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2、壊れてる夏休み

「契約を結ぼうじゃねぇか!」

シルムと契約してから俺の夏休みは痛い針の上だった…夏休みは大事な休みなのに…

くっそ〜…なんであんな事ばっか起きるんだよ…

思い返す事、夏休み…


〜めんどくさいルームメイト〜


「暑っち〜…マジ無理…」

譲は、手に団扇を持って仰いで横になっていた。

俺らの学校は7/20から夏休みが始まった。

今日はその7/20。

空が青く、ギラギラ太陽が顔を覗かしていた。

「なぁ〜暑いな」扇風機の前に天が居る。

「ってか夏休み初日から何で俺の家に居るんだよ」

「え?いいじゃねぇかよ〜」

「いや、意味わかんねぇからね?」

「ってか夏休みだけ居候させてくれない?」

「はぁ?何でだよ?」

「いいじゃねぇかよ〜お、ね、が、い♡」

「分かったから…キモいからやめろ」

俺の親は旅行に行っていて、今は俺とシルムだけだ。

(まぁ…天が何もしなければいっか)

「んじゃ…この問題に答えて正解したらな」

「え〜…なんだよそれ…ケチだな」

「まぁいいんだぜ?問題受けないなら居候させてやらねぇから」

「分かった、分かったから。もうそれ以上いじらないでくれ…」

「んじゃ問題!三平方の定理は一体どういう式だった?」

(悪いな天、この問題は解けないだろ。居候なんて元々させる気なんて無いんだよ)そう心で呟き、悪い笑みを浮かべていると天が分かったと言う。

「ふふ〜ん。譲、いくらなんでも僕を馬鹿にし過ぎだろ。その問題は解ける!答えはa+b=cだろ?」

一瞬、近い答えだったからビビった。

「残念でした〜居候は出来ないみたいですね〜。答えはa二乗+b二乗=c二乗で〜す」

「え?そんな〜…」

「これで分かったろ?居候は出来ない。とっとと帰れ!」

「待ってくれ!頼む、お願いいたします譲さ〜ん」上げ調子で天は言う。

「大体なんで夏休み中、俺ん家に居候するんだよ?」

「え〜だって親居てもつまんないし、やる事ないから〜」子供がぶう〜と頬を膨らましていじける様子だった。

…おい、譲。天が可哀想だろ?契約内容忘れたのか?人助けをするって

シルムだ。

(はぁ〜そうだったな…しょうがない居候させてやるか)

…うん。いい判断だ!

「しょうがないな〜。天、今回だけだからな!何もすんなよ?」

「やったあ〜。ありがとうございます譲さま〜。ありがたき恵みを…」

「おい…ふざけんなよ?殴るよ?」

そう言って天の横腹を軽く殴った。

「ごめんって」

「全く…」

気がつけば、外は太陽が沈み始め、暗くなっていた。

(いや、時間進むの早すぎでしょ!?)

そう心で呟き、1日無駄にした感じと、めんどくさいルームメイトがやってきた1日になってしまった。

(んでもこうやって話す事もふざけあう事もシルムと契約してからだな…なんか懐かしい)そう思い、夜がやってきたので寝ついた。


〜俺の予定が…〜


7/23、珍しく雨が降っていた。

「なぁ〜。夏と言えばなんだ?」と天が呟いた。

「いきなりなんだよ」

「よし!夏休みの予定を決めよう!」

「いや!?勝手に決めないでくれる!?」あわててそういうと「どうせ暇じゃん。」

そんなズバッと言われてしまった。(まぁ…確かにそうだな)

…いいんじゃねえか?譲!俺、海行きたい!

(もう話しに乗る気になってるなし)

「よし!じゃあまず海!それから夏祭り!そんで…」

「おい!ちょっと待て。俺ら今年受験!そんな事やってたら落ちる」

「ん?気にすんなよ〜。どうにかなるって!」

(一体なんなんだこいつの自信は…)

「よし決定な!」

…やった〜!遊び放題〜

(シルムも喜ぶなよ…全く…しょうがないか。天は一度やると決めた事は本当にやるからな〜…参った参った)

「んじゃ準備して海に行くぞ〜」

「え?雨降ってるじゃん。無理だろ?」

「え?何言ってんの?晴れるから」

(まさか、そんな事言って晴れるわけがない)と思っている矢先、外が一気に晴れた。

「え〜!?ありえねぇ!?」

「俺の晴れ男っぷりどうだ?凄いだろ?どうだ?惚れたか?」

「調子に乗るなよ。ってか晴れ男っぷりってなんだよ。ってか惚れるとか俺、同性愛しないからね!?」

「え!?同性愛をするんじゃないの!?」

「おい?ぶっ飛ばすぞ?」

「ごめんごめん。まぁ晴れた事だし行きますか」

「…そうだな。行きますか」

2人とシルムは海へと出かけた。


〜新人登場?〜


海に着いた。

「ひゃほ〜い」と天は叫びながら走って行った。

海の様子は大勢の人で賑わっていた。

家族で来てる人たちやカップルで来てる人たち、お年寄りの人たちなど。

(おいおい…いつまで子供なんだよw)

天が走った後についていった譲は周りからの目線が凄いと感じていた。

(皆さん…本当にすいません…うちの馬鹿がご迷惑をかけて…)

…おい、譲!そんな事言ってないで早く海入ろうぜ!

