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ウタカタノヒカルさま  作者: 紗菜十七
9/34

オミアイビヨリノアト

ヒカルと別れて30分を過ぎただろうか?

〝わびさび〟の庭園を一周し

すっかり堪能(たんのう)した葵は池の(ほとり)にあるベンチに座っていた。


「そろそろ帰っても大丈夫かな~?」


ボ~っと景色を眺めていると

1Fにあるカフェがふと目に留まった。

その店はオープンカフェになっていて

外のテーブルにはカップルがぎっしり埋まっていた。

そこに、ドラマのワンシーンを思わせる男女の姿があった。


葵はなぜかその男性が気になり視線が釘付けになる。

サラッと軽くウェーブしたハニーブラウンの髪。

少し日に焼けた肌。そして優しく微笑む甘い唇…。


葵は目を疑った。

少し色の入ったサングラスを掛けてはいるが

正真正銘その男は将院である。

他の客とは格段に違い、(まばゆ)いくらいに輝いていた。


「なんだ…やっぱり綺麗な彼女がいるんだ?美男美女、絵になってる」


将院と一緒にいる女性はどこか見覚えのある顔だった。


「あっ!

朝露(あゆ)が持ってた雑誌の表紙に載ってた人だ

凄い、やっぱり華やかな人は華やかな人が似合うなぁ…」


悲しみを通り越し笑いがこみ上げてくる。

葵はその場にいるのが苦しくなり

気付かれないようカフェのそばを離れた。






エーゲ海をイメージして造られたオープンカフェは

真っ白なシェードアンブレラが神経質なほど綺麗に並べられ

高級リゾートの雰囲気をかもし出していた。


この店には頻繁(ひんぱん)に芸能人や有名なセレブが訪れるため

毎日のように長い待ちの行列が出来ていた。

今日も店は満席状態。

ザワザワと話し声が聞こえてくるのだが…

ほぼ全員と言ってよいほど会話は成立していなかった。


ゲスト席とでも言おうか?

ちょうど真ん中のテーブルに座る

華やかな二人にほぼ神経は集中していた。


「それでね、こっちはゆっくり食事したいのに

あの店のオーナーったら〝僕、夕顔(ゆうか)ちゃんのファンなんだ〟

って、食事中に何度も何度も来るのよ!もうあの店には行かない」


夕顔(ゆうか)はすねる様な目で将院を見た。


「でも、それだけ夕顔のファンって事じゃないのか?」


「私、しつこい男は嫌いなの!

あ~あ、イタリアンで静かに食事できるいい店ないかな?」


「静かかどうかは分からないけど、いい店は何件かあるよ」


「ほんと⁈じゃあ来週か再来週のオフの日でいいから、連れてって!」


「うん、いいよ」


「ヤッターッ!」


子供のように無邪気にはしゃいで見せると

夕顔は気持良さそうに庭園の景色を眺めた。


すると池の畔をトボトボ歩く

鮮やかな着物姿の若い女が目に入る。


「あれ?どこかで着物の撮影やってるのかな?」


職業柄というか、自分より目立つモノは

ライバルと見なし直ぐに察知(さっち)してしまう。


「どこの事務所だろ?見たことない…あの子」


言葉とは裏腹に夕顔の目は険しいものとなっていた。

将院も夕顔の視線を追ってみる。


そして次の瞬間、将院はハッとした。



「ちょっとゴメン…」


慌てて席を立つ将院。

そして着物姿の女性を

追いかける様に走りだした。


「えっ?ショウの知り合いだったの⁈

うそっ、言うんじゃなかったっ!」


夕顔はテーブルの下で足をバタつかせ

将院の行方をどこまでも追い続けた。





「葵ちゃん?」


将院はあと5メートル程の距離にまで葵に近づくと

速度をゆるめ声をかけた。



「ま、まさかっ、将院先輩に気付かれた⁈」


ヒカルとの見合いがバレては困ると

葵はそ知らぬ顔で歩き続ける。


(このまま無視しておけば、人違いか?って帰ってくれはず!)


だが将院は戻ろうとはせず

逆に足を速め葵に近づいてきた。


(マジッ⁈どうしよう、着物じゃ思いっきり走れない!)


辺りを見回すと、大きな池の中の飛び石が目に入る。

飛び石は途切れる事なく向こうの端まで続いていた。


(これだ!)


葵は池の(ふち)に登ると

着物の裾をたくし上げ、飛び石目掛けて高くジャンプした。


将院は目を見開き慌てて池の淵まで駆けよる。


「ちょっ、危ないっ!」


だが葵は、私ではありません

全くの人違いです…

と言わんばかりにどんどん先へと進んで行った。


そして背後から聞こえていた将院の声も小さくなり

やがて聞こえなくなった。


「さすがに池の石を渡る人なんていないよね?

