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トライアングル

ひな坊が処置室から病室に移り、かれこれ4時間は経った。俺の視線は相変わらず、二人に釘付けのままだ。二人から少し離れた場所で固い椅子に腰かけて看ているが、さっきからずっと、チーフは眠りこけている。ベッド脇の椅子に座り、ひな坊の上半身に倒れ込むようにして覆い被さっているのだ。仰向けに眠るひな坊の右肩辺りに、コテッと頭を突っ伏して、すーすーと寝息を立てている。


もう大丈夫だと医者や看護師に言われて、よほど安心したのだろうか。チーフは、寝入る瞬間はまるで気絶するかのようにぶっ倒れてしまった。血の気がさっと引いて、思わず緊急コールをしてしまったおかげで、若い女の看護師に眠ってるだけですよ、と大笑いされた。



心配し過ぎて疲れきった顔で眠るチーフとは真反対に、ひな坊は馬鹿みたいにすやすやと、なんとも幸せそうだ。きらりと口元に見えるあれは、ヨダレではないだろうか。偶然にもチーフの頭にぽてっと乗っかっているのひな坊の左手が、踏んづけて蹴飛ばしてやりたくなるほど憎たらしい。




「ん?」




そういえば、俺がわしゃわしゃと撫でてやった髪が、まだ乱れたままだ。




チーフが起きてこれを見たら、きっとまたこいつが倒れた瞬間を思い出して、あの顔をするんだろうな。本人は我慢しているつもりなのだろうが、あれは駄目だ、破壊力抜群だ、俺たちからすれば、泣いているも同然だ。こちらが気遣うつもりでそのまま言葉に出して指摘し、ハンカチを差し出したところで、この人は絶対に認めないだろう。目にゴミが、もしくは、使いもしてないコンタクトがずれた、とでも言って、ぷりぷりと怒るか、拗ねてしまうのがオチだ。厄介なことこのうえない。




「ったく、仕方ねえな……」




ため息をついて、髪を撫でつけて整える。




「お前のためじゃねーからなぁ? ほれ」




くいっと頬をつねってやる。




「ん……」



ややしかめっ面で身動ぎをするひな坊は、へにゃっと両腕を伸ばした。それでそのまま、チーフに両腕を回すと、ちょっと力を入れたら折れてしまいそうな細身の体を包み込み、まるでチーフを抱き抱えるような格好になってしまう。



「すぅ……すぅ……」




チーフの体温がよほど心地良いらしく、よりいっそう穏やかな、そして幸せそうな何とも言えない表情になった。



まあ……普段のこいつの言動から察するに、気持ちは分からないでもない。最低でも1日1回。酷い時なんかだと、自分が知る限り、午前中に3回、昼にも3~4回、夜にもまた数回と、エライことをチーフ本人に直接言っている。それ以外にも、本人が居ない時にまでしょっちゅう色々なことを言っているから、それも加えると、もう数えるのが億劫だ。一体どこの誰に、あんな口説き方を仕込まれたのだろう。あまりにも普通に言っているせいで、皆段々慣れてきてスルーしがちだが、よくよく聞くと、もうほとんど申し出なんじゃないか?というような、とんでもない台詞も、こいつの口からポンポン飛び出している。



そう、今ちょびっとヨダレを垂らしている、なんともしまりのないこの口が、だ。




現時点での下期の最優秀賞は、たしかこんな会話だった。



いつだったか、重犯課のメンバー数人で雑談していた時のことだ。何かの会話の流れで、捜査一課、二課、三課の関わりについて話していたのだが、誰かの発言を受けて、ひな坊がこう言った。


《でもそれで、結局けーぶがフォローするハメになるんでしょ?》


そしてひな坊の質問にチーフが応えたのだ。


《うん? まぁ私も、二課・三課の皆には沢山助けて貰ってるからね》

《だってどうみても、フォローの方が多い気がしますが?》

《あはは! そう見えるだけよ》

《う~ん、そうですか?》

《ん。あなたの見えていない所でね》

《ふーん……それじゃ、》


それでひな坊は少し間を置いて、確かこう言った。


《俺が見えていないあなたのその場所には、どうやって行けばいいんですか?》


チーフはきょとんとして、会話を続けたっけな。


《精進する、それに尽きる。ただまぁ……未だに私も模索中だけどね》


そしたらこいつは、真剣なツラをしてチーフの目を真っ直ぐに見ると、こう言った。


《それは、誰のですか?》

《うん??》

《あなたは誰の、その場所に行きたいんです? 》


そうしてまたまたチーフは不思議そうに、会話を続けた。


《みんなよ》

《みんなって?》

《困ってる人み~んな。私は困ってる人全員、みんなを助けたいもの。当然でしょう? だからこの服に袖を通してる》

《えと……課長ではなく、ですか?》

《はいぃ?なんでゲイリーが出てくるわけ?》


普通ならもうこの辺で諦めるが、ひな坊はさらにぐいぐいと迫った。時も場所も選ばずひたすら口説きまくっているひな坊もひな坊だが、全く気付かずに超絶変化球で返しまくるチーフもチーフだ。なんだってこの二人は、こうも延々とすれ違うんだろうか。本当に不思議だ。