(ってかシルム。お前なんで傘持ってきて無いのに話しかけられるんだよ?)

…あ〜それはね……霊だからさ!本当は姿も見せられるんだけど…呪いがあって出来ないんだ。まぁ呪いを解いてくれるならいいけど?

(へぇ〜霊って本当について来れるんだなぁ…って呪いの話は初めて聞いたわ!)

…えへへ〜だって初めて言ったもん。それで解いてくれるのかな?

(いや、別に興味ないからいい)

…え〜ひどい。今回は何もないと思うから寝てるね。

(おいおい。来た意味ないな)

そんな会話してると、天が何かを投げてきた。

それが頭に当たった。硬くてとても痛かった。よく見てみると貝だった。

「ほら!こっち来いって!」

その貝を拾い天の頭に当てて海へ入った。


しばらくして海から出てきた。

「今度は砂浜で城作ろうぜ!」

「今度は砂浜かよ」

そう言いつつも一緒に作り始めた。

ペチペチ叩いたりして作っていてもう少しで完成した時に何やらラジコンの音が聞こえてきた。

天と共にラジコンの音が聞こえる方へ目線をずらしたその時、ヘリ型のラジコンが猛スピードで突っ込んできた。

城はボロボロに崩れてしまった。

「あぁ〜」

「おい、誰だよこのラジコンで城を壊したやつは!」と天が立ち上がると、そこに小学生ぐらいの男の子がいた。

半泣きの男の子が謝ってきた。

「ごめんなさい、ごめんなさい。僕のラジコン技術が下手で城を壊してしまって…許して下さい」

天も相手が小さい子だったからそれ以上は怒らなかった。

「いいよ。許すからもう泣くなって」笑顔で近寄り天が言う。

その子は泣き止んでありがとう!と言い、譲の方へ近づいてきた。

(あれ、この子。どっかで…)そう呟いてるとお兄さんもありがとう!と言った。

(なぁ?シルム?この子どっかで見た事ないか?)

…あ、この子あの高校生に襲われてた子じゃない?

(あ、そうだ!)

「ねぇ?君?君はもしかして高校生に襲われてた子?」

もし違っていたらこのお兄さんは、超変な人だと見られる。

「え?なんでそれを知っているんですか?」

(合ってんのかよ)

「なんだ譲?ついにはこの小さい子に手を出したのか?」

カチンとイラついたので一発殴った。

「そんな趣味ねぇよ。全く」

「ごめんってw」鼻血を出して天は起き上がった。

「では改めて聞く。譲はこの子とどういう関係?」

「関係っていうか…」

とシルム以外の事情を話した所。

「へぇ〜。そんな事あったのか」と意外にも真面目に聞いてくれていた。

「それであの後、体調とか大丈夫か?」

「はい!大丈夫です。それとこの子とかあの子ではなく…名前で呼んでくれませんか?」

「え?あぁ…そっか。名前は?」

水野奏大(みずのそうた)です。」

「そっか!俺は橋本譲。よろしく!」

「俺も自己紹介する〜。俺は赤嶺天。よろしく!」

「とりあえず…このラジコンを返しとくよ」

譲が砂に埋まっていたラジコンを返した。

「ありがとう!」蔓延の笑顔をみせた。

「実はこのラジコン車のエンジンを小さくしたものがあって動いてるんだ〜」自慢げに話してきた。

「えぇ〜!?それめっちゃすげぇ〜!かっこいい〜」

(おいおい…天。そんな訳ないだろ?馬鹿まる出しだぞ)

「赤嶺さんも分かるんなんて!この素晴らしさいいですよね〜」

(あぁ〜…これは厄介な人がまた増えたかもしれない…)

