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「ふかーく、反省しておるのだ。ワシのせいで一つの世界が滅んでしまう可能性があるということに」
「そんなに危険なマジックアイテムなのか?」
マジックアイテムと一言でいっても色々あるわけだがたった一つで世界を滅ぼす可能性となると限られてくる。
爆弾か?
爆弾の威力次第では世界が滅ぶだろう。
でも爆弾の解体なら俺より適任が居る。
戦士として名を雷鳴のように轟かせている俺を呼ぶからには、そのマジックアイテムは戦士を差し向けるのが適任なタイプなんだろう。
「そのマジックアイテムは成長してどんどん強くなっていくタイプじゃ。そのマジックアイテムには自分で考え、修行したり、力を奪ったりして、力や地位や物を手に入れていく……考えうる限り極限の強さをただひたすら目指して動いている」
「うわっ、なにそれ。危なそう」
本当に危なそう。
千界のマジックアイテムなら、最悪無限に強くなっていくだろうし。
「無限に強くなれるとはいえ、実質限界はあるはず……どこまでが限界かはわからぬが、お主なら勝てるじゃろ」
軽く言ってくれるなあ。
「それだったらタイジュのところの軍隊で囲んでひたすら総攻撃とかしたらいいんじゃない?」
「うむ、こちらも兵士の大半を失うことになるじゃろうが、ひたすら総攻撃すれば相手はマジックアイテム一つ、なんとかやれるじゃろ……既に居場所も掴んどるしな」
居場所まで掴んでるのかそれなら何故そちらでやらない?
と、言いそうになったがタイジュの一言で疑問は氷解した。
「マジックアイテムの場所、そこはとある王国の王様の中。王様に憑依して自分の体として操っているのだ。そんなところに我々が軍隊を率いて行ったらどうなる?」
「そりゃ全面戦争?」
「うむ」
相手が王様で身柄引き渡せは通用しないだろうな。
「加えてやっかいなことにあの世界の人間の平均的な戦闘能力が高い、わしの軍勢とあのマジックアイテムが王様している国の兵士の質がそれほど変わらない、数で押しまくれば、兵士だけならなんとかなるかもしれないがマジックアイテム次第ではどうとでも転びうる、下手したら負ける」
「それで俺に白羽の矢というわけか」
仮にタイジュの軍勢で勝てるなら問題ない。
問題はそのマジックアイテムとやらがどこまで強くなっているかだろう。
もしそのマジックアイテムの強さが俺に届くのならタイジュの軍勢で総攻撃しても無意味だろう。
「やってくれるか」
「わかった、俺がちょっと行ってその王様に憑依したマジックアイテムをなんとかしてこよう、道案内だけ頼む」