良かった~、これでバレなかった」


葵はホッとすると着物の裾を下ろし

ゆっくりと歩き始めた。


ちょうど池の中心まで来ただろうか?

鳥の(さえず)りや川の流れる音が耳に入って来る。

葵は池に浮かぶ菖蒲(しょうぶ)の花をぼんやり眺めた。


「なんであんな必死に追いかけて来たんだろ…

まさかっ宴の大事な話があったとか⁈しまった~!」


葵は慌てて振り返る。

すると次の瞬間

バランスを崩し身体が大きくよろめいた。

おまけに長く垂れ下がった袖の(すそ)を踏んでしまい

葵はそのままド派手に池へと落っこちた。



「うわ~っ⁈」

〝バッシャーン‼〟

大きな水しぶきが上がる。



「葵‼」


遠くから将院の叫ぶ声が微かに聞こえてくる。

それどころか、周りにいる人達のざわめきまで…。


「最っ悪…」


幸い池は浅く、全身びしょ濡れになっただけですんだのだが…

なにしろ池のど真ん中ですっころんだので

庭園一帯の注目を浴びることは間違いなかった。

恥ずかしさと惨めな思いでいっぱいになる。

葵は立つことも顔を上げることもできず

その場で小さくうずくまった。



するとバシャバシャと水の中を

激しく走る音が聞こえてくる。

誰かが近づいてきたのだ。


(まさか将院先輩⁈ダメだよ来ないでっ!

こんな格好悪いことに巻き込みたくないよ~)


目から大粒の涙がこぼれ落ちそうになった時、

葵の身体(からだ)はサッとすくい上げられ宙に浮いた。


「きゃっ!」


ビックリするあまり小さな声が()れる。

気が付くと、力強い腕にしっかり抱きかかえられていた。

葵は迷惑が掛からないよう顔を手で(おお)

広い胸にそっと身を(ゆだ)ねた。


そして再び水しぶきが上がり、

庭園中の注目を浴びながら、二人はホテルの中へと消えていった。








「直ぐに部屋を用意してくれ…」


「はい、かしこまりました」


フロントの男は機敏な声で返事をすると

迅速(じんそく)にカードキーを差し出した。

お得意さまなのか?

顔を見ただけで、まどろっこしい手続きも無く

速やかにチェックインが済まされる。


「………ん?」


だがこの声に異常なまで拒否反応を示した葵は

思いっきり体を突き放した。


そして恐る恐る抱きかかえている男の顔を確認すると…


「◎*☆◇✖⁈」


ずっと将院だと思い込んでいた葵は目を疑った。


水の中をびしょ濡れになって助け出してくれたのは

あの冷酷なヒカルだったのだ⁈

ありえない光景に葵は思わず叫んだ。


「やだっ!下ろしてよ!」


助けてもらった礼も言わず

口から出てきた第一声がこれだったのだが…

意外にもヒカルは手を緩め

そっと葵を下ろしてくれた。


「誰かと勘違いしていたのか?」


葵の顔は見る見るうちに赤くなる。


「べ、別に、そっ、そんなことは…」

「行くぞ」


動揺する葵などお構いなし。

ヒカルはクルリと背を向け歩き出した。


「ま、待って!どこ行くの?」


「こんな濡れたままじゃ帰れないだろ?

部屋に服を届けてもらうから、シャワーでも浴びて着替えろ…」


今度は顔が赤から青に変わる。



(シャワー?着替えろ?もっ、もしかしてヒカルと二人きり…)


〝ゴクッ…〟


色んな妄想が頭を飛び交う。

葵は立ち止まると、何とか声を振り絞った。


「このままでも大丈夫…」


「駄目だ。びしょ濡れのまま返したら俺の立場がない。

つべこべ言わずさっさと付いて来い」


ヒカルにそれ以上逆らうこともできず

葵は()びたロボットのように

ぎくしゃくと手足を動かしながら後を付いて行った。






高層階にエレベーターが止まると

ヒカルは迷うこと無く、用意された部屋を目指して歩いて行った。

壁に付けられてある部屋の番号案内など一つも確認しない。


(普通なら○○番~○○番はこっちだ、とか見るよね?

しかもこのホテル、三月にオープンしたばかりだよね?

…来まくってるとしか思えないっ!)


スムーズに部屋へと向かうヒカルが

怪しく思えてきた葵は、逃げる口述を考え始めた。

だが無情にもヒカルの足はそこで止まった。


「ここだ…」


カードキーを当てるとドアロックが解除された。

そして何の戸惑いもなくドアを開け

葵に入るよう促した。


「どうぞ」


(ど、どうしよう?

私に魅力があるとは思えないけど

万が一ヒカルが物好きだったら?

中に入った瞬間、鍵を閉められて

後ろからガオーッて…ありえる?)


