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「うん、やっぱりティアルさんの自業自得だと思います」


ここ数日の私の所業をしっかりと反芻して、春花さんはきっぱり言い切った。言い返せない。


「・・・友人から『あんたは箱入りだ』とか『天然入っているんだから』と言われてもいまいちピンときていなかったんですがこういうことだったんですね・・・」


「ご友人はよく見ていらっしゃいますね」


「・・・親友ですから」


きっと今、血眼になって探してくれているだろう。スピカなんて半狂乱になっていそうだ。


(だから、早くここから逃げなくちゃいけないのに)


いつの間にか軟禁場所で和気藹々と縫い物をしているなんて。


「あの、皆様」


縫い物の手を止め、小休憩に入っていた女性達に声をかけた。


「私は無理矢理にここへ連れてこられたんです。家族にも友人にも無事だという知らせも送ることが出来ず、このお屋敷から出ることも出来ません。春花さんに協力を頼んでいますが、皆様もお力をお貸ししてもらえませんか?」


自分一人ではどうすることも出来ない以上、どんな手を使ってでも帰らなければ。『水将軍』のお父様と『水の大賢者』のおばあ様がいれば従者の証言等からいずれはここまでたどり着けるかもしれないけど、それまで何もしないのは愚策だ。自分でも動かなければ。


「・・・若様にも、お考えがあるんじゃないか?」


1人の女性の言葉に眉をひそめる。


「・・・拉致軟禁が正当化する理由ですか?」


「あ、いやいや。あんたの帰りたいという気持ちはよく分かるさ。でもさ、若様が理由もなしにあんたみたいなお嬢さんを連れ去るとは考えにくくてね」


「若様は悪く言えば『脳筋』。良く言えば『裏表のない真っ直ぐな気性』のお人だから」


「あんただって乱暴されたことは無いんだろう?」


「それは・・・」


たしかに、最初にあって名前を言い合って、それからは全く会っていない。最初の頃は襲われるかもと眠れなかったけど杞憂に終わっている。


「・・・人質にするのでしたら健康に問題があるとまずいからなのでは」


「あ、あんたの国ではそう言う感じかい?」


「ここでは奪った女は人質云々含めて戦利品だ。どうしようとも勝者の自由ってわけ」


血の気が引いていくのがはっきりと分かる。つまりファーストコンタクトの時点で貞操が危なかったわけだ。


「まぁ、若様はそういう考えはお嫌いだから」


「・・・じゃあ、もし皆様の言う『若様』がその通りなら、何故私はここに居続けなければいけないのでしょう・・・?」


「邪魔するぜ」


野太い声と共に入って来たのは、今まさに話をしていた虎・迅だった。


「少し話がしたいんだが、いいか?」


親指を外に向けながら私に話しかけてきた。


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