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俺たち全員はラーミアの里の外に居るスライムとロックゴーレム達のところにやってきた。
「これがソフィアさんが従えているモンスター、なんと力強い」
レティカが呆然とスライムとロックゴレーム達を見る。
ソフィアの持っている錫杖はソフィア以外が持てばただの棒きれになってしまうようにしておいたので奪われることはないだろうが、ソフィアはこれが錫杖のおかげということはひたすら隠そうとしているようだ。
一回忠臣化させたらもう錫杖は不要だが、この錫杖を無くしたら新しい部下は作れないからね。
忠臣化によりソフィアに従っているがモンスターにも利益がないわけではない、具体的にいうと錫杖から力が供給されていて負傷してもすぐに治る。
モンスターは死んでも時間が経過すると復活するがその時間もかなり短縮される。
レティカが呟いた。
とてつもなく小さい声なので本来聞こえないかもしれないが俺の耳はごまかせない。
「これだけの戦力が揃っていればここにモンスターの王国を作り、私が魔王を名乗ることも遠いことではなくなった」
「魔王を名乗る?」
俺の質問にレティカはちょっと申し訳無さそうに言った。
「ここにモンスターと人間が共存する国を作ろうと思っているんです、意思疎通ができないモンスターと一緒に暮らすのは無理ですがラーミア達を見てもらえばわかると思いますが、一緒に暮らせるモンスターも居るんです」
「ここに建国なんかしたらクレイドル王国が黙ってないんじゃ……」
「大丈夫です、ここを潰そうとしてきてもこのロックゴレーム達が居れば1体で人間の兵士1000人分くらいの力でなんとかしてくれるのではないでしょうか」
「クレイドル王国にはNNN72が居て戦力強化しているみたいなのでこいつらロックゴレーム1体で下級兵1人といい勝負するくらいかな」
「え、マジですか」
レティカがそこまで言ったところで地面から光の槍が飛び出してきて下からロックゴレーム達を貫いた。
ガラガラと砕けていくロックゴレーム、本来ならばすぐにくっついて元通りになるはずが光の槍が変形して絡みついて再生を妨害している。
ロックゴーレムは全滅した。
ミスティアや軍師やレティカは俺が結界をはって守り、スライムは自分で槍を避けていた。
俺だけ槍が直撃しているがかすり傷一つつけられず槍は溶けて消えた。
スライムだけは一点を見つめている、こいつにはわかるらしい。
俺を除く全員が何が起きたのかわからない様子で呆然としている。
そこで俺が言った。
「敵襲だ」
俺の一言と共にミスティアが銃を構え、ソフィアが盾を構え、レティカが自分の影から出てきた何かの後ろに隠れる、軍師ラムーウは俺の後ろに隠れる。
ロックゴーレムは一瞬で壊滅した。
視線のはるか彼方に魔道士チュイ・ローレンスと付添の兵士が居た。
前に王城で即死魔法で仕留めたが、その後幽霊みたいな姿でまた現れたやつである。
魔道士チュイ・ローレンスは手のひらから破壊光線を放つ。
俺は手で誘導して破壊光線を遠くに着弾させる。
破壊光線の着弾地点でとんでもない大爆発が起きた。
空の色は青空から赤く変色し、煙は巨大なキノコ雲となる。
これは放置できない、俺は平気だけど里が消える。
俺以外で直撃受けて平気なのはあのスライムくらいだろう。
「闇の呪縛」
魔道士チュイ・ローレンスが倒れると同時に兵士たちも撤退していく。
これでもまた復活してきて不意打ちで撃ってこられても困るからラーミアの里にはバリアはっとくか。