チーフの返しに怯むことなく、ひな坊は大真面目な表情を崩すことなく続けたっけな。


《あの、あなたのその困っているみんなの中には、俺って……》

《もちろん、含んでるに決まってるでしょう?あなたが困っていたら必ず助ける、全力を尽くしてね。助けなんかいらねぇってあしらわれても、救いを求める心が見えたり聴こえたりしたら、何を差し置いても絶対に助ける。だから心配しないで。体張ってでも必ず守ってみせるから》


どっしり構えた威勢の良い、しかしこの人だからなのか女性特有なのか、優雅で優しく、そして柔らかい表情で、バシッと言い切った。誰よりもどこまでも、この人は男前だ。際限がない。警察組織の花形部署の中でも、特別逸品のチームリーダーが女だからって、きっと見えない所で相当な苦労があるのだろうが、なんとも実に勇ましい、重犯課の頼れる、立派なドンだ。


威勢が良すぎたのか、見惚れてたのか。ひな坊があまりにも急にきょとんとしているから、チーフはさらに続けた。


《だって、仲間を助けるのは当然でしょう?》

《あの、》

《なに?》

《仲間には入れてくださったままで結構なんですが、出来ればその……困っていて助けたいみんなの中に、俺を入れないでください。いっしょくたにするかどうかの結論を出すのは、もうしばらく保留にしてくださると大変助かります》

《え!? ど、どうして??》


何をどう勘違いしたのか、チーフは焦りながら尋ねていた。“てめえの助けになんかなりたくねぇよ“とでも言われたと思ったのだろうか。一緒にその場に居た俺含めて他の数人は、もはやここまでくると、もう映画か何かの娯楽でも見ているような気分でもって、この二人の延々と続く奇妙なやりとりを、呆れつつも見守っていた。


そうしてここで、いよいよ、問題発言が飛び出したんだ。二度目だが、今期最優秀賞だ。


ひな坊は真剣な顔をさらに倍増して、チーフを真っ正面に見つめながらこう言った。


《だって俺は、あなたにとって唯一の人でありたいんです。ただひとりの最高のパートナーでいたい、誰よりも一番、あなたに近い場所に居続けたい。だからあなたの言う“みんな“の中に入れられたら、俺はものすごく困るんです。資格があると証明します。だから結論は先延ばしに。もう少しだけ時間をください、お願いします》


《ほぁ???》


チーフは綺麗な瞳を文字通りまん丸にして、今期一番のきょとん顔をした。チーフの理解はあろうことか斜め上に行き、どこをどうしたらその発想になったのか、ひな坊双子説が飛び出した。チーフはくそ真面目なツラをして、“時間切れになる前に、生き別れの片割れを捜しだそう、捜査権は刑事なんだからちゃんとある、皆と同じ刑事試験で受かった上での配属だから問題ない、さあ、総力戦で頑張ろう!“と言い出した。もう意味が分からない。さぞかし悲しげなツラでもするだろうと思いきや、ひな坊は腹を抱えて大笑い、何故か嬉しそうにチーフを小馬鹿にしていた。もうこの二人は理解不能だ。ついていけない。


ただその時に、ひな坊に馬鹿笑いされたチーフの膨れっ面を、マリーがこっそり通信機で写真に取り、”ケイトを応援し隊“という謎の会員への次年度カレンダー8月分にすると息巻いていたのが、印象的だった。どうでもいいが、マリーは、自分は会長だと言っていた。参加資格は本庁限定の警察官。会員になりたくて本庁への異動願いを出す奴もいるのだとか。カレンダー目当てらしい。チーフ公認だって言っているが、なんとも怪しい。



「まったく……やれやれ」




ため息をつくと、扉がノックされた。



「入るぞ」



やって来たのは本庁の捜査一課長だった。



「お疲れ様です! わざわざありがとうございます!」



慌てて俺は立ち上がり、ビシッと敬礼する。




「おう、お疲れさん。いいから座ってろ。疲れてるだろう」



と、




「ん~…………」




チーフがふにゃりと寝言を言う。



すんすん、とひな坊の服を嗅いでいる。




「んん……とこあいすとって……めんにいれるから……」




そう言ってまた、すんすんと匂いを嗅ぐと、ひな坊の肩にくっついて夢の中へ戻ってしまった。らーめんにチョコアイス?どんな夢なんだ、まったく。チーフの頭の中はカオスのようだ。こりゃぁ相当、疲れが溜まってるな……。




