4
門をくぐるとそこは迷宮の奥底だった。
周囲を見回すと光源が一切無い暗闇で、周囲は岩しかないが俺は光源など一切無くても視界は前後左右上下全方向に良好だし、ここが迷宮と呼んでいいような入り組んだ場所でしかもかなり深い場所であるということがわかる。
横を見るとミスティアが大きな荷物から何かを取り出した。
取り出した何かを額に巻きつけると光った。
「額に付けるライトです。両手が自由に使えます」
「両目を二重に隠しているけどやっぱり光が無いと見えないの?」
「暗闇でも見えますが明るいともっと見える上に光を嫌うモンスターとか結構居るので、そして魔法攻撃ができない私にもこいつがあります」
そういうと金属製の何かをカバンから取り出した。
カバン自体は大きいがどう考えてもカバンに入らないサイズだった。
このカバンもタイジュのところで作ったマジックアイテムなんだろうなあ。
「それは?」
「1秒で鉄の玉を700メートル先まで飛ばす銃というトンデモ兵器です。オークだろうがトロールだろうが飛行ドラゴンだろうが岩石ゴーレムだろうが銃で倒せますよ、銃で。実体を持たない幽霊みたいな相手はまあまあ別として実体のあるゾンビとかは銃で余裕です」
「おお、なんか凄そうなだな。……とりあえずこれからどうする?」
「そうですね、とりあえず地上に出ましょうか。この迷宮には沢山のモンスターが出ますがここは私が銃で追い払いますので」
それから2人でしばし歩く。
唐突に目の前に岩石でできた巨人みたいなのが現れた、どうやら上から降ってきたようだ。
巨体の割に素早く、音もなく着地して前を歩くミスティアに手刀を一閃してくる。
ミスティアはそれより更に素早くしゃがんで手刀を回避すると岩石の巨人を銃で撃ち抜く。
銃声と共に体に大穴を開けた岩石の巨人は無言で消滅していった。
消滅前によく見ておくとその岩石の巨人は銀色で頭には髪飾りみたいなのをのせていた。
後には何も残っていない。
と、思ったら何か赤く光る小さい石が残っていた。
ミスティアは素早く光る石を拾って袋にしまう。
「その石は?」
「モンスターを倒すと拾える石です、結構な高値がつくので是非拾いましょう。この世界のモンスターは喋ることも食べることも子作りもせず意思疎通不可能で、そのくせ殺意マックスで襲ってきますから注意しましょう、ちなみにモンスターは無から突如出現します。倒すと石を残して消滅します。」
「そうなんだ」
喋ることも食べることも子作りもせず意思疎通不可能で、そのくせ殺意マックスで襲ってくるって危険過ぎるな……仮にこれで戦闘力が高かったらとんでもないことになるぞ。
「はい、ちなみにこの世界の人間も無から突然服着たまま成体で出現しますし、死ぬと石を残して消滅しますが、モンスターと違って喋りますし食べますし意思疎通できて、一部の人しか殺意マックスで襲ってきたりはしません。高位の魔法使いなら石から死者蘇生とかできるみたいですよ」