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「お手柄だ、ミスティア」
また銃声が響いた。
俺は普通にしゃがんで銃弾を避けた。
前にミスティアに聞いたところ、この動きは余りにも高速移動過ぎて短距離テレポートしたみたいに見えるらしい。
直撃しても無傷なのにいちいち避けちゃう俺も俺だが。
「あっ、本物でした」
「本物か偽物かを確認するのにいちいち撃つの止めようよ」
「善処します、ただこの世界はロイ様の偽物多いですよ、これで11体目です。まさか11体目が自分の分身が化けてる相手になるとは思いませんでしたが」
「そんなに偽物出てきたの?」
「出てきましたよ、最初に城に忍び込んだ時に」
「そういえば前にも言ってたような、あれはなんなんだろうな? 俺の存在を察知したその瞬間に寝るようにしたまま歩いてて最上階にたどり着くまでは1回も抵抗された感触無かったのになんで俺の姿になれるんだろうか」
「そこまではわかりませんが」
手品師マリーアリー辺りが何かしたのかな。
あいつが連れてた同じ顔した忠臣化の魔法使う4人組はあいつの分身だったし。
短距離テレポート使える奴は手品師マリーアリーの分身じゃなくて完全な別人だったけど。
ミスティアは千界に帰ったら今回の出来事を総まとめして報告書の形にする予定らしいので完成したら読ませて貰おうと思う。
もっとも、今回の件を総まとめにすると文庫本にして数十冊くらいの量になる予定らしいので俺がメインで関わっているところだけでいいかなと思う。
検証班とか捜査班とか様々な専門家が呼ばれてきて今回の件のうち謎に包まれている部分を解き明かしていくのだろう。
俺の任務がNNN72を捕獲して連れて帰るというシンプルで簡単なもので良かったと思う。
ただ任務の簡単さと重要さは別物だろう。
俺はNNN72を完全な形で捕獲することができた、NNN72が建てた家だとか作った人形だとかそういうNNN72が残した影響のようなものはまだあるかもしれないがそっちはまた別である。
「よし、じゃあ帰るか」
「はい、帰りましょう。ロイ様」
完