「あぁ……いえ。チーフほどでは……ないかと」




起立したままの俺は、それを見て正直な感想を述べた。




「あはは! そうかそうか! なら命令だ、そこに座れ」




「ども」



課長は笑いながら椅子を指定してくれた。礼を言って素直に座る。



「アーロン、もうひとつのベッドは? 余ってなかったのか?」



課長は不思議そうにチーフを見る。俺は冷や汗と気まずさ全開だったが、それは気合いで放り投げて、質問に応える。



「あぁ、動かせなかったもんで……」



「うん? ああ、なるほどな、しがみついてるのか。はははっ、確かにこれは無理だな!」



「でしょう?」



「ああ。それでお前が二人のお守り役か。ご苦労さん」



「ども」



課長も余っている椅子に座り、二人を眺める。ひな坊の呼吸で腹部が上下し、それにつられてチーフの体が上下する。ほぼ同じタイミングで、チーフ自身の背中も自らの呼吸でやはり上下していた。静寂の中、二人分の寝息が淡々と病室を満たす。先に沈黙を破ったのは課長だった。



「ダンは向こう(死神)に礼を言ったって?」



「えぇ、倒れてマリーが駆け寄ると、すぐに起き上がって。というのも……右、左、両方の袖口の針に気付いて奴を抑える寸前、地面の石にちょっとばかし躓いたらしいんです。それで一瞬避けるのに遅れて危なかったって、礼を。あぁ……なんだっけか、あの大騒ぎの最中にチーフを飲みに誘ってた、あのチャラい奴……え~……」



「アレンか?」



「ええ、そうです、そいつに。ご存じで?」



「まぁ……要注意人物は一通り、な」



「あぁ……なるほど。」



気まずさよ、再び。負けるな俺。



その中には間違いなく、すやすやと眠っているこいつも載っていることだろう。



「それで……礼を言ったあと、ふらっと意識が無くなってここに。まぁ……もう大丈夫そうですがね。」



「そのようだな」



課長は優しげにそっとひな坊の額を撫でる。ひな坊はううん、と身動ぎをして、額をチーフにすり寄せた。せっかくの俺の努力を無駄にしやがって、こいつ。



「うん? ははは! 分かった分かった、ちゃんとかぶってろ」



課長はそっとひな坊の掛け布団をかけ直す。


大人だ。



「お前もだ、ケイト」



しかし、ちゃんとチーフの毛布も直してやるのも忘れていない。だが、この人はこんなにのんきにしていて良いのだろうか?



チーフの額をそっと撫でる課長に、俺は話かける。



「それにしても、まさか確保がブッキングするとは……」



向こうは過激派から。そしてこちらは、13地区分署からの情報で本庁の二課・三課との合同捜査、双方それぞれの方法であの男を確保しようとして、この有り様だ。



「全員ですが、中でも特に三課は歯軋りしてますね」



「原票か? まだ低いが望みはあるぞ?」



「捜査の結果、皇主様とは何ら関係ないことが確定され、こちらに再度引き渡しになれば、ですね」



「ああ、その通りだ。もしそうなれば、三課にとったら吐いて捨てるほどの原票が手に入る」



「なんたって犯罪件数があれっすからねぇ……」



平凡で、どちらかといえば素朴なナリをしていて油断しがちだが、とんでもないやつだ。三課での異名は“宝箱“、または“原票印刷機“。給料や評価に直結するからだ。二課では”キリ”。霧のようにつかみどころがなく、すぐに身を隠して居所が分からなくなるからだ。俺ら一課では異名は特にないが、敢えて言うとたら”鞄屋”か。それで通じる。治安の悪い13地区で珍しく大きな取引をしようとしてしっぽを出したので、ようやく捕まられると思った矢先だった。



「食い逃げから万引きに空き巣に置き引き、スリ、偽札偽造に贋作売り、カード不正利用に詐欺全般、そして主な生業である麻薬の売買と使用。個人商店ばかりを狙った強盗に、盗撮とストーカー。分かっているだけで合わせて軽く500件はいく。被害届の出ていないものも含めれば、相当数……まるで犯罪の卸売り市場だ」



そう……日ごとの生活資金を得たいがために、奴はありとあらゆる犯罪に手を染めている。一度も定職についたことがないのだ。いや、本人からすれば薬物売買が定職のつもりなのかもしれない。ただ、奴には自分がどれほど非道なことをしてきたのか、しっかりと自覚させてやらなければならない。あの男のせいで人生が変わってしまった人が、大勢いるのだ。



