余計な世話3-2
私も窓の下を覗いてみると3才から6才くらいの子供が4人、窓枠の下に隠れていた。
「お屋敷には入っちゃいけないって言われてるでしょ」
子供達に呆れた顔で叱る春花さんに彼らは口々に喋りだした。
「だってあたらしいひとみたかったんだもん!」
「わかさまがつれてきたひと!」
「おとうさんがほめてたひと」
「ほめすぎておかあさんに顔殴られてたけど」
「ぼくのとっちゃんも!」
「わたしもっ」
彼らの会話に頭を抱える春花さん。
え、何?私が会った兵士たちの中にこの子達の父親がいて私の話をして奥様の逆鱗に触れたってこと?
一般家庭に荒波立ててない!?
「いや、どうせ鼻の下伸ばして話したせいでしょうから気にしないで下さい」
私の考えが分かったのかこめかみを押さえながら春花さんがフォローしてくる。
「でもほんとにびじんさん!」
1番歳が下であろう男の子が満面の笑顔で声を上げた。
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいわ」
子供の言葉に本気で喜ぶ気は無いけど、子供だからこそ裏表のない言葉には嘘がない。
だから私も素直に笑って返した。
「良かったら部屋に上がる?外は寒いし雨だって降りだしているわ」
鉛色の空からは先ほどからポツリと雨が降りだしている。いくら庇の下にいるといってもここにいたら風邪を引いてしまう。
「いいですよね?春花さん」
一応彼女に確認しておく。彼女はしょうがないという顔をしていた。
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「なんかティアルさん、子供の扱いに慣れていませんか?」
部屋に入ってきた子供達に適度に冷ましたお茶を出し、頼まれるままに故郷の話をしているとうつらうつらしている1番歳が上の男の子以外は眠ってしまった。
皆座った私の膝に頭をくっ付ける様にして眠っているのを春花さんが感心した様に言った。
「妹達が乳児だった時から世話をしていましたから慣れてはいると思いますね」
「それにしては話し方が眠気を誘うというか…」
「こういうのはコツがいりますから。それにこの子達、寂しかったんじゃありませんか?」
「え?」
「このお屋敷は里の1番高い所にありますよね?そんな所に興味本位でここまで来るでしょうか」
家族に十分にかまわれている子供なら親から禁止されている場所にわざわざ行かないだろう。
「憶測ですが、ご両親の話の話題に私が出てきたから、会えば自分も話に入れると思ったんじゃないかと」
「…まぁ、この子達の親は祖父母がいなくて両親共々忙しくしてますけど…」
「私は部外者ですし、あまり家庭の事情に関わるべきではありませんが、」
言いながら私は子供達の頭を優しく撫でた。
「求めくれている間は答えてあげたいとは思いますね」
その後、子供がいないと血相変えてご両親達が屋敷に駆け込んだらしく、事情を説明してあまり叱ることがないよう春花さんづてに伝えてもらい送ってあげることができた。
因みにこの一件で私の項目に『慈愛』の好印象が増えることになる