2
俺は座って部屋の中央に置かれている剣をじっと見ている、朝も昼も晩も一睡もせず食事も取らず身動きもせずじっとNNN72を封印してある剣を見ていた。
建物の外ではミスティアが代わりに何かやっている。
ちょくちょく報告に来るので聞いているのだが、なんでもガッツリ王様になったソフィアがこの森に親衛隊を連れてやってきたり、その時にはミスティアは隠れてこっそり1対1で話したとか。
軍師ラムーウがお城に戻ったとか。
戻ってきたと思ったらこの土地の自治権を軍師ラムーウが獲得したが税金はクレイドル国に払って、クレイドル国からは税金を投入する公共事業が入ってくるようになったとか。
ラーミア達が新天地を求めてどっかに行ったのでラーミアが居なくて人間しか住んでないのにラーミアの里の名前はラーミアの里のままだとか。
色々なことがあったらしいが特に問題らしい問題は起きず一ヶ月の時が流れた。
俺のところにミスティアが来ている。
俺が呼んだのである。
ここ最近ミスティアは観光旅行ということで、変装して色々なところに顔を出している。
そろそろ帰るということでこうして呼んだらすぐに来た。
「ところで相談なんだが」
「はい、なんでしょうロイ様」
「ミスティアって分身出せる?」
「これですか」
ミスティアがそう言うと、ミスティアのすぐ隣にミスティアと全く同じ外見をしているミスティアの分身が現れた。
分身は全く動かない。
「よし、じゃあ歩きながら話すか」
「帰るんですよね、千界に」
「そうだよ」
「それなら、ロイ様も皆さんに挨拶してきてはどうでしょう」
「ミスティアは挨拶したの?」
「ええ、勿論。ただレティカさんはちょっと前から何処に行ったかわからなくて」
「今日会えるかもよ」
「と言いますと?」
「ひょっとしたら会えないかもしれないんだけどね」
「ちょっとそこの茂みに隠れて準備するんでちょっと待ってて」
「え? ええ」
俺は最後の準備に取り掛かった。
この準備が無駄であってくれるとありがたい。
俺の予想が正しければここからが最終決戦になる。
絶対魔法防御、絶対魔法防御を貫く魔法、絶対魔法防御を貫く魔法をも通さない絶対魔法防御。
みたいなぶつかり合いは一回やっている。
もし一回それを見られているなら同じ防御魔法では防げないと思う。
別にこれで防げないなら防げないでいくらでもやるようはあるが。
一番いいのは全て杞憂で終わって、何事もなく千界に帰れることなんだけどね。