「ちなみに、確率は低いんでしょう?」



「そうだな……確率は、0.1%以下だな。まあ無くはない、程度だ」



「なるほど……風前の灯火ですね。それじゃ、マジ泣きしていた三課のクリフのために、今週末は教会に行きますかねぇ。にしても……いったい何があってそんな外道になったのやら……。チーフが言ってましたよ。ここまでになるまでに、被害者は勿論、奴自身のことも早く()()()()()()、と。」



「ふっ……ケイトらしい言い方だな」



「ええ、実にそう思います」



「教会にいくならアリソンと行け? 二課のアビーのためにもな」



「嫁とですか? アビーのためってなんでです?」



「その方が精霊の主様からのウケが良さそうだろ? 仲良し夫婦で行って、目一杯、媚びを売ってこい。アビーのやつ、悔しいからってチョコレートをやけ食いし過ぎたんだ、気分が悪くなったらしい、医務室のアイリーンのところに駆け込んでいた」



「昨夜ですか?」



「いや、さっきだ。この病院に向かおうと本庁を出る時に、付き添いのミシェルに抱えられているアビーを見かけてな。自分の方が食べてたのにって、ミシェルがため息をついていた」



「ははは!そういうことでしたら、分かりました!この会話すら精霊の主様はお聞きかとは思いますが、一応、ダメもとで行って来ますよ。クリフとアビー、あとミシェルのため、ですからね」



「おう。是非そうしてやってくれ」



「ああ、それと……あちらさんから」



「ああ、聞いたか? あの男の針から、即効性の毒が検出されたってな」



「ええ。少しでも肌をかすめていたら、ヤバかったはずです。助かりました。やり方はかなり、乱暴ですが……」



「確実な方法を取ったんだろう。ダンをぶっ飛ばして奴から遠ざけ、針の毒は他の捜査員に飛ばないように、そしてちゃっかり奴を確保し、」



「自分達で取り調べを……ですね」




「そうだ。乱暴という点について、否定はしないがな」



「アレンって奴。俺達に、手伝いご苦労さん、なんて言ってましたよ」



「上には元老院があるからな…どうしてもそういう奴もいる」



「相当握ってるとか?」



「位置付けは、皇主様の教育機関やあらゆる取り決めの門番だからな。予算も権限もガッポリだ。なんとか巧くあちらより先に情報をモノにして、この事件の結果を出さないと……」



「出さないと?」



向こう(死神)がこちらの監督庁となる。」



「マジっすか?向こう(死神)の失態でしょうに……逆じゃないんですか?」



「そこまで豪語するからには、失態ではない何か正当な理由があるはずだ。 監督庁としてこっちの組織の上に向こうが置かれれば、色々と面倒なことになる。予算削減、権限掌握、捜査方法が違うことからの軋轢。いきなりみんな仲良しで万事円満とは、なかなかいかないはずだ。歯車は軋み、そのうち壊れ、結果犠牲になるのは、」



「罪のない一般市民、ですね。元々無理があると昔から言われているでしょうに?」



「何も分かっていないクソじじい(元老院)どもだ。誰かが急に言い出したんだろう。どうせ賄賂だ。向こうの大佐もお嘆きだったな。ケイトから聞いてないのか?」




「ああ、いえ……まだですが」



「珍しいな、忘れていたなんて……ああそうか、言う矢先に今回のこれか」



「なるほど。奇襲作戦をするってなったのも、いきなりでしたからね」



すると、



「むぅ……」



自分の名前に反応したのか、チーフがもぞもぞと毛布の中で動いた。



「ん~……ぅぅん………ぁよう」



チーフは、うにゃうにゃ言いながら顔を持ち上げた。ひな坊を見てもう大丈夫だとすぐに理解したようで、視線はそのまま、ふんわりと微笑んだ。


「……めん、アーロン。ありがと、交替する……っひゃ!」


「っと」


「あ、ありが……と、ゲイリー? 」



俺に話しかけようとしてベッドからずっこけたチーフを、課長が咄嗟にキャッチした。チーフは課長に礼を言って、ベッドに再度腰かける。


「俺は大丈夫なんで。お気になさらず」


俺は短くチーフに応える。前の日は非番だったから、全く問題ないのだ。こんな時くらい、存分に甘えりゃいいんだ。


「ありがと」


チーフはちらっと俺を見て嬉しそうに返答する。大分疲れは抜けたようだ。だが、まだ気になるのか、視線はすぐに、未だに眠っている間抜け面に戻した。



「思ったよりも大丈夫そうだな」



課長はそんなチーフを見て、様子を伺うかのようにそろそろと言った。



「うん、良かった。あとは微熱が下がればバッチリね」



「微熱??」



チーフは視線をベッドに向けたまま、振り返らずに課長にそう言い、さらっと自分の服の袖で間抜け面のヨダレを拭ってしまう。そして、奴のおでこに自分の左手をあてがった。右手は自身のおでこに当てるが、



