!? 背中を任せられるひとりだけで大丈夫です」


「これ程志願兵が集まったのも、勇者様が来ると言う事実と国を思う心で成しえたものなのです。ご要望には応えられるように致します。それでは失礼します」


 再び綺麗なお辞儀をして踵を返したその足で志願兵の前に立ち、騎士たちを背にして両手を後ろに組んで開いていた左足のかかとと右足のかかとを合わせ、ピンと背筋を伸ばしたのに合わせて一斉に騎士たちも同じ姿勢をとる。揃った足音と(かっ)(ちゅう)の音に志願兵がどよめく。

 あまりの迫力に気圧され過ぎて後ずさりするひとりにアンジェも含まれていた。その先頭に立つのは紛れもなく自分とそう歳も変わらない先程の礼儀正しい青年で、ゲルダと同じく光に包まれた後に紫の鎧を身に纏う。


「誇り高き騎士の国の民よ! この国の窮地を救わんとよく志を立ててくれた! その想いが剣となり、国を守る盾となり、勝利へと導く歌となる! 勇者も駆け付けたこの砦は、建国の騎士王が如く敵を貫くだろう!」


 一斉に怒号で満たされた砦がびりびりと震えながら熱気に満たされ、熱くなりすぎて涙を流す者たちを続出させた。少し高いところで満足そうに3度頷いたカーラ卿が後方でひとり突っ立っていたアンジェを指差すと、一斉に視線が1点に誘導される。

 予想外過ぎて驚きながらも慌ててちゃんと立ち直したが、何をするにも間違っているような気になって、苦し紛れに「レグルス!」と叫んで漆黒の鎧を纏って剣を抜く。

 誰も知らない鎧の名前をただ叫んで身に纏って叫んだだけだが、鎧越しにびりびりと伝わる再びの怒号にお腹の底から熱いものが湧き上がる。この鎧に対して少し後ろ向きだった考えが少しだけ変わり、本当に少しだけこの鎧も悪くない気がした。


「伝令! シャルウルの進行の勢い止まらず、4日の間に東の8割の砦を制圧したとのこと! このまま行けば、王都まで最短で3日の内に到達します」


 突如として舞い込んだ伝令に誰もが言葉を失ってしまったが、軍を率いるカーラは全く悲観していなかった。今集まっただけでも200居た騎士と合わせて2000もの兵が集まり、敵の背中からは強大な火の手が迫っている。決め手はガゼルの元から来ている8000と、数回ぶつかったことによって7000にまで減ったシャルウルの焦りだった。この状況下では誰が見ても撤退以外の最善策は見当たらない。


「明日にも、いや今日の夜にも敵は歩を早めて迫って来るだろう。だが心配ない! 堅実に戦えば負けはしない、治の騎士アルテ・カーラが保証する!」


 鎧を脱いだアンジェは志願兵の中でも立派な鎧を身に着けていた騎士のような出で立ちをした者に話し掛ける。


「どこかの騎士? もし良かったら背中を任せたいのだけど」


「いや、騎士と言う訳では。私も騎士になりたくて、志願兵を募集していると聞いたので来た」


「私はただの付き添い。一応戦えるけど、私たちには期待しない方が良いと思うわ」


 隣で静かに見ていた少女が割り込んで来て、品定めをするかのような目で足先から顔まで視線を移動させ、アンジェと目を合わせる。


「うん、大丈夫。2人は私の討ち漏らしを処理してもらうのと、背中に近付けさせないでほしいの」


 鎧の少女と目を合わせて仕方が無いと言う顔で腰に手を当て、2人同時に両手を後ろに組んで敬礼をする。

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