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1.4.2  作者: 雨宮祜ヰ
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いし⑤

 厳しい訓練が始まってから3ヶ月が経過し、いよいよアルトたちと連携しての実戦演習の段階にまで計画が進められていた。約束通り、希望した子ども以外を送り届けるため野党の役をする部隊が先に発つ。


「久しぶりアルト」


「本当に久しぶりだなアンジェ。今日、いよいよなんだな」


「うん。ゲルダさんにはほんと感謝しないとね」


「何を喋っている、早く部隊に戻れ! 勇者が規律を乱してどうする!」


 叫ぶゲルダから逃げるようにと言っても、2人ともゲルダの隊のため睨まれながら体を小さくして隊の中に戻る。怒っているように見せているだけのゲルダと目が合うと少し笑われ、すぐに元の厳格な顔つきに戻って全体の気を引き締めるために言葉を届けていく。


「初めてだからと言って加減をしてくれる奴はいない、誰も助けてはくれない。ならどうするか、何があっても慌てずにやるべき事をやれ。分かったか!」


 一斉に返事をした新兵と既存の兵が背筋を伸ばし、騎士と騎兵を除いた全員が徒歩で城を発つ。


 王都を出て平原を5時間ほど歩き通し、山に入る前に休憩が挟まれる。


「どうだアンジェ。これくらいじゃ息も上がらんだろ」


「当然。こんなのよりキツいの毎日走ってきたから」


「お前は少し疲れてるな」


 馬からおりて近付いてきたゲルダは、座らずにスクワットをするアンジェの隣で膝に両手をつくアルトの腕を掴み、強引に引っ張って背筋を正させる。


「休むなら座れ。そんなのじゃ真っ先に狙われるぞ」


「俺は英雄になるんだ、まだまだ疲れてないし休みもいらない」


「それだけ元気なら大丈夫か。分かった、スクワット100だ」


 意地悪な笑みを零しながら歩き去る背中に、両足の力が抜けて座り込んだアルトは手を伸ばしかけたが、グッと握りしめてアンジェに並んでスクワットを始める。


「無理しなくても良いのに。あの人の言う事だから、きっと本気じゃないよ」


「いや、負けれるか。お前はしてんのに、英雄に、なる俺が、しなかったら、いつまでも、勝てないだろ」


 2人並んでスクワットを終わらせてアルトが座り込んだ途端、ゲルダが出発の合図を送り、それに合わせて伝令が笛を吹く。立ち上がろうとして尻もちをついたアルトを見て、わざとらしくゲルダをこちらを見る。


「行けそうにないやつは無理をするな。安心しろ、置いてくだけだ」


 余裕のある既存の兵や騎士が笑う中、余裕のない新兵たちは天を仰いでから渋々歩き始める。山に入って数時間すると、あっという間に陽が落ちて辺りに影が伸び、足下から伸びていた影が呑み込まれる。

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