「んん……私の手じゃ冷たくて駄目ね。ゲイリー、ちょーだい」



しかめっ面をして課長の手をぶん取った。課長の片手をひな坊に、もう片手は課長の頬に無理矢理当てる。



「どう?」



「確かに少し高い……か。お前、よく分かったな」



「いつもよりぽやっとして、顔が赤いもの。あなたの場合は鼻声になるから誰でも分かりやすいんだけど……」



「見るだけでよく分かるな」



「大事な仲間だもの、ちゃんと見るに決まってるでしょう」



「ほぉ……アーロンは?」



「咳払いをしていたら、風邪薬を飲ます」



「アーロン、どうだ?」



「すげぇ……大体当たってます」



「ははは!」



「仲間の体調管理は、じょーちょーの役目だもの」



チーフはベッドに座ったまま、楽しそうに腰に拳を当てて、わざとらしく偉そうなポーズをとった。課長を見上げて、ね?と言う。


「ん……あぁ、まぁな」



ふい、と不自然に視線をひな坊へと反らして、課長は言った。きっと今の仕草で、妬いた分のお釣りはくるだろう。



その時、またノックがした。課長が入室を促す。入って来たのは、昨夜チーフがロイと言っていた男だった。



「先程はどうも」



「おう、こちらこそ。大佐にも感謝の意は伝えた。部下にも宜しく伝えておいてくれ」



課長が一言ロイさんに告げて、ロイさんは静かに礼をした。上は対応済みで、どうやらチーフに会いに来たようだ。



「何?」



何かを話そうと口を開けたロイさんを遮って、チーフは椅子から立ち上がり、つっけんどんに言った。ロイさんはちらりとベットで眠るひな坊を見る。無表情な人だが、やや眉毛はへの字だ。



「乱暴なやり方で、すまなかった」



「そう……一応自覚はあるわけね」



「……。」



仏頂面でチーフは腕を組む。



「 でもまぁ……とにかく……そうね、」



「……。」



「ある一点には目を瞑ることにして……一番安全で確実な方法をあなたは取って、部下に指示した。抗議として、私はあの場であなたとアレンを背負い投げして、一発お見舞いは済んでいるし、そもそも気絶する前にダンは礼を言って、抗争にならないようにそっちの顔を立ててる。だから……彼の考えを尊重する……ことにする、我慢して。仕方ないもの」


ツンツンしながらチーフは言った。課長は俺をちらと見る。


そうなのだ。チーフは礼を言いながら、二人をまとめて背負い投げした。撃たれどころが悪ければ死んでいたが助けてくれてどうもありがとう、とな。そしたらアレンが、そんなヘマする奴はウチのメンバーには成れませんし大丈夫ですよ、なんて言ったもんだから、チーフが反論する前に俺がチーフを抑えた。


隠してたな?と課長が囁いたから、俺は肩をすくめて課長の突っ込みを流した。



「だからその、ショボくれた松ぼっくり顔は止めて」



「松ぼっくり?」



課長が思わず突っ込みを入れた。



「まだ5歳の時よ。私が食べるはずだったクッキーをロイが間違って食べちゃったの。私は怒ってキンバリー家に二度と来るなって怒鳴って、家から追い出した。それでロイが詫びだって言って持ってきたのが、松ぼっくりよ、クッキーじゃなくて。野花や木の実で飾り付けしてる、松ぼっくり。その時も今みたく、こんな顔してた。大体あなたはズレてるのよ、松ぼっくりなんて食べられないじゃない!」