葵の緊張が頂点に達し、頭の中が混乱する。



「何ぶつぶつ言ってんだ

ずっとそこに突っ立ってたら清掃の人にも迷惑がかかるだろ?」


ヒカルは葵の足元に視線をやる。

絨毯は着物から滴り落ちた水ですっかり色が変わっていた。


「あっ、ごめんなさい!」


「俺に謝ってもな…」


「…あの、入る前にちょっと話が…」


ヒカルは黙ったままドアにもたれかかり

葵の顔を見ようとはしない。


「ひ、一つだけ言っておきたいことがあるんだけど……

私ってめっちゃくちゃ幼児体型で!」


「は?」


「そ、それで、一緒の部屋で着替えるのは

気分を害しちゃうんじゃないかなぁ~なんて…」


もぞもぞする葵を見てヒカルはピンと来たらしく…


「プッ!」


と突然吹き出した。


(うそ⁉あのヒカルが笑った?)


初めて見るありえない光景に葵は驚く。



「一緒の部屋にすれば良かったのか?」


ヒカルは悪戯(いたずら)っぽく葵の顔を覗き込んだ。


「…え?」


「俺の部屋はこっち、隣にとってあるけど」


ヒカルはもう一枚のカードキーを見せる。


(はっ、恥ずかし~いっ‼思いっきり勘違いでした!)


「それとも部屋をキャンセルして

一緒に着物の帯を解いてやってもいいんだぜ」


「いいい、いいえ結構ですっ‼」


「いいや面白そうだな

見てみたくなった…その幼児体型?」


「キッ、キーをかしてっ!」


ヒカルからカードキーをひったくると

真っ赤の顔をした葵は部屋の中へと入っていった。


そのまま背を向けて立っていると、後からヒカルが声をかける。


「直ぐに着替えが届くよう手配する。

あとおまえの両親にも連絡しておくよ。

終わったらそのまま店に戻れ。いいな」


ヒカルは立ち去り、静かにドアが閉まった。


葵は意外に思った。


他人がやらかした失態をバカにして見下ろす事はあっても

しり拭いをする様なことは絶対しない人間だと思っていた。


だが実際は違っていた。


池の中まで助けに来てくれた。

高級な黒のスーツはびしょ濡れになり

歩くと靴の中からジャブジャブと水の音が聞こえていた。



「そんなに悪いヤツじゃないかも?」



葵はヒカルの事を考えながら

既に閉まってあるドアをしばらく見つめていた。










着替えを済ませ葵は店へと向かうと

広いロビーに人がわんさか溢れかえっていた。


人ごみが苦手な葵は

ど真ん中を突っ切るのではなく、端をこそこそと歩いていく。


すると、長い行列ができていた店の前を通り

ハッと顔を上げた。

将院がいたカフェである。葵は横目でチラリと店内を見渡した。


「もう帰ったかな?」


再び池に飛び込んだ瞬間が思い出され深くため息をつく。


「はぁ~、恥ずかしい…絶対見られたよね」


自然と頭が重くなり下を見ながら歩いていた。

だがしばらく行くと、誰かが葵の前に立ちふさがる。


(…スラリとした足?)


葵は首を傾げると、徐々に視線を上げていった。


「怪我はなかった?心配したんだよ」


(この癒される甘い声?)


サングラスを通して将院の優しい瞳がうっすらと見えた。


「しょ、将院先輩!

ごめんなさい、逃げるつもりじゃなかったんです!

ただちょっと今日は変な格好をしてたので

恥ずかしいというか、見られたくなかったと言うか」


「そう?振袖すごく似合ってたいよ。それにその前髪も」


「こっ、これはママに切られて仕方なくです!…それに」


「それに?」


「将院先輩が綺麗な人と一緒だったから…

あっ⁈え~っと、デートの邪魔しちゃいけないなぁ、なんて思って」


思わず出てしまった探るような言葉に

葵自身もビックリする。


「あぁ、なんだそんなことか?全然気にする事なかったのに」


〝ガーンッ〟


(やっぱりデートなんだ⁈全然否定しない)


「あはは、私ったら気をまわし過ぎちゃって

池に落っこちるし、もう最悪…」


「…で、ヒカルとはどういう関係?」


「えっ?」


唐突に出てきた〝ヒカル〟の名前に

葵の返事が詰まった。


穏やかだった将院の目がなぜか真剣な眼差しに変わっている。



「池で葵ちゃんが転んだ時

凄い勢いで水の中を走っていったんだ。

あんなヒカルは見たことがない」


葵は大きな目をパチパチさせた。


(そっか!ヒカルが助けてくれたところを見てたんだ⁈)


正直に話そうか…と迷ったのだが

結局恋心が邪魔をした。


「ヒカルさまとは何の関係もありません。

今日は偶然通りかかった所を助けてもらったんです」


「偶然?」


「はい…」


「じゃあ、全然知らないの」


「あっ、一度だけ学校の図書館で

本を取り合った事はありますけど、それ以外は別に」


将院はフッと笑った


「ヒカルと本を取り合ったの?」


「はい、忘れもしない入学2日目の日でした。

私すっごく読みたい本があって

それが学校の図書館にあったんです!

