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ミスティアが頭を抱えている。
歩きながら色々と話して、山奥にある山小屋みたいなところにやってきた。
山小屋といっても結構広い、ソファーではミスティアが捕まえた最初に侵入した部屋に居た偽王様の女が寝ている。
ミスティアが苦い顔をしながら言った。
顔の殆どのを隠していてもそういう表情をしているのだろうということはなんとなくわかる。
「つまり、NNN72は憑依タイプで王様に乗り移っている、という情報を頼りに何者かに憑依されてて王様っぽい相手を探していたら、本物の王様は見つかったけどそこにはNNN72は入って無かった。恐らく本物の王様に偽記憶が入っていたから、NNN72は憑依タイプで王様に憑依しているという情報と交錯してしまった……ということでしょうか、あのお城には何も無かった?」
「何も無かったってことはないと思うよ、【本物の王様の偽記憶】の中にNNN72があったから」
俺はそう言うとミスティアを見る。
「ああ、そうですね。もし本当に何もないならNNN72なんて単語はそもそもどこからも出てこないでしょうし、それにしてもなんで偽記憶の中にNNN72の記憶があったんでしょうね、偽記憶で自分の記憶を消すってんならわかりやすいんですが、わざわざ手がかりを残したようなものでしょうに」
NNN72がミスして残していったか、そうじゃないなら余程時間が無くて残していったか、あるいはなんらかの罠か。
証拠のようなものはない。
憶測に過ぎないのだ。
「そこまではわからないな、判断する材料が足らなすぎる」
ミスティアも何か考えているようだが答えが見つからないようだった。
「おお、たしかにロイ様の言う通り判断する材料が足らなすぎますね」
ミスティアはそう言うと椅子に座った。
「他にもいくつか不自然なこともあったしな」
「と、言いますと?」
「兵士が1人も銃を持ってなかった」
「あ、そうですね。それはおかしいです。肉体強化とか攻撃魔法とかありますけど、どう考えても銃を持ったほうが強いだろって人まで銃は持ってませんでした。あれだけ居て1人も銃を持ってないのは……なんでなんでしょうね」
「なにせ途中で会ったレティカは銃を知っていたからな」
「ええ、そんな高度な銃じゃ無くても火薬と丈夫な筒状のものがあれば迫撃砲を作れますからね、火薬は魔法の火球で代用してもいいのに見当たりませんでした」
NNN72も見つからなかった、手がかりっぽいのはいくつかあったけど。
そんなことを考えながらグダグダと雑談風の相談が続いた。
さて、今後どうしようかな?
ここまでのまとめとしてはNNN72がお城、というかこの王様の地位を捨てるとは思えない。
思いもよらないことをしでかすというのは目くらましにはなるけどやりようによっては自殺行為だし、もし城の中に居続けるのならば同じ方法で入れるとも思えない。
城で正面から暴れられるのは俺くらいなものでミスティア一人で城内の兵士とずっと戦い続けるのは無理だろう。
とりあえずまだそれほど遠くに行ってないという前提で包囲網を敷いてあぶり出してみるか。
千界の方で色々探して「城内の王様」まで絞りこめたからには、千界のタイジュ達も色々と手は尽くしたはずだ。
俺は最後の詰めとして呼ばれただけ、追い詰めてる奴は他に居る。
そっちに任せておけば解決するだろう。