こんな顔、のところで、チーフはロイさんの顔を指差した。無表情なロイさんの表情はいっそう、への字になる。



「まあ、ケイト、穏便にいこう。ダンは危ない所を助けてもらって、結果無事なわけだしな。ほら、」



課長は脱線しそうなチーフの肩をやんわり抑えると、チーフの体をひな坊の方にくるりと振り向かせた。チーフはたまに、こうなる。



「すやすや眠っているぞ? 微熱も少し下がった気がする」



「そう? 」



上手い、嘘は言ってない。気がする、だからな。



「すぅ…………すぅ…………」



ほんの数秒、ひな坊の気持ち良さそうな寝息だけが病室を満たした。



「そう……ね。あ、そうそう。ロイに聞きたいことがあって。ちょっと時間、いい?」



チーフが落ち着いた。ロイさんに話かける。



「ああ。俺も聞きたいことがある」



「うん、分かった。あの、少し出てくる」



「おう」 「こっちはお任せを」



二人はそう言って、病室を出た。



扉が閉まると、



「ケイトが心配している、早く起きてやれ。昨夜みたく泣かれるのはもう勘弁だろう?」



課長はそう言って、もう一度優しく、ひな坊の頭を撫でた。



「ん……」



僅かに身動ぎをして、やはり課長の手とは反対に顔を背けてしまった。おいおい、マジで止めてくれ。課長は笑いを堪えているようだが、俺の寿命が縮む。


そしてひな坊はベッドを手でぽんぽん、と叩き、何かを探す。そして見つけたと言わんばかり課長の上着の裾を握り、顔の向きを課長に戻して、




「すぅ…………すぅ…………」




そのまま落ち着いてしまった。安心したのかほっとした表情だ。きっとチーフの服のつもりなんだろう。ただそのせいで、俺の寿命はいっそう短くなった。



すると、



「アーロン、悪いがコーヒーを頼む。一応、3人分な」



掴まれている裾はそのままに、課長はチーフの代わりにベッドに腰掛けて言った。



「コーヒーっすか? 」



「ああ。頼む」



「……。かしこまりました」



課長はひな坊を優しげにみつめている。おいおい、代わりにスパイしろってことか?命令されれば従わないわけにはいかない。仕方なく俺は部屋を出た。



二人は、少し離れた場所にある病院関係者専用の部屋に入って、鍵をかけてしまった。


俺が部屋の前でうろうろしていると、通りすがりの看護師が利用は許可したと言ってきた。



そこで仕方なく、隣にある患者や家族用の多目的ペースに回り、バルコニーに出た。落下防止用に、透明の特殊な板で、上から下までバッチリ覆われている。チーフとロイさんのいる部屋にもバルコニーは伸びている。俺は課長からこそっと受け取った課長の通信機に電話をかけて通話中にし、ほんの少し隙間がある通気孔にひっかけて二人の会話を拾わせる。自分の通信機を耳に当てる。



「……って死んじゃったかと思って……ヒック!」



「すまない、悪かった」



「ごめんで済んだら警察は不要よ! 5年前、強盗犯が撃った実弾が仲間の腕をちょびっと掠めただけで、すごい出血だった! その彼は未だに怪我の跡が残ってる! 今回はお腹よ! すぐにゴム弾なんて分かんない! ゴム弾だって危ないんだから! よりにもよって私の仲間に! あなたの部下が! そっちの組織にいるなら分かるでしょう!? 」




5年前……俺の話だ。もういい加減、大丈夫だってのに。事あるごとに、怪我の跡を擦ってくる。基本的にチーフは、お節介で世話焼きなのだ。




「だから悪かった。ほら……そう泣くな、妹」



「私が姉、あなたは弟よ、きょうだい!」



「分かった分かった、それでいい。」



ロイさんが冗談を混ぜたようだ。幼馴染みで家族同然だと言ってたな。やっぱりチーフは、泣くのを我慢していたようだ。


「ん。泣き止んだ。ほら! 」



「いちいち煩い。分かっている」



お、さすが腐れ縁、泣き止んだようだ。



「でも、感謝もしてる」



「それも分かっている。本題だ。譲る」



「分かった。ここを調べて」



「調べる? その袖口を? なぜだ?」



「いいから調べて」



なんだ? 何かを直接言うのを躊躇っているのか?調べる対象は袖口。チーフが自分では出来ないことか。そんなものがあるのだろうか。いや、ある! 科学鑑定、遺伝子のことか!?



「調べる………………………?」



「そう。調べて」



「わざわざ依頼………そっちになくてこちらにあるもの………って、まさか!」




「そうよ、お願い」



「いや断る。いつから調べているのかは知らないが、捜査は今すぐに止めろ。資料はどこにある? 渡せ。」



「い、嫌よ!破棄する気!? まだまだ調べなくちゃいけないことが山盛りなのに! 」



「おいまさか……再会させようだなんて考えてないだろうな?」



チーフの返答がない。沈黙のようだ。



「お前、自分が何をしようとしているのか分かって!」



「分かってる!」



チーフが、ロイさんの発言を遮った。二人とも口調は激しいが声量は抑えている。



「ちゃんと、分かってる」



「今更祭り上げたところで、派閥争いになるだけだ!お前は勿論、本人だってどんな目に遭うか分からないんだぞ!恩恵や利権を抱え込んでいる連中が、簡単に半分を手放すとは思えない」



「可能性の話でしょう!なら、上手くいく可能性もある! 半分じゃなくて一部でもきっと食い付く人が、」



「一部でも半分でも同じだ」



今度はロイさんがチーフの言葉を遮った。何の話かは分からないが、事態は深刻だ。



「止めておけ、引き返せ、諦めろ」



「嫌よ! 私は諦めない!」



「我が儘はよせ、証言しろ。通常任務とは別に、俺は今、特秘指令を賜っている。これを……俺の髪を奴のものだと、こっそりハサミで切るのを見たと言え。それで」



「もみ消して、ウソっぱちの死んだ両親を用意でもして、本人を納得させろって言いたいの?」



ロイさんの沈黙だ。



「私はここ1年くらい、勝手に調べてた。彼は普段、何の支障もなく仕事をしてる。でも時々、無性に寂しそうな……感情のない空っぽの……なんだかまるで人形のような表情をする。ふとした時に……だけどね」



