3、壊れる夏
あの海での出来事から数日経った。
その数日間はもちろん受験生の意識を持ち、俺は真面目に勉強をしていた。
だが、居候の天は全く勉強しておらず寝腐っていた。
全くだ…
〜青天の霹靂〜
8月9日土曜日、天気は晴れ、午後3時。
…元気か譲?
(うん。元気だぞ。シルムはしっかり休んでたか?)
…休んだよ。えっと…邪魔になりそうだからまた暇になったら話しかけるね
そう言ってシルムは静かにしていた。
その話をした後、譲は自分の部屋で真面目に勉強していた。だが…
「ゆっずる〜!!」
どか〜んと譲の部屋の扉を開けて天と奏大がやってきた。
「なんだよ?うるさいな」
「いやいや、なんだよじゃないよ!?今日は何の日か分かるよな?」
天が鼻息を荒くして言った。
「さっぱり何の日か分かんないだけど?それとその鼻息を荒くするな」
「全くだな〜。本当に分かってない…あぁ〜神様このアホをどうにか助けてください」
(アホはどっちだよ…)
…ナイスツッコミ!
(いやいや、もうそろそろツッコミは疲れてきたんですけど!?…ってかツッコミ役なのか俺は!?)
…ん〜…ツッコミ役という天職をもらったんだと思うよ良かったね〜
シルムは嬉しそうにそう言い拍手をして笑った。
(よくねぇ〜よ…こっちの身にもなれよ…)
そんな事を話してると奏大が話しかけてきた。
「橋本さん!今日は神社の祭りがあるんですよ?」
「神社の祭り?そうだったっけ?」
「おいおい?譲?大丈夫か?どっか頭打ったのか?」
「打ってねぇよ」
「あ、はい」
「…それで?その祭りがどうした?」
「橋本さん。その祭りに行きましょうよ」
「そうだ!譲!浴衣の着ている女の子が沢山いるんだぞ?彼女候補沢山!」
「なるほど…天の言ってる事は理解しないが奏大の言ってる事は理解した」
「やった〜。ありがとう橋本さん」
…やった〜。ありがとう譲〜
「え〜!?なんで奏大の事は理解出来て俺のは理解出来ないんだよ?リア充になれる大事な機会じゃないか」
「いやいや、そもそも俺、別にそうなりたいわけじゃないし…奏大は純粋に楽しみたいという気持ちが伝わったからだ」
「そんな〜」
「まぁ?そんな目的じゃなければ一緒に行っていいんだが?」
「分かったよ〜…純粋に楽しむよ…」
天は譲の言葉にしょんぼりしてそう言った。
「それじゃ行きますか」
〜予定変更〜
俺らの住んでる場所の近くの神社は祈叶神社という。
歴史は古く、その神社の名前通り、祈れば叶うらしい。
今回はその神社で祭りがあるので、行く事になった。
俺の家からもそんなに遠くなく歩いて5分くらいで着く。
5分くらい歩いて神社へ着いた。
神社の様子は屋台が沢山出ており栄えていた。
「着いたな」
「着きましたね」
「彼女候補沢山!」
3人は神社に着いてそう言った。
「橋本さん。僕はラムネが飲みたいです」
「そっか。よし買いに行くか。おい天?行く…ぞ?」
天の姿が見えない。
(どこいった?)
辺りを見回してると「橋本さん。あれ」奏大が指を指した。譲がその方向を見ると天がいた。
「おい天。探したんだぞ?」そう言って近づいた時「あぁ〜なんだ…譲かよ。可愛い女の子が俺の元へ来たのかと思ったよ〜」
カチンと頭に来て「奏大。天はもう放っておこう。さ〜て奏大!何する?」
「ごめんなさい譲様。許してくれ〜」
そんなふざけた話をしてから祭りを楽しんだ。
時間が過ぎて祭りが終わりそうな雰囲気になってきた。
「なぁ?譲?このまま帰るのはつまんないから肝試しをしようぜ?」
「はぁ?何言ってんだよ?奏大もいる事忘れんなよ。それにどこでやるんだよ?」
「そうですよ!僕もいるんですよ!忘れないでください!」
「まぁまぁ2人とも落ち着いて。場所はここ、祈叶神社。奏大はもちろん男だから怖くないよな?」
「え?僕は怖いです。無理矢理連れて行こうとしないでください!」
「おいおい天。嫌がってるだろ?」
「あ、でも橋本さんと一緒なら行きます…」
「お?流石だな奏大!では行きますか!」
「おいおい〜奏大君!?何してくれてんの〜?」
「えへへ。許して下さいね橋本さん!」
(そんな…奏大までにもこうされる日が来るとは…)
こうして俺らは肝試しをする事になった。
〜肝試し?〜
祭りが終わり物静かになった神社を前に各自、幽霊が出てきた時用に武器を持ち、俺ら3人は立っていた。
奏大はラジコン。
天はペットボトル。
そして譲は傘。
(こんなんで幽霊は倒せるのか?…そもそも見えなかったら意味ねぇ〜…)
雰囲気も暗く今でも幽霊が出てきそうな感じだった。
「橋本さん…めちゃくちゃ怖いですね」
奏大はガクガクと体が震えていた。
(確かに怖いな…)
「おい…天。帰った方がいいんじゃねぇか?」