それで本を取ろうとしてジャンプしたら

いつの間にかヒカルさまが後ろに立っていて

サッと引っ手繰るように本を横取りしたんですっ!」


葵の口調は段々厳しいものとなっていた。


「…ヒカルが本を?」


「そーです!横取りしたんです‼

しかもその本、まだ返さないんですよ!

あ~思い出したらまたムカついてきた!」


将院は苦笑い。


「それは早く返さないといけないね?」


「でしょっ!今度バシッと言ってやろうかな?」


「ハハハッ

ヒカル相手にそこまで言えるのは葵ちゃんくらいしかいないかも」


「そうですか?

あの性格じゃあ、嫌ってる人は一杯いますよ」


「…そうだ!

ヒカルに横取りされた本ってなに?今度買ってきてあげるよ」


「本当ですか⁈…あっ、でもダメだった」


「どーして?」


「それがかなりのマニアックな歴史本なんです。

作者が無名の人で

どこの書店に行っても売ってなくて…

不思議なんです

このノーブル学園にしか置いてないみたいで

きっと学園関係者か卒業生かが

こっそり置いてったんじゃないかな?って私は思うんですけど」


葵が顔を見上げると、将院は一点を見つめ何かを考えていた。


「…将院先輩?」



「葵ちゃんに一つだけ言っておくよ」


「何ですか?」


将院は一呼吸置いてから口を開いた。



「ヒカルとは、関わらない方がいい」



葵にはなぜ将院がこんなことを言うのか分からなかった。

だが理由は聞かずに頷いた。

この見合い話は破談になるため

もう会うこともない…葵はそう思ったからである。


「はい、分かりました」


「ごめんね、変なこと言って」


「いえ、全然大丈夫です」


葵はスッキリした様にニッコリ笑った。

すると将院も笑顔に戻る。


「これからどうするの?家に帰るところなら送ってくよ」


「あ、今日は家族と一緒に来てるので」


「そっか、じゃあこれ渡しておくよ」


将院はポケットの中から黒いケースを取り出し

サッと一枚だけを抜き取った。

それは自宅の住所と電話番号、携帯番号に

メールアドレスが詳しく書かれてある将院の名刺だった。


将院は名刺を裏返すと、ペンで更に番号を付け加える。


「これがプライベートルームの暗証番号だから、いつでも自由に入っていいよ」


「えーーっ⁉いいんですか!」


将院は頷いた。


「それに、寂しくなったらいつでも電話して。

月曜日、楽しみにしてるよ」



「…はっ、はいっ!」



葵の頬はほんのりピンク色になり

名刺を大事そうに握り締めた。

そして爽やかな笑顔と魅力的な香りを残し

将院はホテルから姿を消した。


「二人きりでトレーニングなんて

なんか緊張する…早くこないかな?月曜日」




葵が将院のいなくなった辺りをぼんやり眺め

幸せなひと時を味わっていると

背後から舞衣の声が聞こえてきた。


「葵ちゃ~ん!」


「ママ!」


ロビーの人ごみの中を、舞衣が必死に走ってくる。

その後ろに息切れした丞一の姿も。


「遅いから心配したのよ!会えてよかったわ。

ちょうど今から部屋に行くところだったのよ」


「ごめん、着物の帯がなかなかほどけなくて」


「まぁ!やっぱりそうだったの?

行ってあげればよかったわ!

パパったら、二人の邪魔をしちゃいけないって言うから」


丞一はバツが悪そうに苦笑い。


「ごめんごめん、部屋も一緒じゃなかったみたいだし

パパが気を回しすぎたみたいだな」


(なんて父親⁈普通は逆でしょ!)


葵は(あきら)めに近いため息をつく。



「ところでヒカル…さまはどうしたの?」


「あぁ、ヒカルくん達なら先に帰ったよ」


「帰ったの?」


「ええ、惟光さんに電話がかかってきて

急な用事が出来たみたいよ。それでヒカルさんも一緒に帰られたわ」


「そう…」


「おっ?葵も満更でもなさそうだな?」


(どこがっ!)


つい口が滑りそうになる。

だが丞一の満面な笑顔を見ると葵は言えなくなった。


「そ、そおかな…」


(そろそろ断りの電話がかかってくる頃なのに?

かわいそうなパパ。ごめんね…

どうせ分かるのも時間の問題だし、もう少しだけこのままでいよう)


葵が丞一と舞衣の間に割って入ると、三人は仲良く肩を並べて歩き出した。


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