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それからしばらくして、俺とミスティアは山小屋の中でタイジュから届いた手紙を読んでいた。
それによると城内に潜入していたタイジュの部下は全員素性がバレて千界に避難したこと、そして千界と人間界の間に強力な結界が作られてしまって少なくとも一ヶ月は解けそうにないということだった。
「はい、千界の戦士たちは人間界の兵士たちに根こそぎ撃退されしまったようです。連絡が取れる相手は残っていません、今、人間界に残っている千界の勢力はどうやら私とロイ様の2人だけということになってしまったようです」
ミスティアは手紙を読み終わってからミスティアは石ころのような何かに向かって何かを言っている。
それにしてもこの手紙はどこからどうやって届いたんだろう?
能力の数値化とか妙なことをいっぱいやってるタイジュのところだからまた妙な技術を使っているんだろうが。
それにしても人間界の兵士たちに根こそぎ倒されてしまうとは。
「やれやれ、不甲斐ない奴らだな」
「こ……ここも危ないのでは、城内に居た兵士に私の銃でヘッドショット叩き込みましたがイテテってレベルであんまり効いて無さそうでしたよ、人間がこんなに丈夫なのはおかしいですよ、NNN72が何かしているのでは?」
そりゃ何か特殊な理由が無くちゃ生身の人間が銃で顔面撃たれても平気なわけがない。
ここはタイジュが用意してくれた隠れ家だ、既に千界戦力のタイジュ達が全滅しているのならばここが探り出されてててもおかしくはない。
窓から外を見てみる、不自然に静かだ。
昨日はあった野生の獣の動きすら無い。
「ふむ」
俺は外に向かって歩きだした。
「あ、ロイ様、何処に? そろそろ偽王様が目覚めますよ」
「そいつもう目を覚ましてるぞ、皮膚の下に武器として使う針を仕込んでいる。服を調べて武器を持ってないか調べてもバレないように仕込んだのだろう。それは毒針だ、予め解毒剤を飲んでいるのだろう。起き上がるタイミングを逃して焦っている気配が伝わってくる……そいつは任せた。俺は外に居るやつを片付けてくる、生かしておけるなら生かしておいて貰いたいが、無理はしなくていいぞ」
俺の言葉が終わると同時にミスティアは銃を寝ている? 偽王様に向けた。
「待って、わかった。降参します、ギブアップ」
寝たふりをしていた偽王様は目を開けてそう言った。
重要な手がかりだから絶対に生かしておいて貰いたいところだがそれでミスティアが死んだらもっと困る。
外に居る刺客相手に俺が負けたらどっちにしろアウトだけどな。
千界の戦士を根こそぎ倒したという、お手並み拝見といくか。




