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周囲に何もない?
いや周囲に全部あるのか、どうやら俺はテレポート失敗で地中深くに飛ばされたらしい。
ここがどこの地下なのかはわからないが、とりあえず力を開放してみようと思う。
轟音と共に周囲の全てが飛び散る。
俺は穴の底に居た、地上までは距離があるが俺ならジャンプで上がれるだろう。
というわけで外に出てみたところ、目の前にクレイドル城があった。
ぶち破られたクレイドル城の城門がある。
なにやら警笛と警鐘のようなものが鳴り響いていて周囲が騒がしい。
少し遠くではロックゴーレム達がビキニアーマーを着た城の兵士たちに片っ端から倒されてっているのが見える。
ロックゴーレム達は本当は強いらしいが……すごい勢いで倒されていってる。
とりあえず陽動くらいにはなっているようなので良しとしておこう。
ミスティアとソフィアとスライムも来ているはずなんだが何処に居るんだろうか。
「まさか埋まってたりしないよな」
地面を見てみる、よく踏み固められた土がある。
「あっ、ロイ様が居た」
ミスティアの声がした。
声がしたほうを見ると銃を背中に担いでソフィアをお姫様抱っこしたミスティアが凄い速度でこっちに走ってくる。
ソフィアを抱え持っているのに普通に走るように走っている。
ソフィアの肩にはソフィアを守るようにスライムが居た。
遠くから数体のロックゴーレムがソフィアを守りに近寄ってくるのが見えた。
近くに来たミスティアはソフィアを降ろす。
「ミスティアとソフィアは無事だったか」
ミスティアは自信満々に言った。
「私は城の屋上より高いところに飛ばされたので着地まで結構時間かかりました、自由落下の速度って遅いですね」
「無事なようでなによりだ」
軍師ラムーウは今回はNNN72は向こうから来るだろうと言っていたが本当に来るのだろうか?
「ええ、そうですね。ここからがほ」
そこまで言った瞬間、ミスティアの動きが止まった。
やや後ろの地面から斜め上に突き出された槍はミスティアの胸の少し上、首近くを刺し貫いている。
ミスティアが視線を下げるとすぐ目の前に自分の胸から飛び出た槍が見える。
「うっ ゴフッ」
次の瞬間、槍は消滅しミスティアは口から血を吐いて倒れた。
ソフィアはその光景を見て呆然としている。
「キャ……ア」
キャアアアと大声で叫ぼうとしたようだが、驚きが大きすぎて叫ぼうにも叫べてない。
奥から槍を持って豪華なマントをつけた、ソフィアと同じ顔をした人物が現れた。
隣には半透明で黒ローブを着た骸骨も居る。
骨はどうでもいい雑魚として、ソフィアと同じ顔している奴は明らかに他とは気配が違う、あれがNNN72だな。
俺はチラッと倒れているミスティアを見た。
(ミスティアよ、そのままそこで死んだふりしとけ)
(はい、結構迫真の演技だった思うんですが、ロイ様にはバレバレだったようですね)
優勢だと思わせとけば逃げる可能性も減るだろうからな。
それにしても口から血のような何かを吐き出してたがあれは何を吐いていたんだろうか、匂いからして血じゃないだろうが……それより目の前に居るNNN72の相手をするほうが先だろう。
俺は目の前に居るNNN72と黒ローブの骸骨に向き合った。




