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「お待ちしておりました」
千界と人間界を繋ぐ迷宮の前、そこにレティカが立っていた。
何故かちょっと嬉しそうなニコニコ笑顔である。
「ミスティア、銃を構えろ」
ミスティアが俺の言葉が終わると同時に銃を構えた。
結構離れては居るが、ミスティアなら外さないだろう。
「そこから一歩たりとも動くな、ミスティア、一歩でも動いたら躊躇せず撃て、動くまでは撃つなよ」
「YES、ロイ様」
銃を構えたミスティアとレティカの間に挟まらないようにしつつ俺はレティカに近寄っていく。
レティカは銃を構えたミスティアと俺を交互に見ながら何故を銃を向けられているのかわからないという顔をしている。
「あの、これはなんなんでしょうか? ひょっとして私、疑われてます?」
「まずなんでここに居たのか聞かせて貰おうかな?」
「ああ、それはですねえ……」
レティカがまたニコニコ笑顔に戻った。
レティカは言った。
「理由を考えるの面倒なんでもうやっちゃいますね」
レティカの姿は煙のように消える、それは倒されたモンスターが消滅するのと同じような消え方だった。
その場に残ったのは銃を構えたミスティアと俺?のみ。
俺はそんなやり取りをかなり離れたところで見ていた。
先程レティカが話していた相手はミスティアと、ミスティアの分身である。
ミスティア一人芝居上手いなとちょっと関心しながら見ていた。
ミスティアって凄い奴だなあ、とたまに思う。
レティカは消滅したてその場には俺の偽物とミスティアの2人が立っている。
ミスティアは銃を構えたまま動かない。
「ロイ様、急に黙り込んでどうしましたか」
「……」
「レティカさんは何処に消えましたか」
ミスティアは聞くというより独り言を言うように言っている。
そろそろ演技しなくてもいいかなと判断したか?
「クックックッ」
俺の偽物が何か意味深に笑い出した。
「この身体は貰ったぞ」
「あなたはNNN72ですか?」
「さあ、どうだろうな? 俺は冥土の土産でも重要なことは教えない主義なんだよ」
「最後のこれの意味と正解は自分で考えて解けよ、ということですね。わかりました」
俺の偽物は意味深に笑っている。
「これでこの世界は俺のものだ、この身体さえあればなんでもできる。かつてロイが城に真正面から単独で攻めこなかったのだってNNN72に逃げられるからだろう? この力があればこの世界は俺のものだ」
などと実にバカっぽいことを言いながら、俺の偽物が一歩、歩くと銃声が響いた。
ミスティアは律儀なことに、自分で宣言した、一歩でも歩いたら撃つを守って歩いたから撃ったのだ。
銃弾は俺の偽物の身体を貫通していた。
「?」
何か信じられないことでも起きたかのような顔をしながら俺の偽物はミスティアを見ている。
ミスティアはたて続けに4発撃ち込んだ。
俺の偽物はレティカが消滅したのとは少し違う、煙が消えるようにではなく一瞬で消滅するような消えかたで消滅した。




