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序章 - 吾輩はモブである
吾輩はモブである。名乗るほどの名はない。
異世界転生だか転移だかに成功した幸福なモブである。
平穏無事な現代日本のサラリーマンだった私だが、悪運だけは強かったのか、亜人種たちが生き、モンスターの跋扈する剣と魔法の世界において、食い扶持に困らない程度の日銭は稼げている。
思いのほか平和なこの世界において、私の日々の楽しみといえば。そう、日銭を稼いでは、それを片手に握りしめ、ぶらりうまいものめぐりへと繰り出すことである――。
ちなみにこれは、現代日本で生きていたときからの、私のライフワークである。