「何言ってんだよ譲。これからが楽しいんじゃねぇか」
そう言いつつも天は顔が青ざめていた。
「そう言ってる天だって本当は怖いんだろう?」
「え!?…そ、そんな訳…そんな訳ないだろ?ハハハ」
(全く…駄目だこりゃ)
「とりあえず行くんだな?」
「橋本さん…す、凄いですね…ぼ、僕…もう怖いです…」
「何言ってんだ?奏大!行くぞ」
と譲は奏大の手を取り、神社の中に入った。
匂いは祭りの後だからか食べ物の匂いや火の匂いなど沢山の匂いを感じた。
…流石だな譲。根性あるよなぁ〜。
(うるさいな。俺だって怖いさ)
「なぁ?天?どこまで行くんだ?」
「そ、そうだなぁ…け、境内のあたりまで行っても、戻って来よう」
「え、そ、そんな遠くまで行くんですか?」
祈叶神社の境内はとても遠く歩いて5分はかかる程の距離。
「はいよ…」
3人は幽霊に怯えつつも境内へ向かった。
ガサッガサッ…
階段を上っている途中に木々の間あたりから物音が聞こえた。
「き、キャー!!」
「き、キャー!!助けて橋本さん!」
2人は譲の後ろに隠れた。
「いきなりデカい声出すなよ。俺もびっくりするだろ?それに後ろに隠れてどうするんだ?お前らだって武器を持ってるんだから使えよな」
「だって…怖いんだもん…」奏大は涙目になって言った。
「そ、そうだよなぁ〜。俺も武器をも、持ってるんだもんな〜。こ、こんなんでビビってねぇし!」天は相変わらず強がった。
(おいおい…)
…確かにびっくりしたな。
(まぁ…そうだな)
「おい、よく見ろ」と譲は指を指した。
その音の原因は風で木と木がぶつかっている音だった。
「な〜んだ木だったか。驚かせやがって」
奏大は膝から崩れて今にも泣きそうになっていた。
「さっさと境内行って帰るぞ」
そして3人は再び境内を目指し歩いた。
残り境内まで少しとなった所で3人はあるものを見つけた。
境内の賽銭箱の前でウロウロ周りを見渡している1人の男がいた。
「おい、あれ怪しくねえか?」
「怪しいですねぇ〜」
「何をしてるんだ?」
3人が遠くで観察しているとその男は賽銭箱を開け始めた。
「おい、天。あれ賽銭箱からお金を盗むやつじゃねぇか?」
「そうかもな…よし、俺は警察に連絡しとく。その間捕まえといてくれ」
「分かった。行くぞ奏大!」
「はいぃ〜!」
男にゆっくりと近づいて
「おい、何やってるんだ?」
そう言うと男は焦ったのかいきなり走り始めた。
「おい、待て!奏大、ラジコンで追いかけてくれ。それと今だと言ったら突っ込んでくれ。」
「分かりました!」
境内を一周できる形になっていた為、奏大は車のラジコンで追いかけ、譲は奏大と逆方向へ走って挟み撃ちになるように追いかけた。
男はラジコンと譲に挟まれた。
男の方はまだ諦めてないようで逃げ道を探すようにキョロキョロして逃げようとした。
「全く…神社で賽銭箱の中身を盗もうだなんて…罰当たりか!」
譲がそう言うと男はそれに怒りを感じたようで譲の方へ走ってきた。
「奏大!今だ!」
奏大にラジコンで男に突っ込むように合図を出した。
ラジコンは猛スピードで走り男に突っ込んだ。
男は転んで気を失った為、縄で縛っておいた。
しばらくして天が警察を連れて来た。
「お〜い譲、奏大。怪我はないか?」
「あ〜奏大も俺も大丈夫だ」
「そっか。なら良かった」
そんな会話をしてると男は警察に連れて行かれて行った。
(これでやっと帰れる…)
そう思った時に1人の警察官が
「あれ?貴方達は前に海での騒動があった時にも居ましたよね?」
「あ〜…はい」
そう言うと「今回もまたお手伝いをしていただきありがとうございます。後日お礼をお渡しさせてください。」
(なんだこの警察官…)
譲がそう思っているうちに一礼をしてその警察官は去って行った。
こうして祭と肝試しは終わった。
(全く…大変な1日だった…)
…そうか?楽しんでたと思うよ?
(そうか?色々ありすぎて、夏休みなのに全然休めてない)
…受験生が何を言うの?
(あ、そこは受験生ってみなすのね)
…もちろん
家に帰り、天と奏大は寝て、譲は椅子に腰をかけてシルムと話していた。
時計を見ると日付が変わって10日になっていた。
(おい…待てよ…夏休みは確か8月31日までだよなぁ?)
…違うよ?11日から学校だよ?受験生だからって先生言ってたじゃん。
(え…マジかよ…最悪だ〜…俺の夏休みが〜…)
そう嘆いてから譲は学校の準備をして寝た。
めっちゃお久しぶりです!
ばっしーです
ちゃんと生きてますw
最後の投稿から1年以上経ってますが個人的に忙しかったので出せてませんでしたm(_ _)m
またこれからも続きを書いていくつもりなので気長に待って見てくれると嬉しいです
お願いします。