ムゥとルゥ
「それならちょーどいいです。」
「ルァたちが教えるです。」
どこかから声が聞こえる。
どこから?
あたりを見渡すが誰もいない。
「こっちです。上です。」
「頭の上です。」
頭の上?
見上げるとシャンデリアに腰掛ける2人の少女。
「君たちはさっきの…というか、どこから?」
あの獣と戦っていたケモミミ少女たちだ。
でも、私たちが入ったときは城の中には誰もいなかったはず。
しかも、入り口の扉は1度も開いていない。
「上からです。」
「窓からです。」
よく見ると天井付近の小さな天窓が開いている。
「空飛んできた、とか?」
ありえる。ここは、異世界だ。
存在そのものが非科学的なものだから、空を飛べても驚かない。
「飛んでないです。」
「ルゥたち飛べないです。」
なんかちょっと安心。
いくら異世界でも、そんな普通に空飛べるわけないよね。
「飛んでないけど、跳んだです。」
「ジャーンプです。」
…前言撤回。
さすが異世界。
「君たち、誰ですか?」
黙り込んでいた、瑠生が尋ねる。
「先に名乗るのがれーぎです。」
「知らない人に名前教えちゃダメっておししょー様にいわれてるです。」
確かに。
しかも私たち、いくら追いかけられたとはいえ不法侵入だよね?
「私は、霜月紅葉。勝手に入ってごめんなさい。」
「月島瑠生です。」
私たちが名乗ると、2人は顔を見合わせてシャンデリアから飛び降りた。
空中でくるっと1回転して綺麗に着地。
「ルゥはルゥです。」
「ムゥはムゥです。」
そして、やや舌足らずな口調からは想像できないほど、優雅にお辞儀をする。
「おししょー様にいわれました。もし、誰か来たら聞きなさいって。」
「答えられたら、教えなさいって。」
クイズみたいな?
答えられたらご褒美に情報を、的な?
ルゥがバックの中から何かを取り出して、ムゥがそれを広げる。
どうやら世界地図みたい。でも、見慣れた世界地図ではない。
「この国のちゅーしんはカットリールです」
「レノール王国の王都です。」
2人は地図の中で1番大きな大陸の中心をを指差して言った。
そうして今度はバックから、見慣れた世界地図を取り出して私たちに差し出した。
「「にっぽんのちゅーしんはどこですか?」」