チーフは少し間を置いた。



「続けてくれ」



「彼はこう言ってた。“皮だけ被った偽物みたいな感覚だから、戸籍に登録されている今の名前を使うのはなんだか罪悪感があるって。自分の中にぽっかり穴が空いていて、自分は一体何なのか時々分からなくなる。この世界のどこにも、自分は存在しない、自分は一度も、この世界で生きたことがない”。お酒を飲ませたら……そう……愚痴ってた」




「ふむ……。他の仲間は?」



「いいえ、まだ何も。ある捜査の打ち上げで、他のみんな全員眠りこけていて、ちょうど二人で話すタイミングがあった時に酔わせて聞き出したの。ブランデーやスピリタスは全っ然平気なのに、ウィスキーは駄目、中でもスコッチは爆弾ね。色々としゃべり始める。まぁお蔭で……調べ始めた訳だけど」



「なるほど……。そうか」



「とにかく!あんな顔、私はもう二度と見たくないし、させたくない。彼は自分のルーツを知りたがってる。当然だと思う。自分に何があって、一体どこから自分は来たのか、エミリー……えっと、母親兼姉替わりとして、あらゆる世話を焼いた人に出会うまで、自分はどこにいたのか。真実を知る権利を行使させてあげたい。なんとしても、この手で救いたい。リスクを取ってでも、ちゃんとここで、みんなと一緒に生きてるって、実感させてあげたい。偽物の平穏なんて彼は望まない、例え超絶ハイリスクでも、リターンの方に賭けるはず。だって、」



「賭けに負けたことがないから、か?」



「そう……そうよ。でもどうして……?」



「ジェイクが興味本位で俺に依頼したんだ。どんな人物かだけ、以前に少し……調べたからな」



お兄ちゃん?とチーフは呟くが、



「そう……。ところで、」



今はとりあえず流すようだ。話を続けた。



「あなたの言ってた話って……さっき言ってた嘘の証言の依頼、よね。その話は断るわ」



「……。」




「お願い! いざって時は、私に殺すぞって脅されたって言っていい!」



「駄目だ、そう言われても話を聞いてしまった以上、俺は」



「分かった!じゃ、あなたは私と口論してる夢を見てた!で、今目覚めた!嫌な夢だったなぁ、なんて思ってたら、私からある依頼をされた…………んと………そうね………例えば……うん、どうしようかな………あ~……え~とね、ちょぉーーっと待ってね………んと………」



「はぁあ……ったく。――――俺は昼寝から起きて、この布袋を落とした。そして、職場へと気付かずに戻る」



ロイさんが特大のため息をした。そして、何かがポサッと落ちる音がする。



「……。」



「実に嫌な夢だった。失敗したら最悪、斬首刑よりも酷い目に遭うに違いない。夢の中の妹は、失敗の回避にさぞや苦労することだろう。例え崖っぷちになっても、引き返しもしない、攻めの一択……一度やり抜くと決めたら頑固だ、絶対に止めない」



「ロイ……」



「全く、夢で良かった。助ける必要もないしな」



そしてバタンと、扉がしまった。少し時間を開けてから、もう一度、扉が閉まった。通信機を回収し、おれはコーヒーを買いに行った。


















「戻りました」



肘で扉を押し開けるとすぐに、



「ご苦労さん、コーヒーはそこに置いてくれたらいい」



課長が扉を持ってくれた。特に何も、という意味で、俺は小さく首を横に振った。課長は二度、小さく頷く。承知した、と、礼の意味だろう。話から察するに、チーフは独断で動きたいはずだ。




課長はにやりと笑みを浮かべながら、ベッドの方を指差した。



相も変わらず、ひな坊は気持ち良さそうに眠っている。



チーフは既に戻っていて、ベッドに腰掛けながら、音を消している病室のモニターを見ていた。モニターには、何かの料理番組が映っている。そしてチーフはペンを持っている。



おそらく、奴が起きるまでの時間がヒマで、しかし仕事の書類は外部への持ち運びが厳禁のため、何もすることがないのだろう。


自分の昼飯用に写して――――――?



