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だって私は神だから

作者: アサオ


俺は神に愛されているらしい。


いや、違うな。


らしいは、いらない。


俺は神に愛されている。



《×話:だって私は神だから》



「おまえのことを愛してる」


告白された。体育館裏なんてベターな場所で。見た目、幼稚園児な金髪ツインテールのツルペタ娘に。でも、一応、制服着てるから高校生だと思われる。


放課後、俺は今朝、下駄箱に投函されていた一通の手紙の内容に従って、遥々、体育館裏までやって来た。


ずっと前から愛していました。放課後、体育館裏まで来て下さい。


手紙にはそれだけ、全部、平仮名で書いてあった。


「おまえはこれから永久に私の奴隷として、その身を捧げる」


なんだそれは俺の未来予想なのか?成績の悪い俺には難度が高い文章表現だ。


「えーっと……つまり、俺はここで服を脱げばいいのか?」


俺なりの解釈。


奴隷=全裸


「それでは奴隷ではなく肉便器」


幼女の解釈。


全裸=肉便器


「なるほど。価値観の違いか……。となると俺は脱ぐための大義名分を奪われてしまった。俺としては今すぐ脱ぎたいんだけど駄目?」


世間の解釈。


俺=永田填=露出狂


「おまえの脱ぐ権利は私が持ってる。脱ぎたかったら私を倒さなきゃいけない」


「よっしゃ!覚悟しやがれ!俺は今から貴様を倒して脱ぐ!全裸になる!」


「おまえは私に負ける。だって私は神だから。結局、おまえは私に尻の穴を掘り掘りされるだけ」


恐怖。挑み、敗れれば、俺の奪われるわけにはいかない後ろの処女が自称神の幼女に奪われる。


「ちなみに何で掘り掘りされる?」


「私は神だから念じれば下半身ににはえる」


何が?とは聞かない。


「私は神だから何でも出来る。フタナリにもなれる」


「神様って便利だな!その力で俺の服を脱がせてくれ!」


とりあえず脱ぎたかった。理由?脱ぎたいからですが、なにか?


「ここは駄目。男と女がずっぽずっぽするらぶほてるまで行く」


「行ってもいいけど……何でわざわざらぶほてるに行くんだ?ここで脱いじゃダメなのか?」


別に脱ぐだけだから、ここでもいいと思うんだが。


それとも脱ぐ以外に何かすることでもあるんだろうか?


ずっぽずっぽ……。らぶほてる……。


ダメだ!さっぱりわからん!


「ここは駄目。おまえの裸体は私の物。今後、私の前以外で脱いだら承知しない」


「な・ん・だっ・てぇー!」


百年に一度の超びっくり。


となると、今後、俺は自由に全裸になれにゃいってきょとか!


「むり!りせいがもたにゃい!」


りせいほうきゃいのきじゃしか。


「地の文は噛むな」


「しょんなきょといったちぇ!!」


「よく考える。私の前ではいくら脱いでも、常に全裸でも――」


「いいんですかッ!!?すげぇよ!!全知全能かよ!!」


「だって私は神だから」


なんだ。なるほど納得。神様なら当然だな。


「それじゃ早くらぶほてるに行こう!俺は一刻も早く脱ぎたい!全裸になりたい!」



というわけで、学校を出て二人でらぶほてるを目指す。俺はらぶほてるなんて何処にあるか知らないので神に先導されるがまま歩く。


うずうず。


あー、早く脱ぎてぇー。


俺の頭の中は既に全裸一色だった。主に肌色。


そして、それは起こる。


俺のあまりに強い全裸への願望が具現化したのだ。


俺は気がつくと全裸になっていた。当然、路上、公衆の面前で。道行く人の視線が快感。


摩訶不思議。俺に脱いだ記憶は全くない。これっぽっちもない。気がついたら、俺は服を着ておらず、今まで着ていた服はきちんと畳まれて俺の通学鞄の中にしまい込まれている。まさに珍事。ちょーじょーげんしょーってやつだ。一体どうなっているんだ!


「これは!一体どうなっているんだ!」


「ただ我慢できなかっただけ」


一瞬でばれた。


自身の脳内さえ騙しきった完璧な嘘だったと思ったんだが無駄な努力だった。


俺は我慢弱く、己の欲求にはとても素直ないい子なので当然の如く我慢出来なくて脱いだ。


しかし、何故ばれた?俺の演技は完璧だったはず!?


「だって私は神だから」


あー!三歩、歩いたからすっかり忘れてた!


「私の忠告を無視したおまえにはお仕置きが必要」


「お仕置きって言いますと…さっき言ってた掘り掘り?」


「ケツをこっちに向けろ。おまえのケツ穴をこの場で犯す」


発言が生々し過ぎる!


「俺にそんな変態的趣味はない!!俺がまだ童貞のうちはたとえ神といえど俺のケツ穴を犯せると思うなよ!!絶対、死守してやる!!!」


漢としてケツ穴をレイプされるわけには絶対いかない。しかも高校生(多分)とはいえ、見た目、幼稚園児な金髪ツインのロリッ娘だし。


俺の人生でそんな汚点を遺すわけにはいかない。俺の人生は清く正しく服を脱ぐがモットーだ。


補足事項として、一応、言っておくが、たとえ童貞を卒業しても後ろの処女は誰であろうと捧げるつもりはないからな!