「まぁまぁ…天。また砂で城作ろうぜ?」

「そうだな!奏大も一緒に作ろうぜ?」

「いいんですか?ありがとうございます!」


〜同情は命をも脅かす〜


砂で城を作った。

さっきより大きく出来栄えも綺麗にできた。

「よっしゃ〜出来たぜ」

海にいる周りの人たちは海の家に行ったり、食べ物の匂いがするようになっていた。おそらく昼時になったのだろう。

「腹減ったな〜。譲?昼ご飯食べようぜ?」

「そうだな。じゃあみんなで買いに行くか。」

「僕の買ってきてもらえますか?お金なくて」

「そっか。じゃあ買ってくるね。待ってろよ」譲がそう言った後、天と一緒に近くにある焼きそばとたこ焼きを買いに行った。

「たこ多めのたこ焼きを3パックで!」

「いやいや!待てよ天。買い過ぎだ!お金ないだろ?」

「え?何言ってんの?もちろん払ってくれるよね?」

「はぁ?いやいやなんで俺が払うの?」

キレ気味に言ってみる。

「じゃあ割り勘で許してくれ」

「じゃあ割り勘なら許してやるか」

そう言って、2人は財布を出した。

「あ、ごめん少し足んない…よろしく」

「はぁ?しょうがねぇな」

そう言って結局、俺が多く払った。

払い終わった後に天の姿が見えなくなったので探していると天の声がした。

「あ、ラムネ下さい」

(おい…お金がないじゃねぇのかよ)

そんな事をしている間になんだか周りがガヤガヤ騒がしくなってきた。

「おい、天焼きそば買いに行くぞ」

「はいよ〜」

焼きそばを買いに行くと結構並んでいた。

5分ぐらいしてやっと買えた。

ちなみにこの焼きそばも俺が払った。軽くなった財布を見て(ちきしょ〜…お金が…)と1人で呟いてた。

買ったものを持ち、奏大の元へ行った。

「お〜い買ってきたぞ〜……ん!?」

そこは目を疑う光景だった。奏大が鮫を撫でていたのだ。

「あ、おかえりなさい!待ってました!」

(いやいや…その前に突っ込む所があるんですけど〜?)譲が思っていると、天がいきなり走った。

「あ…し、城が、お、俺の城が…無い」膝から崩れ落ちた。

「いやいや…天。そんなショック受けるか?」

「当たり前だろ?この城を基準として俺の国を作る予定だったんだぞ!」

(いやいや…そんなつもりだったのかよ)

「あ、それならこの鮫が…っていない?」

鮫に目をやると海に戻っていく様子が見えた。

「あぁ…逃げましたね」

「いや、逃げましたね。じゃないから。許さんぞ!譲、奏大!あいつをしばくぞ!」

(おいおい…無理に決まってるだろ?それと小学生がいるんだからそんな言葉使うなよ)

そう思っているうちに天は海へ走って行った。譲も走ってついて行った。

「おい、天。いくらなんでも鮫には敵わないだろ?」

そう言っても聞こえないらしい。

天は潜った。何をしているのかと思ったらすぐ出てきて、ペットボトルを手に持っていた。

「おいおい…ここ海だぞ?そのペットボトルで攻撃できないだろ?」

そう言った途端、ペットボトルを担ぐように持ち、軋むほど握りあの攻撃をした。

「握力やべぇ〜」と奏大は叫んだ。

キャップは真っ直ぐ飛んで行ったが、鮫に喰われた。

「ですよね〜やっぱ効かないか…」

そう言って岸に戻ってくると「赤嶺さんの仇、取ってきます!」奏大が天に向かって言った。「でも奏大?お前、ラジコンしかないだろ?どう戦うんだよ?」譲の問いに「大丈夫です。このラジコン防水なんで」

「そっか!奏大!俺の分まで仇を取ってくれるのか」

「はい!必ず取ります!」

(なんだこの友情…)

奏大が岸に立ち、ラジコンの準備をしていた。

どう戦うんだと見ていると「重い石ってありますか?」と聞いてきた。「あるぞ〜」と天がいい、石と氷をラジコンにつけて、パワー全開で飛ばした。

「おぉ〜奏大!ヘリ型のラジコンの扱い難しいのにめっちゃ上手いな」天が褒めると「えへへ〜そうですか?」と照れた。鮫の近くにラジコンを飛ばしたが、鮫が飛んで攻撃をしてきた。それを避けようとしたその時、石を落としてしまいさらにラジコンの操作が上手くいかず、フラフラし始めた。

「あ…失敗しちゃった…どうしよう」

そのままラジコンは奏大の操作には反応せず勢いよく鮫に突っ込み、エンジンがあった為爆発した。

鮫は、その爆発で死んでしまった。

「あれ…倒しましたね」

「よくやったぞ奏大!俺の分まで仇を取ってくれて!ありがとな〜」

(偶然だけどまぁ…良かったか)


しばらくして騒ぎを聞きつけ、警察がやってきて事情調査をされた。

そして事情調査が終わった後に「あの鮫は、よくこの海にやってきて困っていたんだ。ありがとう」と言われ、お礼にお金をもらった。



こうして楽しい1日が終わった。

だが俺の夏休みは、まだ大変な事が起きるのであった…

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