「モモ肉が200……卵とパン粉じゃがいもに人参……ああ、ちょっと待って、玉ねぎにローリエが?」



「1枚、です。塩コショウは適量、と」



俺は助け舟を出した。出したのだが…………。



「よし書けた!ありがとーお蔭で助かっ……あ!」



チーフが固まった。それはそうだろう。



「どどどどうしよう………顔に書いちゃった」



「チーフ……それ、油性ですよ」



慌ててハンカチを鞄から取り出すチーフに、俺は捕補足事項を追加する。チーフは一応、奴の頬をハンカチで拭ってみるが、効果は全くなさそうだ。



「ゲイリー、なんで言ってくれないのよ!」



「いや……俺はてっきりわざとかと……」



課長は腹を抱えて体を震わせている。笑いを必死に堪えているようだ。


と同時に、チーフが動いた弾みで、床に何かが落ちた、



小さなメモ帳だ。



なるほど、このメモ帳に書いていたつもりだったのか。



奴の頬には、料理の手順からレシピの材料まで、事細かにしっかり記入されている。チーフはよほどこの料理を食べたいらしい。ここで一旦火を切る!なんてことまで書いてある。



「どーしよう……怒るかなぁ……怒るわよね……」



「俺ならまあ、とりあえず一発っすね」



「まあ、そうよね……。でもまあいっか、もう書いちゃったし!消される前に、通信機で写真撮っちゃお。大体、いつまでも寝てるのが悪いのよ…………それ!」



チーフはさらっと結論を出し、通信機で写真を撮る。フラッシュがたかれ、病室が一瞬、明るくなった。



「よぅっし、撮れた! 見てゲイリー、これかわいい!」



おいおい、いいのか、それで?



「マリーに見せてやれ。明日の全国紙朝刊一面、全部がこの写真になるぞ」



「あはは! それ言えてる!」



待ち受けにしようかなぁ、お揃いにしない?なんてことまで言って、チーフは課長と笑っている。



出して出して、とチーフが課長の腕を引っ張って通信機を催促していると、



「ん……」




ようやく起きた。



すげえ。 抜群のタイミングだ。



お揃いの待ち受けを阻止しやがった。



「ダン、良かった。大丈夫?」



チーフは課長から離れてすぐさまベッドに寄り、奴の顔を覗き込む。



「んん……オーナー?」



ゆるり、と目を開けて、チーフと奴、二人の目が会う。



オーナーって、誰のことだ?



チーフは一瞬、また心配そうな表情をしたあと、すぐに表情を戻した。



「ううん、大丈夫。私よ」



仕事モードの表情だ。



チーフは何のことか、知っているのだろうか。小さく欠伸をするひな坊の額を、チーフはそっと撫でる。同時に、もう片方の手で課長と俺に向けて合図をした。



話せない、か。



正しくは、まだ話せるほど情報を集められていない、だろう。



チーフが調べてこれじゃあ、相当な大物が後ろにいるに違いない。どうせこの人のことだ、ロイさんには1年前と言っていたが、それよりも前から調べていたんだろう。どこまでもこの人は、誰かを助けることにしか頭にない。



仕方のない人だ。




「ふありぃ……」



「うん?」



寝ぼけているのか、ふにゃりと奴が言った。



ふありぃ?チーフを見て奴が思いそうなこと……ふから始めまる。古代世界共通語の、妖精か? にしてもなんで寝ぼけて言うのが古代語なんだよ。



「あはは!寝ぼけ過ぎ。ほらほら、私が調子に乗る前に早く起きて」



「んあ……ったますよ……ふーん……んん……起きた……ました……です」



奴はぽやっと甘えた寝ぼけ声でそう言うと、ふにゃりと伸びをした。やれやれ……“合ってます“だろう。



「ふふっ……はいおはよう、無事で何よりだわ」



何かのツボに入ったらしく、クスクス笑いながらチーフは答える。



まだベッドに寝転んだままの奴は、パサリとひとふさ落ちたチーフの髪を、ちょいっとチーフの左耳にかけると、



「……すみません、ご迷惑を」



チーフの耳にかけた髪にそっと触れて、柔く微笑んだ。さらに俺の寿命が縮んだ。



「謝るのは私の方、ごめんね、許して、いいわよね?」



切々とチーフが言う。嫌な予感しかしない。



「はい? はあ……まあ……いいですけど何のことです?」



「そう言ってくれると思ってたありがとうっ! 優しさに握手! そして逃げる!」



「はい?」



チーフは熱くひな坊の両手を取り、ぎゅっと握ってそういうと、慌ただしく荷物をもって病室から逃亡した。



バディだから分かる。マジの全力疾走だった。



「せんぱい?」



ひな坊は俺を見た。俺は病室の洗面台にある鏡を指差した。ひな坊は不思議そうにゆっくりとベッドから降りて、スリッパを履き、ぽてぽてと鏡の前に立つと、







「だあ! ちょっ! なんですかこれー!?」








かわいそうな悲鳴が病院中に響いた。




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