「言い付けを守らなかったおまえが悪い。容赦はしない。だって私は神だから」


「いいぜ…かかってこいよ!俺が生き残るためには神を倒さないといけないって言うなら…俺は神だって倒してみせる!」


「たかが人間風情が思い上がるな」


「はんっ!笑っていられるのは今のうちだけだ!」


先手必勝!俺は光より速く(体感速度)神に飛び掛かる。勿論全裸だ。目標は目と鼻の先。


この勝負貰った!と思ったその時だった。


「うりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


勇ましい叫びと不意をついた横からの衝撃に俺の体が紙切れの如く吹き飛ばされた。


「あーーーー(俺の叫び)」


「永田ぁーー!!あんた、今度は何やってんのよ!?」


「うぅ……。その声は…はらみ?」


呻きながら起き上がり、俺のことを吹き飛ばした相手を見上げる。


そこには青筋を浮かべ、腕を組み仁王立ちしている一人の女の子。物凄いご立腹のようだ。


艶やかな黒髪をたなびかせる世間一般で言うところの美人。可愛いというよりはカッコイイ感じのその人はよく見知った奴だった。


名前は三田原美紀子。


「はらみ言うな!」


「ごめん。孕み」


「漢字にすんじゃないわよ!セクハラで訴えられたいの!?」


「おまえには週七のペースで訴えられてるような気が済んだけど?」


猥褻物がどうたらこうたらで。


「気にしたら負けよ!……じゃなくて!あんた、今度は何やらかそうとしてんのよ!?」


「何が?」


「その娘よ!」


言ってはらみは仏頂面の神のことをびしぃっと指差す。


「真っ裸なのはいつものことだとして…よりにもよって、あんた!今回はその娘に襲い掛かろうとしてたじゃないのよ!」


「なんのことやら?」


「惚けてんじゃないわよ!馬鹿だ、変態だ、気違いだとは思ってたけど…まさかこんないたいけな幼女に手を出そうとするまでに落ちぶれてたなんて…見損なったぞ馬鹿!」


どうやら、はらみは勘違いしてるみたいだな。


「猥褻物陳列の次は幼女虐待!?あんた絶対警察に突き出してやるんだから!この変態!」


するとはらみはさっと鞄から携帯電話を取り出すと電話をかけはじめる。


「あっ、警察ですか?あの、三田原というものですが……――あ、はい。いつものやつです……――えっ、ちょ!?それはどうゆうことですか!?警察もそんなに暇じゃないって?…………あ、はい……わかりました……こちらでなんとかします……」


通話終了。がっかりと肩を落とすはらみ。さっきまでの元気は何処へやら、はらみは目に見えて落ち込んでしまった。


まあ、警察も俺に構ってばかりもいられないんだろ。通報は毎日だし、一回も捕まらないし。


あまりにも哀れで見ていられなかったので、とりあえずフォローしてみる。


「どんまい!」


「うぅ……ながたぁー……けーさつがわたしのことあいてにしてくれないよー……」


「安心しろ。おまえの相手は俺がしてやるから。そんなに気を落とすなよ。元気出せよ」


「なーがーたー……あんたはいいやつだなー」


「だろ?」


「だから服着ろ」


「断る」


ちょっと、良い感じになったが全裸で台なしだった。


「こんな俺でも受け入れてくれるんじゃなかったのか?あの日の約束は何だったんだ?夕暮れの誰もいない教室でさ」


「勝手に記憶を捏造すんじゃないわよ!!!誰が誰とそんな約束したってゆーのよ!」


「俺が二名(ふたな)さんとした約束だけど?」


「私じゃないじゃん!……――じゃなくて!ちょっと、それどうゆうことよ!?」


「知りたいか?」


「べ、別にそんなことはどうだって……」


「知りたいなら俺が全裸であることを容認しろ!」


「それは駄目」


ダメだった。やっぱり、はらみはそう簡単に篭絡は出来なさそうだ。


「とにかくあんたは自首していい加減に罪を償ってきなさい!」


「はぁ?俺がいつ警察のお世話になるようなことしたって言うんだよ!?この清く正しい潔癖な青年の代表である俺が!」


「今よ!今!罪名は猥褻物陳列罪ね!!!」


日本の法律は間違ってると思う。何故、全裸で街中を闊歩してはいけないのだろうか?そして、あろうことか罪にとわれるのであろうか?


理不尽だ。不条理だ。こんな世界間違ってる。


「おお、神よ!我は望み訴える!この腐った世界に神の鉄槌を下してください!」


膝をつき手を合わせて空に向かって俺は祈った。


「そっちじゃない」


「はい?」


肩をちょんちょんと小突かれて振り向くとそこには金髪ツインの幼女が一人。


「神ならここにいる」


いいながら自身を指差す。


そういえば、この幼女は自分のことを神だっていってたな。すっかり忘れてた。


「おまえの願いは私が叶えてやる」


「え、まじで!?この腐った世界に鉄槌下せるのか!?」


「よゆー」


ふふんと鼻を鳴らして余裕の表情の神。


「すげぇよ!!!全知全能かよ!!!」


そして、神は威風堂々と言った。


「だって私は神だから」


背後には神々しく夕日が煌めいていた。


短編が出来て、改めて読み直しまして、流石にやたらと全裸になりたがる主人公はむりがあるかなぁ……なんて思いましたが、書き直すのはあれなので思い切って投稿してしまいました!

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。最後まで拝読しました。 折角ですので、感想を。 個人的に裸になりたがる主人公はありだと思います。 裸になったら何かあるとさらに面白いと思います。 思考回路が破たんしている主…
2009/02/24 22:52 退会済み
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